国民負担24兆円の余りの話

 日経電子版が9月24日に掲出した「鉄道・運輸機構、1兆2000億円の余剰金 検査院調査」は、国鉄清算事業団を引き継いだ独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(横浜市)が旧国鉄職員の年金給付に充てる「特例業務勘定」に、21年度末で約1兆2千億円の余剰金があることが会計検査院の調べで分かったと報じる。検査院は国土交通省に対し、同機構から国庫に余剰金を納付させるよう求めたとのこと。検査院の指摘金額としては過去最大規模とか。同機構は15年、国鉄清算事業団の業務を引き継いだ日本鉄道建設公団と運輸施設整備事業団が統合して発足したもので、鉄道建設の支援のほか、旧国鉄の清算業務をしており、特例業務勘定では旧国鉄用地やJR株式の売却益、JRへの新幹線施設の売却代金などを原資に、約30万人に年金を給付していて、同機構の試算では約50年後に給付が完了するとのこと。検査院が同勘定を調べたところ、同機構の発足当初は債務超過状態だったものの、その後は土地売却益などで収支が改善し、21年度末の利益総額は計約1兆4534億円まで膨らんでいたとか。検査院は物価上昇率を年2.4%と仮定して今後の収支見込みを試算し、年金受給者が減少していくことから、将来の支出見込みが2兆5728億円なのに対し、収入は新幹線施設の売却分だけでも3兆2328億円に達し、有価証券の運用収入も加えると7兆円を超えると指摘したとのこと。検査院は2500億円程度の積立金があれば十分だと判断し、旧国鉄債務が多額の国民負担で肩代わりされた経緯を踏まえ、利益総額から必要額を差し引いた約1兆2千億円を同機構から国庫へ納付させるよう国交省に求めたとの由。この余剰金を巡っては、今年4月の政府の「事業仕分け」でも国庫返納を求められていたほか、20年にも検査院が同様の指摘をしているとのこと。同機構は「今後、JR不採用問題の解決金やアスベスト(石綿)被害への対応で発生する費用もあり、現時点では積立金を確定させるのは難しい」と説明しており、国交省は「対応は今後、検討する」としていると記事は伝える。

公表資料:独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定における利益剰余金について
22年4月27日事業仕分け:鉄道建設・運輸施設整備支援機構
20年の検査院の指摘:国鉄清算業務に係る財務について
 ブルームバーグサイトが10月15日に掲出した「会計検査院:鉄建機構余剰金1.2兆円-国交相、国庫返納に法改正必要」は、会計検査院事務総局の斉藤邦俊第3局長が15日午前の参院予算委員会で、独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の利益剰余金について、約1兆2000億円の余裕資金があると証言したと報じる。民主党の森ゆうこ氏の質問に答えたもので、斉藤氏は「リスクを相当程度見込むなどして試算したとしても、当面の資金繰りのため、2500億円程度を留保しておけば、将来の特例業務の実施に支障を生じることはない」と言及し、「平成21年度末の利益剰余金1兆4534億円は、この額よりも約1兆2000億円多くなっており、余裕資金が生じていると認められた」と説明したとのこと。森ゆうこ氏は「いつまで国庫に返納できるのか」と質問し、所管している馬淵澄夫国土交通相は「これは現行の法規では国庫に返納できない状況なので、法律改正が必要になる」と言明して、「関係省庁と連携しながら、法案策定も含めて、しっかりと連携を図って進めていきたい」と答えたとか。野田佳彦財務相は13日の衆院予算委員会で、「利益剰余金をどれだけ国庫返納できるかの見込み額で精査している。1兆円を超える規模になることは間違いない」と言明し、その上で「平成23年度予算の編成に生かしていく方向にしたい」と語り、2011年度予算の財源として活用する方針を明らかにしていたとか。

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