芸術支援補助金の水増し請求

 読売が7月26日に掲出した「芸術支援金6千万円を不正受給…日本オペラ連盟」は、文化庁が26日、日本オペラ連盟が芸術支援金を水増しするなどして約6270万円を不正受給していたとして、連盟に全額返還を要請したと報じる。不正請求を行った元常務理事(74)=昨年3月退職=は同庁OBで、「私的流用はなかった」と説明しているとか。同庁は今後5年間、連盟からの支援金の応募受け付けを停止するとのこと。不正は昨年11月、会計検査院の実地検査の準備で発覚したもので、同庁は20年度までの5年間、連盟の19事業に約6億円の支援金を支払っていたが、このうち12事業で、公演の人件費や衣装代の水増し、支援対象外の事務費の付け替えなどが行われ、本来の額(3億9840万円)を超える4億6110万円が請求されていたとのこと。元常務理事は、文化庁会計課などに勤務し、13年から連盟で業務全般を担当していたとのこと。文化庁は支援金を拠出した際、各団体から収支報告書や帳簿の提出を受けていたが、領収書の添付は求めておらず、今後は、実地調査の回数を増やすなど改善に努めるとしているとか。刑事告発は行わないとも。

新日本監査法人早期退職者を募集

 日経電子版が7月25日に掲出した「新日本監査法人、会計士ら早期退職者400人募集」は、監査法人で国内最大手の新日本監査法人が、所属する公認会計士と会計士試験合格者を対象に400人の早期希望退職を実施する方針を固めたと報じる。2008年秋のリーマン・ショック以降、外資系企業の相次ぐ日本撤退などで収入が落ち込んでいるとの由。大手監査法人が数百人規模の希望退職者を募るのは珍しいと記事は評する。9月末にかけて募集するもので、対象は金融部など一部の部署や若手を除く会計士と会計士試験合格者約4800人とか。応募者には面談を経て原則10月末までに退職してもらい、基本給の6~10カ月分にあたる割増退職金を支払うほか、再就職支援も実施するとのこと。関係者によると早期退職募集に先立ち、パートナーと呼ばれるベテラン会計士や企業の監査を直接手がけない事務職員の早期退職も実施したとか。監査法人は金融危機後の景気低迷で収益が低迷しており、会計士試験合格者の採用を絞り込んだため「就職浪人」が増える一因となっていたとか。監査法人の経営悪化は金融庁が進めている公認会計士試験制度の見直し作業にも影響を与えそうと記事は伝える。

不正経理摘発チームに公認会計士の公募を断念

 毎日jp神奈川ページが6月25日に掲出した「不正経理会計Gメン:県が公募の公認会計士、唯一の合格者が辞退 /神奈川」〔木村健二〕は、神奈川県が24日、不正経理の再発防止策の中核として発足させる「特別会計検査チーム」(会計Gメン)のリーダーの公募で、1次選考に1人だけ合格していた公認会計士が応募を辞退したことを明らかにしたと報じる。県は選考方法の再検討を急ぐが、会計Gメンを当初の予定通り7月中に発足させるのは困難となり、再発防止の取り組みは出足からつまずいたと記事は評する。県は3月末にまとめた再発防止策で、会計Gメンリーダーの担当課長については、公認会計士などの資格を持つ人材を任期付き職員として公募し、部下の職員4人とともに業者や内部からの通報などに基づき抜き打ち検査を実施するとしており、担当課長は公認会計士を対象に5月6~26日に募集し、2人から応募があり、1次選考の書類審査の結果、県内の40代の男性が合格したものの、6月16日に「勤務先の仕事が終わらなくなり、迷惑がかかるので辞退したい」と申し出があったとの由。19日に2次選考を行い、最終合格すれば、7月20日に採用される予定だったとか。応募条件は任期が7月から3年間で、年齢制限はなく約56万円の月給を想定しており、県会計課の担当者は、公募が振るわなかった理由について「常勤で3年間の期限があるうえ、応募資格や経験を満たす人材が少なかった」と話しているとか。松沢成文知事は公募を発表した5月6日の記者会見で、人材が確保できない可能性について問われ、「正義感を持って、公共の仕事の中でも自分の専門性を発揮したいという方がいらっしゃればと思って、まずは公募していきたい」と述べていたとか。

 毎日jp神奈川ページが7月17日に掲出した「不正経理会計Gメン:公募、知事が断念方針 /神奈川」〔木村健二〕は、松沢成文知事が16日の県議会本会議で、不正経理の再発防止策の中核に位置づけた「特別会計検査チーム」(会計Gメン)のリーダーの担当課長について「再募集は行わず、検査体制を改めて見直すこととした」と述べ、公募を断念する方針を明らかにしたと報じる。県は担当課長を5月に公募したものの、1次選考で1人だけ合格した公認会計士が辞退しており、松沢知事は「公募の条件が厳しすぎたことが原因」と指摘し、会計局のチェック・指導機能の充実強化、▽抜き打ち監査の充実強化、▽現行4人の監査委員の増員、を代替策に挙げたとか。また、議会側の要求に応じて全経費を対象に実施中の追加調査について、松沢知事は「新たな費目を調査すれば、当然新たな不適正経理が出てくる可能性がある」と述べ、新たな不正経理の事例の存在を示唆しており、「近々報告、公表してまいりたい」としたとか。

 公認会計士として勉強してきた損益表示監査の基礎知識は何の役にも立たず、さらに、3年間のキャリアは将来の損益表示監査の役には立たない。まじめにキャリアアップを図ろうとしている人間にとっては無意味な時間に過ぎない。

2010年3月期からの不動産含み益開示

 朝日が7月18日に掲出した「賃貸用不動産の含み益、トップの三菱地所は2兆円」は、みずほ信託銀行がこのほど、上場企業が保有している賃貸用不動産の時価と簿価の差額の状況をまとめ、これによると、時価が簿価を上回る「含み益」が最大だったのは、東京・丸の内に多数のオフィスビルを持つ三菱地所(2兆558億円)で、ほかに、財閥系の不動産会社やJR東日本など旧国営企業が上位を占めたと報じる。日本の会計基準を定める企業会計基準委員会は、2010年3月期から、保有する賃貸オフィスやマンション、遊休不動産の総額が経営上に重要な影響を与える規模にのぼる企業に、含み損益の開示を義務づけており、みずほ信託の調べでは、これに対応して上場企業213社が5月28日までに含み損益を開示したとのこと。そのうち73%にあたる155社が含み益を抱えていたとか。トップは、唯一、含み益が1兆円の大台を超えた三菱地所であり、不動産賃借が本業の不動産・倉庫業が上位を占めていて、そのなかでも、三井不動産、住友不動産、三菱倉庫など財閥系企業が「優良資産」を抱えていたとのこと。戦前に取得したモノが多ければ当然のことだろう。不動産が副業の業界の中で上位に食い込んだのが、JR東日本(2位)、NTT(4位)、JR西日本(11位)といった旧国営企業であり、メーカー系では、昭和飛行機工業の18位(523億円)が最高位だったとか。これも戦前に取得した不動産が多いということで説明は付くはず。

JICPA新会長

 毎日jpが7月8日に掲出した「ファイル:公認会計士協会長に山崎氏」は、日本公認会計士協会が7日の定期総会で新会長に山崎彰三副会長を選出したと報じる。任期は3年とか。山崎会長は同日の就任会見で、「金融市場のグローバル化のなか、公認会計士業界も大きな転機にある。国際会計基準(IFRS)への対応などの課題解決に取り組みたい」と抱負を述べたと記事は伝える。国際会計基準は10年3月期から国内上場企業に開示が認められ、早ければ15年にも強制適用される見通しで、山崎会長は「中小監査事務所への研修など十分な準備をしたい」と述べたとのこと。

公表資料:山崎会長に聞く!~公認会計士であることに誇りを持って!

包括外部監査に財務諸表の保証が求められるリスク

 読売サイト関西発ページが7月6日に掲出した「大阪市外部監査ずさん 外郭団体の決算書点検せず 報酬2000万円 会計士」は、大阪市の外郭団体「市消防振興協会」の経営状況について、20年度に包括外部監査を行った公認会計士(66)が、決算書などの財務諸表を点検していないのに報告書に「決算書を確認した」と記載し、「財政状態は健全」と評価していたと報じる。市の監査委員監査で同協会のずさんな会計処理が発覚し、市監査委員は今年5月、「外部監査人の主張や説明とは大きな乖離がある」と異例の指摘をしていたとか。外部監査の信頼性が損なわれかねない事態に、専門家からは「前代未聞の手抜き監査で、到底市民の理解は得られない」と批判の声が上がっていると記事は伝える。同協会は、市民の防災意識向上などを目的に4年に設立され、市が100%出資していて、応急手当ての知識を広める講習会の開催や月刊誌「大阪消防」の発行を市から随意契約で請け負うなどしているが、市によると、問題の外部監査は、同協会など計13外郭団体の財務処理や経営の効率性などを検証する目的で行われたもので、市は会計士と18~20年度に契約を結び、各年2000万円の報酬を支払っていたとのこと。この会計士は報告書で「15~19年度の決算書を関係書類と適宜照合した」などと明記しており、同協会については、発行書籍の在庫が多すぎる点などを指摘したが、「財政状態は健全と言える」と結論づけたとの由。一方、市監査委員が同協会を個別調査したところ、20年度の帳簿の収支が12か月すべてで一致していなかったり会計年度区分を勝手に変更したりするなど、数々のずさんな処理が明らかになったとか。19年度も同様だったが、外部監査では一切触れられていなかったとのこと。不審に思った市監査委員が今年3月、会計士から事情聴取したところ、会計士側は「監査日数が短く、財務諸表のチェックはできなかった出納事務よりも委託契約の中身に焦点を絞った」などと説明し、「『健全』と記載したのはよくなかった」と話したとか。市監査委員の一人は「多額の税金を使っており、市民は当然、財務諸表を監査していると思っている」と批判し、報告書では「外部監査は市民の納得を得るものとなるよう取り組むべきだ」と言及したとか。会計士は現在、市の外部監査契約が終了しており、読売新聞の取材に「包括外部監査は財務諸表に何らかの保証を与えるものではない。団体ごとの監査方法を逐一記載すれば(見なかったことの)誤解は生まれなかったが、そのような断り書きは煩雑で、市民の関心事でもない。監査人としての責務は十分に果たした」としているとのこと。

 何を監査するかを監査人の任意としている「包括外部監査」は本質的に「財務諸表監査」とは異なる、ということを勉強した上で報道すべきと思う。
地方自治法(昭和二十二年四月十七日法律第六十七号)
(包括外部監査人の監査)
第252条の37
第1項 包括外部監査人は、包括外部監査対象団体の財務に関する事務の執行及び包括外部監査対象団体の経営に係る事業の管理のうち、第二条第十四項及び第十五項の規定の趣旨を達成するため必要と認める特定の事件について監査するものとする。
第2項 包括外部監査人は、前項の規定による監査をするに当たつては、当該包括外部監査対象団体の財務に関する事務の執行及び当該包括外部監査対象団体の経営に係る事業の管理が第二条第十四項及び第十五項の規定の趣旨にのつとつてなされているかどうかに、特に、意を用いなければならない。
〔第3項以下略〕

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