朝日新聞サイトが10月18日に掲出した「
戦闘機F35A、1機40億円割高で調達 検査院が報告」〔上沢博之〕は、米国の有償軍事援助(FMS)による防衛装備品の調達状況について、国会からの要請を受けて検査をした会計検査院が18日、検査結果を国会に報告したと報じ、その内容について、米国の最新鋭戦闘機F35Aの調達で、日本政府が国内企業を製造に参画させるなどしたため、1機当たりの調達価格が米国より40億円前後高くなっていたことなどが判明したと伝える。FMSでは、機密性が高く、高性能な米国の防衛装備品や関連の役務が調達でき、支払いは前払いで、納入後、精算されるが、納入まで数年かかり、原価などが非開示で検証や比較が難しいと記事は説明した上で、検査院によると、2017年度の日本のFMS調達は3882億円で、13年度の1117億円の3倍超となっていて、F35Aやオスプレイ、イージス・システム、早期警戒機E2Dなどを調達していると伝える。そして、検査院は、調達が増えているF35Aについて、1機当たりの日本の調達価格を契約内容から算出し、米国が公表した自国向けの調達価格との比較を試みたところ、日本が完成品を調達した12年度の価格は約1・2億ドル(当時の円換算で約97・7億円)で米国より約1270万ドル(同10・3億円)高く、それが日本企業が製造に参画した13年度には約1・5億ドル(同129・6億円)に跳ね上がり、米国との差は4倍の5610万ドル(同46億円)に拡大し、翌年度以降も米国より4千万ドルほど(14年度は同38・8億円、15年度は同47・6億円)高かったと伝える。
この報告については会計検査院サイトに10月18日に「
国会法第105条に基づく国会からの検査要請事項に関する検査結果の報告を行いました。」として
概要(PDF形式:77KB)と
全文(PDF形式:1,374KB)が掲出されている。
FMSについては、会計検査院は何回も報告を出している。平成になってからは、
・平成9年度決算検査報告で、特に掲記を要すると認めた事項として「
アメリカ合衆国政府の有償援助による装備品等の調達について」
・平成9年度決算検査報告で、特に掲記を要すると認めた事項として「
アメリカ合衆国政府の有償援助による装備品等の調達について」
・平成15年度決算検査報告で、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項として「
アメリカ合衆国政府の有償援助による装備品等の調達に係る残余資金について、速やかに歳入として国庫に収納するための体制を整備するよう改善させたもの」
・20年6月に参議院からあった国会からの検査要請事項に関する検査状況として平成19年度決算検査報告で「
防衛装備品の一般輸入による調達について」
・20年6月に参議院からあった国会からの検査要請事項に関する報告として21年10月に「
防衛装備品の商社等を通じた輸入による調達に関する会計検査の結果について」
今回の報告は30年6月に参議院からあった国会からの検査要請事項に関する報告である。前回の報告では検査の方法として「合衆国政府がインターネット上で公表している防衛装備品の価格についてアメリカ合衆国国防省関係部局へ赴くなどして調査を行った。」旨を報告しているが、今回の報告においては「アメリカ合衆国において、FMSの制度や契約額の根拠、合衆国政府に支払われた前払金の管理方法等について、DSCA、合衆国政府各軍省(陸軍省、海軍省及び空軍省)等の担当者から説明を受けるなどして調査を行った。」と報告している
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