「監査人のコメント」制度の導入が検討されている

 日経サイトが11月22日に掲出した「[FT]HP子会社不正経理で監査改革の声高まる」〔2012年11月21日付 英フィナンシャル・タイムズ紙〕は、業務用ソフト大手の英オートノミーが、電子メールやホームページなど大量の情報を分析できるソフトウエアで評価を確立した一方で、同社の監査を担当していた大手監査法人デロイトの評価が、オートノミーから提出された数千枚に上る納品書をどれだけスタッフが精査していたかにかかっていると書き出す。オートノミーの元経営陣は2011年に同社を110億ドルで買収した米IT(情報技術)大手、ヒューレット・パッカード(HP)から不正経理を追及され、責任をデロイトの監査に押しつけようとしているからだとか。オートノミーの元経営陣に近い関係者によれば、デロイトは金額が10万ドルを超える納品書には全て目を通し、売り上げが会計にきちんと計上されているかを確かめていたとして、デロイトが「現在問題となっている全ての分野をチェックしていたはず」と語ったと記事は伝える。03年にオートノミーの監査役に就いたデロイトの英国部門は21日、業務の詳細に関するコメントを拒んだとも。同社は「オートノミーの財務諸表に会計上の不正や記載ミスがあったとの認識は全くない。当社の監査は規制や職業上の基準に従って行われた」と述べたとのこと。HPのメグ・ホイットマン最高経営責任者(CEO)は、「取締役会はほかならぬデロイトの監査を信頼していた」と述べ、同氏はKPMGがデロイトの監査をチェックしていたことも明らかにしたが、KPMGはこれについてコメントを拒んでいるとの由。HPは民事、刑事両面での捜査を要請済みだが、ホイットマン氏はデロイトやKPMGへの法的措置を検討しているかについては明言を避けたとか。監査人に重大な不正行為があったかを調査する英財務報告評議会(FRC)は21日、見解を明らかにする前に関連情報を収集しなくてはならないと語ったとのこと。HPの非難をきっかけに、会計監査における監査人の説明責任強化を求める声が高まりそうで、英国をはじめ大半の先進国では、監査人は会計が適正と判断した理由について総括的な所見を簡単に述べる義務があるにすぎないが、これに不満を持つ投資家は「監査人のコメント」制度を導入するよう求めていると記事は伝える。業務で直面した最も難しい問題について監査人が詳細な情報を明らかにする制度で、国際的な監査基準作成機関である国際監査・保証基準理事会(IAASB)が「コメント」導入の準備を進めているとの由。HPがオートノミーを買収するかなり前から、一部アナリストが同社の会計を疑問視していたことを考えると、「コメント」はこのケースでは特に有効だった可能性があると記事は説く。運用会社のある幹部は「今回の問題で、監査人のコメント制度がなかったことの弊害に否応なく注目が集まっている。投資家だけでなくHPとその株主もオートノミーの経営に有効に関与できるかを見極める手がかりがなかった」と指摘しているとか。

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