20政令市のうち16市でOBが常勤代表監査委員
西日本新聞サイトが掲出した「福岡など政令市の8割 監査委員天下り続く 是正通知後もOB枠」は、全国20政令市のうち福岡、北九州、熊本の九州3市を含む16市で、税金の無駄遣いを内部で監視する監査委員に職員OBが「天下り」していることが西日本新聞の取材で分かったと報じる。総務省は18年、OBを原則起用しないよう事務次官名で自治体に通知し、是正を求めたが、8割の政令市がその後も「行政に精通している」などの理由でOB枠を維持していたと記事は評する。ほとんどの政令市は有識者、議員各2人の計4人を監査委員に選任しており、札幌、横浜、浜松、大阪の4市を除く16市では有識者の1人をOBから選んでいて、16人全員が常勤の代表監査委員を務めているとのこと。福岡市は28日、7月に任期が切れるOBの監査委員の後任に、3月まで博多区長を務めていた元市職員(61)を選任する人事案を市議会に提案し、一部会派は「客観的に市行政をチェックする立場としてふさわしくない」と反対したが、賛成多数で同意されたとか。OBは常勤の代表委員となる見通しで、月額62万円の報酬が支払われるとのこと。同市は「非常勤の委員には公認会計士がおり、職員経験者の視点も必要。幅広い部署を経験した人材を選んでおり、即戦力になる」と説明しており、熊本市も「行政の施策や制度に精通している」として、OBの起用を続けているとか。北九州市もOBが慣例で就任しているが、「担当者が不在で、経緯などは分からない」(事務局)としているとのこと。一方、過去に職員の厚遇が問題となった大阪市はOBからの選任を改め、17年4月から元大学教授が代表委員を務めており、16年前から有識者枠で公認会計士と弁護士を起用する札幌市は「民間の財務や法務に関する専門的な知識を生かす狙いがある」としているとか。総務省は18年8月、OBの監査委員選任について「特に必要がある場合以外は行わず、外部の人材登用を原則とする」との指針を都道府県と政令市に通知したが、その後も会計検査院の21年度検査で、都道府県と政令市全てで不正経理が見つかるなど、監査の不備が指摘されていると記事は評する。