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当局で明らかにされた問題を別な角度から指摘

 時事ドットコムが10月25日に掲出した「賃金統計で不適切支出=郵送調査に3700万円-検査院」は、厚生労働省の賃金構造基本統計について、不適切な経理処理により約3710万円が支出されていたことが会計検査院の調べで分かり、検査院は厚労省に対し、研修で職員に会計法令の順守を徹底させることなどを求めたと報じる。厚労省の毎月勤労統計の不正を受け、総務省は基幹統計の一斉点検を実施しており、賃金統計でも、統計調査員が企業を訪問して調査票を配布、回収する本来の方法ではなく、郵送による調査が判明したとのこと。検査院が29、30年度に47労働局が支出した約2億3400万円の予算執行状況を調査した結果、全ての労働局で郵送調査を行い、調査員は電話での督促業務などに従事していたとのこと。郵送料や電話料などが過大になり、予算額を超過したため、目的が異なる歳出科目から約3710万円を充てていたとも。訪問のため計上された正規の旅費が流用されたケースは確認されなかったと記事は伝える。

 記事からは、総務省の一斉点検で問題が発見されたかのように読める。そこで、検査院が発表した本文(PDF形式:514KB)に当たると、問題は、郵送調査で行っていたことではなく、その執行方法であった。検査院の指摘は次のとおり。

 労働局において、賃金センサスの実施に要する経費を、貴省本省から示達されるなどした一般会計の歳出科目ではなく、一般会計と区分経理されている労働特会の歳出科目から支出したり、賃金センサス以外の他の業務を実施するために貴省本省から示達された一般会計の歳出科目から支出したりなどしている事態は適切ではなく、是正改善及び改善を図る要があると認められる。


 つまり、当局で明らかにされた問題(訪問調査のはずが郵送調査)を踏まえて、予算の反映されているはずの建前(訪問調査)と実態(郵送調査)との乖離がどのような問題を引き起こしているかを調べて不具合を発掘した、ということだろう。しかし、これは予算執行調査が期待されている役割ではないのか。
 毎日新聞サイトが26日に掲出した「賃金統計不正 郵送調査へ予算転用 財政法違反か 会計検査院指摘」は、厚生労働省の「賃金構造基本統計」の不正調査を巡り、会計検査院が調べたところ、調査方法が「郵送調査」に無断で改められた後も予算が不足し、他項目に計上された予算を振り替えていたことが判明したと伝える。他項目からの予算の補塡は財政法に違反するといい、検査院は25日、「会計法令を順守する認識に欠けている」と指摘したと記事は伝える。

 記事が伝えている本事案は、会計検査院が違法な処理の常態化に対して統制再構築を求めて会計検査院法第34条権限を行使し、またその原因である予算の立て方について改善を求めて会計検査院法第36条権限を行使したものであるから、この毎日の報道の方が的確と思える。

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