負債の時価評価額が目減りした場合の処理

 日経電子版が5月12日に掲出した「国際会計基準審議会、負債の時価評価見直し提案」〔ロンドン=石井一乗〕は、国際会計基準をつくる国際会計基準審議会(IASB)が11日、金融機関などの負債を時価評価する方法の見直しを提案したと報じる。金融危機を受けてIASBが段階的に取り組んでいる会計基準見直しの一環で、提案では、信用力の悪化などで企業の負債の時価評価額が目減りした時に利益を計上できる仕組みを認めないようにするとのこと。提案通りに決定すれば、市況が悪化した際に銀行などの利益底上げ手段を減らすことになると記事は評する。国際会計基準は欧州を中心とする企業が採用しており、現行基準では、時価評価対象になる社債など金融負債の価値が格下げなどを通じて目減りした場合、債権者への支払い義務が減ったと見なして、その分を利益計上することが認められており、2008年から09年の決算でも、実際に複数の欧州銀行がこうした利益を計上したもようだとか。しかし「信用力が悪化した企業がその分の利益を計上できるようでは有益な情報を提供しているとはいえない」(IASBのトウィーディー議長)と判断し、こうした処理を認めない方向で基準を見直す考えとの由。IASBでは7月16日まで市場関係者などから意見を募り、その後に最終的な基準にまとめるとか。一方、米国の会計基準でも負債価値の目減りに応じて利益計上できる処理を認めており、とりわけ昨年春に相場環境が悪化した際、「負債評価益」と称する巨額の利益を計上した米銀が続出して、投資家などから批判も相次いだとか。日本の会計基準ではこうした処理は認めていないとのこと。IASBでは「会計基準の複雑さが金融危機の企業決算への影響を助長した」との批判を受け、基準の複雑さを解消する見直し策を段階的に進めており、昨年には金融資産の時価評価に絡む見直しを実施済みだが、ただ負債も資産と同様にすべて時価評価すべきかどうかについては議論の対象になっていたとのこと。

 ロイターが5月11日に掲出した「金融機関の負債の時価評価、IASBがルール変更を提案」〔ロンドン 11日 ロイター〕も、国際会計基準審議会(IASB)が11日、金融機関の負債の時価評価に関するルール変更を提案したと報じる。IASBのトウィーディー議長は「金融資産と金融負債を同じように処理すべきという理論上の議論はあるが、信用力の悪化した企業が悪化分だけ利益を計上できるようでは、有用情報を提供しているとはいえない」と指摘し、「自社の信用力の変化は、決算書の損益に反映されるべきではない」としているとか。今回の提案は、IASBが進めている時価評価ルールの見直しの一環で、見直しは年内に終了する予定だが、施行時期は明らかになっていないと記事は伝える。

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