会計検査院の民間人登用の効果

 日経電子版が1月9日に掲出した「会計検査、民間登用で成果 173億円分の無駄を指摘」は、税金の無駄遣いを監視する会計検査院が、チェックの精度を上げるため21年度に採用した民間人の3年の任期が今春で満了するが、公認会計士らで編成された特別チームは、独自の着眼点で約173億円分の無駄を指摘しており、一定の成果を上げていると報じる。一方、今後も「民間の目線」を維持できるかどうかは予算や人事制度にも左右されるため、不安定な情勢と記事は伝える。記事は、ドキュメント風に、独立行政法人を検査していた男性調査官(62)が22年初めごろ、独法が、管理する特許事務の一部を外部委託していた業務委託費について「経費が過大じゃないか」と疑問を抱いた話を紹介する。委託先は、さらに別業者に再委託され、手数料を二重取りしている可能性があったとか。この調査官の前職はメーカーの技術職で、メーカー在籍時に自社の技術の特許出願を担当したことがあり、特許を巡る事務作業に精通していて、疑問は実を結び、検査報告で約2700万円の無駄を指摘したとの由。これまで会計や監査の経験はないが「企業人として磨いた観察力が生かせた」と話しているとか。検査院が特別チームを編成するために初めて民間人を採用したのは21年度で、前年に国土交通省の出先機関が税金を娯楽用品購入に使った問題が発覚するなど政府に批判が集中し、当時の町村信孝官房長官が「民間の専門家に無駄を調べてほしい」と発言して、以前から民間人の登用を検討していた同院が足並みをそろえる形で踏み切ったとか。検査院が入る東京・霞が関の高層ビルで「特命検査チーム」の表札が張られた一室が、現在勤務する民間人9人の拠点で、30~60歳代、公認会計士のほか、企業の監査担当や経理担当、技術職など経歴はさまざまであり、同院は検査対象別に職員を組織分けしているが、同チームは特例で案件を自由に選ぶことができるとのこと。「企業の会計監査にも慣れ、新鮮さを求めて来た」という監査法人出身の男性調査官(50)は、別の独法の財務諸表を丹念に読み込んで約2億円分の不適切経理を見つけたとか。当初、独法側は誤りを認めなかったが、粘り強い説得で改めさせたとのこと。財務諸表の作成など公会計に企業会計の手法が導入されたのは数年前からで、プロパー職員にとっては従来型の会計の方がなじみ深く、幹部職員は「企業会計に精通しているからこそ論理的な説明ができる。我々の目だけで発見できたかどうか……」と話しているとか。特命検査チームは他の部局と連携した案件を含め、10年度決算までで計10件、総額約173億円分の無駄遣いや不適切経理を指摘していて、多様な経験を生かした成果を生んだが、一方、制度上の課題も浮上しており、任期は年度初めの4月からだが、検査が始動するのは毎年9月ごろで5カ月分のズレが生じ、また24年度の政府予算案ではチームの存続自体は認められたものの、任期や人数は未定であり、任期後の転職を支援する仕組みもなく、監査法人を辞めて転身した調査官は「再び民間で就職できるかは白紙」と話しているとのこと。検査院は今後について「民間の手法が浸透してきており、発展させる方向で検討していきたい」と強調しているとか。

公表資料:独立行政法人科学技術振興機構が保有する外国特許権の特許料の代行納付について、実際に代行納付を行っている業者と直接契約することにより手数料の節減を図るよう是正改善の処置を求めたもの

コメントの投稿

非公開コメント

ブログ内検索
カテゴリー
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
リンク
監査関係ブログ
【】内はカテゴリー ↓トップはライブドアニュース
月別アーカイブ
RSSフィード
プロフィール

reticent_auditor

  • Author:reticent_auditor
  • 寡黙な監査人
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる