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包括外部監査に財務諸表の保証が求められるリスク

 読売サイト関西発ページが7月6日に掲出した「大阪市外部監査ずさん 外郭団体の決算書点検せず 報酬2000万円 会計士」は、大阪市の外郭団体「市消防振興協会」の経営状況について、20年度に包括外部監査を行った公認会計士(66)が、決算書などの財務諸表を点検していないのに報告書に「決算書を確認した」と記載し、「財政状態は健全」と評価していたと報じる。市の監査委員監査で同協会のずさんな会計処理が発覚し、市監査委員は今年5月、「外部監査人の主張や説明とは大きな乖離がある」と異例の指摘をしていたとか。外部監査の信頼性が損なわれかねない事態に、専門家からは「前代未聞の手抜き監査で、到底市民の理解は得られない」と批判の声が上がっていると記事は伝える。同協会は、市民の防災意識向上などを目的に4年に設立され、市が100%出資していて、応急手当ての知識を広める講習会の開催や月刊誌「大阪消防」の発行を市から随意契約で請け負うなどしているが、市によると、問題の外部監査は、同協会など計13外郭団体の財務処理や経営の効率性などを検証する目的で行われたもので、市は会計士と18~20年度に契約を結び、各年2000万円の報酬を支払っていたとのこと。この会計士は報告書で「15~19年度の決算書を関係書類と適宜照合した」などと明記しており、同協会については、発行書籍の在庫が多すぎる点などを指摘したが、「財政状態は健全と言える」と結論づけたとの由。一方、市監査委員が同協会を個別調査したところ、20年度の帳簿の収支が12か月すべてで一致していなかったり会計年度区分を勝手に変更したりするなど、数々のずさんな処理が明らかになったとか。19年度も同様だったが、外部監査では一切触れられていなかったとのこと。不審に思った市監査委員が今年3月、会計士から事情聴取したところ、会計士側は「監査日数が短く、財務諸表のチェックはできなかった出納事務よりも委託契約の中身に焦点を絞った」などと説明し、「『健全』と記載したのはよくなかった」と話したとか。市監査委員の一人は「多額の税金を使っており、市民は当然、財務諸表を監査していると思っている」と批判し、報告書では「外部監査は市民の納得を得るものとなるよう取り組むべきだ」と言及したとか。会計士は現在、市の外部監査契約が終了しており、読売新聞の取材に「包括外部監査は財務諸表に何らかの保証を与えるものではない。団体ごとの監査方法を逐一記載すれば(見なかったことの)誤解は生まれなかったが、そのような断り書きは煩雑で、市民の関心事でもない。監査人としての責務は十分に果たした」としているとのこと。

 何を監査するかを監査人の任意としている「包括外部監査」は本質的に「財務諸表監査」とは異なる、ということを勉強した上で報道すべきと思う。
地方自治法(昭和二十二年四月十七日法律第六十七号)
(包括外部監査人の監査)
第252条の37
第1項 包括外部監査人は、包括外部監査対象団体の財務に関する事務の執行及び包括外部監査対象団体の経営に係る事業の管理のうち、第二条第十四項及び第十五項の規定の趣旨を達成するため必要と認める特定の事件について監査するものとする。
第2項 包括外部監査人は、前項の規定による監査をするに当たつては、当該包括外部監査対象団体の財務に関する事務の執行及び当該包括外部監査対象団体の経営に係る事業の管理が第二条第十四項及び第十五項の規定の趣旨にのつとつてなされているかどうかに、特に、意を用いなければならない。
〔第3項以下略〕
 読売サイト関西発ページは7月8日に掲出した「大阪市外郭団体 内部監査もずさん…決算書不備見落とす」で、大阪市の外郭団体「市消防振興協会」のずさんな会計処理を見逃し、包括外部監査人の公認会計士が「健全」と評価していた問題で、協会内にも別の公認会計士(非常勤)がいたのに、決算書などの点検を十分行わず、不備を見過ごしていたと報じる。二重の見落としを重く見た平松邦夫市長は、全118外郭団体に適切な会計業務の徹底を指示したとか。同協会によると、非常勤の会計士は監事として財務諸表などの不備を指摘する役割で、報酬は時給1万円、とした上で、「しかし実情は、年に1回、1時間程度、職員が作成した財務諸表に簡単に目を通すだけだった」と続ける。要は1万円しか払っていない、ということなのだろう。それで、財務諸表の正確性を保証しろとするのは、虫が良いにも程がある。記事は、19~20年度には、帳簿の収支の不一致や会計年度区分の勝手な変更など、ずさん処理があったが、会計士はすべて見過ごしていたと評しており、「決算の粉飾などはなかったという」と付言している。記事によると、同協会の20年度事業収益は、月刊誌「大阪消防」発行など6億3800万円で、うち3億4300万円は市からの受託事業で得ていたとか。職員は現在92人で、大半を市消防局OBと出向組が占めているとのこと。協会幹部は「会計業務に対する職員の知識が乏しく、監査体制も甘かった」として、今年4月以降、簿記資格を持つ職員を1人から2人に増員するなどしているとか。外郭団体を所管する市総務局は「極めて遺憾。各団体の監理体制の強化を図っていきたい」としているとも。

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○ また、外部監査制度は、個人である外部監査人が地方公共団体と契約を締結して、特定のテーマを対象として監査を行うものであり、そもそも組織として十分な監査を行う制度にはなっていない。そのため、組織的・慣習的な不正行為の指摘も視野に入れて、監査の対象を拡大することについては、基本的な制度設計の観点から、限界があると考えられる。
(監査を担う人材の課題)
○ 監査を担う人材という面からは、本来、地方公共団体の監査には、企業の監査とは異なる専門性が求められるにもかかわらず、我が国では、このような人材の確保の必要性は特段意識されてこなかった。これまで地方公共団体の監査に全く携わったことがなかった者が、長の任命によって監査を担い、又は監査の事務を補助することになり、実務経験の中で知見を蓄えようとしているのが現実である。個々の地方公共団体がこのような人材を独自に育成し、確保することも考えられるが、人材育成の手法、処遇の面等で限界があるのも事実である。
(監査の基準についての課題)
○ 監査委員制度、外部監査制度を問わず、現行の地方公共団体の監査では、監査の観点は合規性監査や業績監査とされつつ、極めて広範囲に及ぶ監査対象に対して具体的にどのような基準に従って監査を行うのかが明確でない。監査の手法は地方公共団体によって、あるいは監査の主体によってまちまちである。一部の地方公共団体では「監査基準」が作成されているが、法的位置づけがあるわけではなく、また、これらの内容が監査基準として十分なものと言えるか疑問がある、という指摘がある。
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