ゴーイング・コンサーン基準の緩和

 フジサンケイ・ビジネスアイは5月27日に「投資家不在?「注記」外し 基準緩和…32社の決算書、記載せず」〔藤沢志穂子〕を掲出。
 記事は、業績不振の企業の財務諸表に「注記」としてつけてきた「企業継続の可能性(ゴーイング・コンサーン)」の基準が2009年3月期決算で緩和されたことに伴い、32社の上場企業が注記の記載を見送ったことが帝国データバンクの調査で分かったと報じる。基準緩和は金融危機を受けた措置だが、投資家に十分な情報開示が行われない事態を招きかねず、混乱を招く可能性も指摘されていると記事は評する。帝国データバンクによると、注記をつけていた231社のうち外した32社には、東証1部でチケット販売のぴあ、スポーツウエアのゴールドウイン、自動車用品のイエローハットなどがあり、チケット販売や出版事業の不振で、09年3月期に2年連続の連結最終赤字だったぴあだが、第4四半期(1~3月)単独では最終黒字を達成しており、リストラ効果で、10年3月期に連結最終黒字の見通しのため、注記を外したとか。イエローハットも09年3月期は2年連続の連結最終赤字だったが、金融機関との借り入れ契約で条件変更が成立した結果、注記を外しているとのこと。これに対し、注記を引き続き掲載しているのが家電販売のラオックス、ノンバンクのロプロ(旧日栄)などで、いずれも09年3月期の連結最終赤字が前年を上回り、資金調達が困難なことなどを理由にしているとか。日本でゴーイング・コンサーンの注記の記載が始まったのは、03年3月期決算からで、債務超過や売上高の大幅な減少、連続赤字など監査法人が業務継続に「重大な疑義あり」と判断した場合、財務諸表に記載し、投資家に注意を促してきたが、金融危機の影響で業績が悪化する企業の増加が見込まれたため、企業会計審議会(金融庁長官の諮問機関)は4月、09年3月期決算からの基準緩和を承認しており、「業績回復が確実に見込める」と監査法人が判断すればつける義務がなくなり、経営上の問題点は「事業等リスク」などの項目で説明する決まりとなったとの由。金融庁は「基準緩和で将来性に重きを置く部分が増え、国際標準になった」と説明するが、専門家の間にはぴあの09年3月期決算について「第4四半期だけの黒字は緩和前の基準では『注記扱い』だった可能性が高い」(証券系アナリスト)とみる向きもあると記事は伝える。帝国データバンク情報部の江口一樹部長も「将来に渡って注記を外せるか疑問のある企業も見受けられる」と、投資家にとって企業の「真の姿」が見えにくくなる側面を指摘しているとか。一方、野村証券金融経済研究所の野村嘉浩ストラテジストは、「『注記』か『事業等リスク』かでリスクの濃淡が推し量れる」と話しているとのこと。

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