監査の現状

 12月27日付け日本経済新聞朝刊17面の「監査不信決算訂正の連鎖(上)厳格化、企業を揺さぶる――会計ルール強化に神経質」〔三反園哲治、戸田敬久、稲葉俊亮、山下晃が担当〕は、日興コーディアルグループなど上場企業による決算訂正が相次いでおり、これは、会計士が監査を強化しているほか、規制当局も監視を厳しくしているのが背景にあると報じる。でみすず監査法人の会計士が、10月中旬にミサワホームホールディングスの本社子会社ミサワホーム九州について、未完成の戸建て住宅を前倒しで売り上げ計上するために従業員が偽装工作をしている形跡があるとの不正経理疑惑を伝え、報告を受けたミサワHDが急きょ、社長をトップとする調査委員会を立ち上げて、30人の調査団を派遣し、疑惑が浮上した過去6年間に販売した4600棟の登記簿謄本をすべて取り寄せて、社内データと照合したと伝える。調査の結果、厳しいノルマ達成のため、未完成物件にカーテンをつけて売却済みと偽装するなど、「会計士を欺く行為」が横行するミサワ九州の実態が判明したとのこと。NECが22日に発表した決算訂正は、IT(情報技術)機器の販売で、顧客からの入金が通常より遅れている案件について、売り上げ計上は不適切と会計士が指摘したもので、従来は認められた処理だったが、来期から義務化の新しい会計ルールを前倒し適用するよう求められたとか。カネボウ事件で旧中央青山監査法人が厳しい処分を受けるなど、信頼が揺らいだ監査法人もきわどい会計処理に神経をとがらせており、売り上げ計上や減損、繰り延べ税金資産など、考え方によって会計処理に差が出る分野で、決算訂正が生じやすくなっていて、売上物件の期ズレを指摘されたある不動産会社の幹部は「昔ならば売り上げ計上できたはず」とこぼしていると記事は伝える。かつては企業が監査法人変更をちらつかせれば、ある程度の無理が通った会計監査の現場は一変し、なれ合いはもはや通じないとのこと。米国でも上場企業による決算訂正が増勢傾向にあり、米会計検査院(GAO)の調べでは、2002年に比べ05年1―9月だけで訂正が67%増えていて、うち6割は企業が自ら発見したものとか。「企業の経営者や監査役、外部監査人、規制当局がそれぞれ、財務情報の質に対する関心を高めた結果の産物」との見方が米国では主流とのこと。
 28日付け日本経済新聞朝刊13面の「監査不信決算訂正の連鎖(下)質の向上、内外から圧力」は、証券取引等監視委員会が今年暮れにかけて、東日本ハウス、TTG、日興コーディアルグループを対象として相次いで虚偽記載に絡む課徴金納付命令を勧告しており、これは、粉飾の意図まで立証が必要な刑事告発と異なり、05年に導入した課徴金制度が機動的な運用が可能となっていることによると伝える。みすず監査法人(旧中央青山)では、今年7月に本格発足した「品質管理本部」に、特定企業の監査を受け持っていない80人近い会計士らが常駐して、会計基準の解釈や具体的な会計処理の可否など、現場の会計士から寄せられる問い合わせに応じており、逆に、ある流通大手の経理担当者は「みすずの担当会計士がいちいち本部にお伺いを立てるので、最近は作業に時間がかかる」とこぼしているとか。みすずにとどまらず、新日本監査法人が今年度から、投資事業組合に絡む監査内容をチェックするための審査会を法人内に新設するなど、他の大手監査法人でも監査の品質向上に向けた取り組みを強化していると記事は伝える。監査法人内での自己点検だけではなく、自主規制機関の日本公認会計士協会は、監査法人の管理体制をチェックする「品質管理レビュー」を行っており、今月、有価証券届出書の虚偽記載で1億円超の課徴金を勧告されたTTGの場合には、会計士協もレビューで監査や会計処理の問題点を把握していたようだと記事は伝える。金融庁傘下の公認会計士・監査審査会がさらに、会計士協によるレビューの内容を審査・検査するために、監査法人に立ち入り検査しており、個別企業の監査について、しつこい検査を受けていて、対応する会計士の人件費だけでもかなりの額になるとか。検査対応コストを加味すると、監査報酬だけでは特定の顧客企業は赤字になることすらあると記事は伝える。この審査会の調査結果を受けて、金融庁は7月に新日本、トーマツ、あずさ、旧中央青山の四大監査法人に、管理体制に不備があるとして業務改善指示を出しており、このような国内での厳しい包囲網に加え、米国の会計事務所を監督する上場企業会計監視委員会(PCAOB)が今月中旬、みすず、あずさ両監査法人の検査に着手したとのこと。日本の監査法人であっても、ソニーなど米国上場企業の監査をする場合はPCAOBへの登録を義務付けられているためで、検査はテレビ電話会議システムを通じた幹部のインタビューが中心だが、「『この程度で粉飾が防げるのか』と厳しい質問を受けているとか。日本の当局よりも厳しい印象だ」との声が関係者からは漏れてくると記事は伝える。金融庁の金融審議会は先週まとめた監査法人の制度改革に関する報告書の中で、現在の「解散」「業務停止」「戒告」に加え、課徴金制度なども導入するよう提言しているが、これは、旧中央青山のように業務停止命令を受ける前に、問題点を是正する狙いで、監査法人側が強く反発する刑事罰の導入も検討課題として含みを持たせており、監査法人の責任を追及する流れは止まりそうもなく、監査業務の緊張感は一段と高まると記事は伝える。

継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況の記載例

 12月28日付け日本経済新聞朝刊12面の「会社の継続性に疑義」は、スカイマークが27日、監査を担当するみすず監査法人が同社の2006年9月中間期の半期報告書に企業の継続性(ゴーイングコンサーン)に関する注記を付したと発表したと報じる。監査法人は9月中間期に営業損益が26億5千万円の赤字となったため「継続企業の前提に重要な疑義が存在する」と指摘したとのこと。スカイマークは収益の回復などで資金状況を改善させ、重要な疑義は解消する見込みとしていると記事は伝える。

公表資料:(訂正)「平成19年3月期 中間決算短信(非連結)」の追加開示について

リース会計のパブコメ

 12月28日付け日本経済新聞朝刊13面に「会計基準委、リース取引の基準案を発表」の記事。
 記事は、企業会計基準委員会が27日、リース取引で調達した設備を貸借対照表に資産計上しなくてよい、現行の例外規定を廃止したリース会計基準案を正式に発表したと報じる。2009年3月期から強制適用するもので、新基準はウェブサイトで公表し、07年1月29日まで意見を募集するとのこと。新ルールは08年3月期からの早期適用も可能で、1件当たりのリース料総額が3百万円以下か、契約期間が1年以下のリース物件については引き続き資産計上しなくてもよい会計処理を認めるとか。

公表資料:企業会計基準公開草案第17号「リース取引に関する会計基準(案)」及び企業会計基準適用指針公開草案第21号「リース取引に関する会計基準の適用指針(案)」の公表

談合が発覚した場合に契約額の一部の返還を求める違約金制度の導入状況

 読売サイトは12月29日に「談合違約金、環境省「導入予定なし」…国交省調査」を掲出。
 記事は、談合が発覚した場合に契約額の一部の返還を求める違約金制度について、官製談合事件で摘発された旧・新東京国際空港公団が制度を導入しておらず、談合参加業者に約3000万円の違約金を請求できなかったとして、会計検査院から不備を指摘されていたことが今年10月に発覚したこと、国土交通省が国の機関や地方自治体を対象に行った実態調査で、環境省や、国際協力機構(JICA)など4独立行政法人と特殊会社1社が、「導入予定なし」と回答していたことを報じる。同制度は、契約書に特約条項を盛り込むだけで比較的導入が容易な談合防止策で、環境省を除く全省庁と47都道府県、15政令市は、導入済みか導入検討中と回答したとのこと。国交省によると、4月1日の調査時点で「導入予定なし」と回答したのは、環境省などのほか、「雇用・能力開発機構」「国立美術館」「環境再生保全機構」「日本環境安全事業」で、環境省は、「今後は導入を検討していく方向で考えたい」としていると記事は伝える。

当初は平社員一人のミスとされた日興問題

 12月26日付け日本経済新聞朝刊3面に「日興、甘い認識で後手に、不正会計組織関与認める、見解の変化、明確な説明なく」の記事。
 記事は、不正会計問題が表面化してからわずか1週間だが、当初、組織的な関与を否定して「一平社員の問題」で幕引きを考えていた日興コーディアルグループ首脳が引責辞任に追い込まれたとして、その経緯をまとめる。問題の発端となったのは18日の記者会見であり、日興は2005年3月期決算に不正な利益計上があったとして有価証券報告書を訂正すると発表し、非連結の特別目的会社(SPC)NPIホールディングス(NPIH)との金融取引で利益を水増ししたと説明していて、同日に証券取引等監視委員会も課徴金の支払いを勧告したが、同日の記者会見で、日興は「平社員一人のミス」として組織の関与を否定したとのこと。打ち出した処分は担当役員の辞任と有村社長、金子昌資会長らの報酬減額のみで、「組織ぐるみ」と判断していた監視委との食い違いが一気に表面化したとのこと。当局にしてみれば耳を疑う会見内容であり、19日には金融庁幹部らが山本有二金融担当相を囲んで対応を協議し、「上場廃止に相当するのでは」との強硬論まで飛び交ったとか。おひざ元の証券界からも「一般的に社員一人ではやりにくいと思う」(日本証券業協会の安東俊夫会長)と疑問の声があがったとのこと。東証が日興コーディアルグループ株を監理ポストに割り当てたことで株価も急落し、支店に問い合わせや苦情が殺到し、内外機関投資家から株式の発注も減少したとか。社内の雰囲気が急変したのが22日で、山本金融担当相がトップの経営責任について「経営陣の辞任や解任がありうる」と異例の言及をしたとの由。同日夕方に日興は緊急の経営幹部会合を開き、その夜には有村社長と金子会長は金融庁を訪ねて、辞任の意向を伝えたとのこと。日興幹部はクリスマスイブの夜も返上して、トップ人事などを協議し、システム担当で減俸処分の対象外だった桑島正治取締役の新社長起用を内定したとか。25日の辞任会見で有村社長は一転して「組織として利益の不正な計上があったとみられても仕方がない」と監視委の指摘通りに組織的な関与を認めたが、「社員一人のミス」などとしていた18日時点の説明との食い違いについての質問に、有村社長は「これまでの説明が不十分だった」と繰り返すだけだったとのこと。日興は特別調査委員会をもうけ、不正会計の実態を改めて調査するが、「日興グループのガバナンスの回復は証券市場に対する信頼回復に不可欠」(五味広文金融庁長官)とされ、経営陣が不正会計をどこまで認識し、ずさんな内部管理がなぜ許されたのか、との「不正の真相解明」(当局幹部)が新経営陣に課された最初の課題になると記事は伝える。

リース会計がパブコメへ

 12月23日付け日本経済新聞朝刊1面に「リース設備の資産計上、2009年3月期から義務化―会計基準委、新ルール案」の記事。
 記事は、日本の会計ルールを決める企業会計基準委員会が22日、リース取引で調達した機械設備の資産計上を義務付ける新しいリース会計基準案を決めたと報じる。2009年3月期から強制適用するもので、リース資産を簿外で処理している多くの上場企業では資産が膨らんで効率性指標の低下要因となり、企業の「リース離れ」が進んでリース業界の再編機運が高まる可能性もあると記事は伝える。基準委は来週にも公開草案として公表し、1カ月程度の意見募集を経て正式決定するとのこと。09年3月期以前の早期適用も認めることとし、1件当たり3百万円以下か、契約期間が1年以下のリース物件は引き続き簿外処理〔?〕を認めるとのこと。米国会計基準や、欧州などで採用されている国際会計基準は物件の資産計上を義務付けていると記事は解説する。

 記者がどの程度理解して書いているのか不安。

監査法人の責任の承継

 12月24日付け日本経済新聞朝刊3面に「日興の決算訂正監査、みすず、対応苦慮、当時の担当、「あらた」移籍」の記事。
 記事は、日興コーディアルグループの決算訂正を巡り、日興は18日の会見で「訂正報告書の監査を引き受けてもらう」と説明したが、みすず監査法人(旧中央青山)が正式な受諾をためらっていると報じる。カネボウ事件で業務停止処分を受けたみすずには、日興の当時の監査担当者がほとんどいないうえ、再び監査の責任論が浮上するのを避けたいからと記事は伝える。みすずは特別目的会社(SPC)に関する会計処理が問題となっている2005年3月期に日興を監査していたが、今年夏の分裂で誕生したあらた監査法人に、日興の監査チームが移籍しており、当の日興もみすずを見限って夏からあらたに監査を依頼しているとのこと。みすずが日興の訂正報告書に“お墨付き”を与えることは、SPCの非連結を認めた当時の監査を自ら否定することになり、みすず幹部は「旧担当者のほとんどがあらたにいるのに、なぜ監査を引き受けなければならないのか」と当惑しているとか。一方、あらた幹部は「旧中央青山の問題であり、当法人とは無関係」と静観するものの、旧中央青山の金融部(金融機関を担当)の大半があらたに移っていて、当時の金融部長はあらた執行部に名を連ねており、みすず側からは「責任を取って欲しい」との恨み節が聞かれると記事は伝える。

みどり市監査委員が国民宿舎の不正支出を指摘

 東京新聞サイト群馬ページは12月22日に「不明金の実態明らかに
サンレイク草木監査委員報告」〔藤原哲也〕を掲出。
 記事は、国民宿舎サンレイク草木(みどり市東町)で発覚した計約5百万円の不明金問題で、同市監査委員が21日、架空の売上伝票を作り、「大入り」と称して職員に現金を分配したり、裏口座を開設して裏金づくりをしていた実態をまとめ、公表したと報じる。市も調査チームを設けて現在調査を継続中で、年内にも結果を公表する方針とのこと。報告書によると、伝票の不正処理は16年1月、取引先の印刷業者から架空の納品請求書を送らせ、支配人の指示で「チラシ作成費」として83万6千円の架空伝票を会計担当者が作成し、同月28日に職員組合通帳に金を移して、職員やパート職など計38人に「大入り」と称して分配していたとのこと。裏金づくりでは、14年に開設した裏口座に、施設内の備品購入名目で今年6月ごろまで本会計から計約270万円が移され、一部で目的外の不適切な支出が確認されたとのこと。今回の監査で帳簿外の裏通帳は全部で計12口座を確認し、各通帳間で立て替えや仮払いなど不適切な資金運用が公然と処理されていたとか。報告書では、このほか▽営業成績の水増しと利益操作、▽営業経費で年間1千万円近い予算の増額流用、▽数千枚単位の回数券の売上金不明、▽地元利用者への不適切な値引き、などの実態にも言及しており、公金返還や組織改善、厳罰な対処を求めているとのこと。

京都府監査委員が公営電気事業の抜本的見直しを求めた

 京都新聞サイトは12月21日に「風力、水力発電事業で赤字 京都府監査委 民間譲渡など検討求める」を掲出。
 記事は、京都府が府内2カ所で行っている風力発電と水力発電が17年度決算で初めて赤字となったことを受けて、府監査委員が21日までに、「民間譲渡も含め、今後の事業の在り方を検討すべきだ」とする厳しい指摘を打ち出したと報じる。府は「まず、赤字解消の努力をしたい」と慎重な姿勢を見せているとも。府の電気事業は、伊根町の太鼓山風力発電所と、南丹市美山町の大野ダム(水力)発電所で行っており、企業会計として、発電した電気を売って独立採算制にしているが、先ごろまとまった17年度決算で、ダムの流量減少や風力発電施設の修繕などで、初めて660万円の赤字となったとか。これに対し、監査委員は定例監査の中で、22年度に電力が完全自由化されると、公営電気の売電単価は現在より下がる見込みであることに触れ、「電気事業を取り巻く環境は大きく変化している」と指摘し、その上で、全国では14-16年度末にかけ、和歌山、福島、広島の3県が相次いで公営発電所を民間電力会社に譲渡した例を挙げ、府に対して「民間譲渡などあらゆる可能性を含め、今後の事業の在り方を検討されたい」と求めたとのこと。監査委員が公営企業事業の存廃まで踏み込んで、府に再検討を促す例は珍しく、監査委員事務局は「『官から民へ』の流れの中で、府の仕事の範囲が本当にこれで良いのか考え直してほしい、との思いで委員が一致した結果だ」としているとか。厳しい指摘を受けた府企業局は「民間譲渡の検討は否定しない」としつつも、「電気事業は多少のコストはかかっても、府が環境にやさしい発電を率先することに意義がある。まずは赤字を改善できるよう工夫したい」(経営企画室)と強調していると記事は伝える。

日興側が発生原因について当局と異なる認識を示した

 12月21日付け日本経済新聞朝刊7面に「日興不正会計の波紋(下)監視委と埋まらぬ溝―訂正報告、攻防の焦点に」の記事。
 記事によると、証券取引等監視委員会が日興コーディアルに対する課徴金勧告を発表する直前に、同社が決算訂正の理由について監視委の認識と食い違う内容を記者会見で説明したと報じる。日興の発表資料には訂正の理由として、(1)他社株転換社債(EB債)の発行手続きに偽りがあった、(2)この債券を発行した特別目的会社(SPC)は連結対象にする、の2点が挙げられており、事前に監視委と擦り合わせた通りの文言だったが、会見の席上、日興が口頭で説明した訂正に至る理由は、監視委と異なる認識を示したとのこと。課徴金勧告を受けた企業・個人は弁明の機会を与えられ、内容に異議があれば「審判廷」で監視委と争う仕組みで、監視委はこの場で初めて、不正に関して押さえた証拠を公開することができ、逆に、日興が異議を唱えないと、監視委は証拠書類を公にする場がなくなるため、異議は申し立てずに、ニュアンスの異なる説明をする誘因が存在するとのこと。あいまいな決着を避ける手段として浮上しているのが、日興が2007年1月15日までに提出する予定の訂正報告書の活用で、訂正に至った事実関係などもこの報告書に書き込ませるシナリオもあるが、これを実現するうえで重要な役割を担うとみられるのが、この報告書にお墨付きを与える監査法人で、旧中央青山監査法人(現みすず監査法人)にとってこの監査は踏み絵となると記事は評する。05年4月に課徴金制度が導入されるまで、監視委は刑事告発によって制裁を科してきたが、刑事罰では粉飾の意図など裁判に堪えうる証拠集めが必要となるため、調査も長期化しがちで、これに対して課徴金は虚偽記載など投資家を欺く行為が認定できれば処分を勧告でき、今年に入って出された課徴金勧告は16件と多く、数の多さが物語るのは迅速な処理に向けた使い勝手のよさだが、スピードを優先する戦術が日興の場合は裏目にでたと記事は伝える。粉飾の意図まで問わない制度の盲点を突かれたためで、当局の一部では「刑事告発を前提に調査を始めるべきだ」との声もじわり広がっているとか。

IASBが金融商品についてパブコメ

 12月21日付け日経金融新聞9面に「IASB、金融商品の公正価値測定、基準作りへ意見公募」の記事。
 記事は、国際会計基準理事会(IASB、本部ロンドン)が20日から、金融商品の公正価値を会計上どのように測定するべきかを議論するためのたたき台を公表し、それに対するパブリック・コメントの募集を始めていると報じる。企業や金融機関の会計に計上される金融商品や負債などに関する公正価値の測定基準は現在、案件ごとに違うため、IASBは広く意見を募ることで、統一基準づくりを目指すとのこと。パブリック・コメントは2007年4月2日まで募集するとか。たたき台となるのは、米国財務会計基準審議会が事前に作成した基準の素案で、内容は公正価値の定義や、取引価格と公正価値の関係をどうみるべきかなどと記事は伝える。

米国で内部統制ルールが緩和へ

 12月21日付け日経金融新聞11面の「米、内部統制ルール緩和、PCAOB委員、「不要な監査排除」」〔ワシントン=山本留美子〕によると、米上場企業会計監視委員会(PCAOB)は19日、企業の社内管理体制などを定めた「内部統制ルール」の適用基準を緩和する指針を発表し、これによると、会計処理で不正や誤りを起こすリスクが高いものに監査対象を限定し、項目も108項目に半減するとのこと。中小企業の監査項目を監査法人が自主判断で減らせる措置も盛り込んでおり、2007年度決算から順次適用するとか。

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監査法人への刑事罰を求める声も存在

 12月21日付け日経金融新聞9面に「監査法人改革機運が後退―当局、厳罰路線を変更?(会計最前線)」〔玉木淳〕の記事。
 記事は、金融審議会(首相の諮問機関)が22日にもまとめる最終報告書に、監査法人への刑事罰導入など厳罰を求める路線が後退していることについて、旧中央青山監査法人の不祥事を機に始まった監査法人改革の機運が今ひとつ盛り上がっていないと評してみせる。日本の株式市場の信認を失墜させたにもかかわらず、一部を除き関係者から粉飾決算を防止する意気込みが薄れ始めているようにみえると記事は説くが、厳罰化することが「粉飾決算を防止する意気込み」なのかは疑問。18日の金融審は方向性をまとめる初めての場だったが、金融庁がこれまでの議論を総括してまとめた報告書原案では、焦点の「刑事罰」について「引き続き十分な検討が必要」と導入を見送る方向性を示し、これについて、弁護士出身や消費者団体出身の委員らが「この1週間でトーンが大きく変わった感じがする」と改革路線の後退を懸念する意見を表明し、「開示不祥事が相次いでいるのにややバランスを欠く」と再考を求めたとか。これを記事は改革路線を標榜していた金融庁の姿勢の微妙な変化に対する反発が出た格好と評する。

米国SOX法の重み

 12月20日付け日経金融新聞11面に「内部統制ルール適用、米、中小向け再び延期――SEC、最長1年5ヵ月」〔ワシントン=山本留美子〕の記事。
 記事は、米証券取引委員会(SEC)が中小企業の内部統制ルール適用について、当初予定より5カ月から1年5カ月延期する方針を発表したと報じる。株式時価総額が7500万ドル未満の場合、経営陣による検査報告義務は2007年12月から、外部監査法人によるチェックは08年12月からそれぞれ始まるとのこと。内部統制ルールは、上場企業が正確な財務諸表を作るための社内体制を整え、文書化する仕組みで、株式時価総額が7500万ドル以上の米企業には04年11月から、同7億ドル以上の外国企業には06年7月から適用されているとのこと。外国企業のうち発行済み株式の時価総額が7500万―7億ドルの中規模企業については、外部監査法人による証明義務を当初予定より1年延期して07年7月から義務づけるとか。経営陣の検査報告義務は今年7月に導入済みとのこと。中小企業向けの適用延期を決めるのは4度目で、03年に発表した当初案では、ルール適用を05年4月以降としていたが、中小企業への負担に配慮して先延ばしを繰り返してきたとの由。内部統制をめぐってはSECが13日、経営陣が検査項目を自主的に決められるようルールの弾力化を提案したとか。SECは中小企業向けの導入延期とあわせて「企業が内部統制の整備を進めやすくなる」としているとのこと。

会計基準委はSPCの情報開示強化を求める

 12月20日付け日本経済新聞朝刊3面に「会計基準委、特別目的会社、情報開示を強化、母体の出資比率・取引内容、透明性を向上」の記事。
 記事は、企業が投資事業などに使う特別目的会社(SPC)を巡り、透明度向上を求める議論が高まってきたとして、企業の会計基準を決める民間組織の企業会計基準委員会が、2008年3月期決算から設立母体企業にSPCとの資本関係や取引金額などの情報開示を義務付けること、また東京証券取引所の西室泰三社長が19日、SPCの会計処理に早期のルール整備が必要との認識を表明したことを伝える。企業がSPCを活用する事例は大きく二つに分けられ、一つは自社が持つ債権などをSPCに譲渡する形で資金調達に使うケース、もう一つが不動産やベンチャー企業などに投資をする際にSPCを使って外部の資金を受け入れ、SPC経由の投資案件の収益を出資者が持ち分に応じて分配するケースだが、最近は投資事業にかかわるSPC設立が急増しており、大型の不動産開発や企業再生などリスクは高いが、大きな収益を期待できる事業での活用例が目立つとか。将来の転売を目的とした株式保有など一定の条件を満たせば、設立企業の決算に反映しなくてもいいルールが使い勝手の良さと受け止められている面もあるとのこと。ただ現状のルールには投資先の収益悪化などで母体企業の業績に影響が出たり、資産の転売などで決算操作に使われたりする可能性もかねて指摘されており、18日に日興コーディアルグループが過去に公表した有価証券報告書を訂正すると発表したのも、SPCの取り扱いが問題だったとか。会計基準委は企業のSPC活用が外部から分かりにくく、投資家が不測のリスクを被る恐れがある点を重視しており、企業にSPCを連結対象とするよう求めることも視野に、改善策を探ってきたが、今回、導入するのはSPCに関する情報開示の強化で、母体企業との取引の内容や目的、将来の追加負担の可能性などの開示を義務付け、SPC自身の資産や負債も開示させるとのこと。年明けにも公開草案を公表し、06年度中にも最終案をまとめる方針とか。本来なら母体企業の決算にSPCを連結すればいいが、企業側には使い勝手が悪くなり、利用価値がなくなるとの反対論も多く、そこで連結範囲を巡る議論の決着に先駆け、詳しい情報開示を企業に求めることで、従来よりもSPCを含めた企業グループの実態が把握しやすくなる効果を目指すことにしたとか。東証の西室社長は19日の記者会見で、日興コーデの問題で「SPCの会計処理が最大の問題点。(ルールは)まず布令や省令で決めるべきだが、将来的には状況を見ながら東証としても何か決めなくてはならなくなるかもしれない」と発言したとの由。ライブドアの粉飾決算問題では、会計基準委が9月に投資事業組合について連結決算から安易に外せなくする新ルールを発表した経緯があり、投資事業組合と似た機能を持つSPCにも、同様の問題意識が東証など関係各所から浮上し、SPCの連結範囲を巡る議論が加速しそうと記事は解説する。
 同紙3面の「特別目的会社、国際基準は「連結」、米、エンロン事件後厳しく」は、SPCの会計基準が世界的に厳格化の流れにあること、米国では、破綻したエネルギー大手、エンロンが不正に連結から外したSPCとのデリバティブ取引で利益操作した事件を受け、SPCの連結ルールが厳しくなっていること、欧州などで適用されている国際会計基準では基本的に、企業の傘下にあるすべてのSPCを連結の対象として扱い、日興コーディアルグループがSPCを非連結としていたような「投資育成目的」であっても原則、連結から外すことができない仕組みであることを伝える。会計基準の世界的な共通化の動きが進むなか、日本基準のSPCの連結範囲は国際会計基準と大きく食い違うと指摘されており、こうした状況を踏まえ、日本の企業会計基準委員会はSPCの連結範囲の明確化に向け、07年中には一定の方向性を示す見通しとか。

ミサワ九州が監査法人の目をごまかした

 12月19日付け日経産業新聞23面に「ミサワホーム、不適切会計処理で会見――子会社社長、引責辞任へ」の記事。
 記事は、ミサワホームホールディングスが18日、連結子会社で福岡証券取引所上場のミサワホーム九州が2006年3月期までの5期にわたり、「不適切な会計処理があった」と発表したと報じる。監査法人の目をごまかし、翌期に計上すべき売り上げを前倒しで計上していたとのこと。ミサワ九州の田代久幸社長は来年2月にも開く臨時株主総会で引責辞任する考えとか。ミサワHDの水谷和生社長らが東京都内で記者会見し、調査結果を公表したもので、ミサワ九州が前倒しで計上していたのは、02年3月期から06年3月期の各期に89―147棟、計3755棟の16%が前倒しされたとのこと。1999年3月期下期から始まったと見ているとか。21日に決算内容を訂正するが訂正後はミサワ九州は前期まで3期連続の債務超過に転落する見通しで、03年3月期と04年3月期は違法配当だったことになり、福岡証券取引所は上場廃止にする方向とか。一方、同日福岡市内で会見したミサワ九州の田代久幸社長は、「目標達成への圧力に(社内が)過剰反応した」と説明し、ミサワHDは来年2月に関係者を処分するとか。他の子会社では不正計上はなかったとしていると記事は伝える。

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日興担当の会計士はあらたに移籍

 日経サイトは12月18日に「みすず、調査チーム発足へ・日興の不適切な利益計上疑惑」を掲出。
 記事は、日興コーディアルグループの2005年3月期連結決算で不適切な利益計上の疑いが出ている問題で、監査を担当し「適正意見」を出したみすず監査法人(当時は中央青山監査法人)が、近く調査チームを発足させると報じる。現在の日興の監査担当は旧中央青山から分離したあらた監査法人だが、日興が訂正報告書を出すかどうかを検討しており、みすずも何らかの対応に迫られる可能性があると判断したとのこと。みすずは、日興の不適切な利益計上疑惑について「会計上も監査上も問題ない」としているが、仮に企業が決算書を訂正する場合は監査の対象になるが、日興を監査していた当時の担当会計士のほとんどがあらたに移籍しており、このため、みすずは法人内のリスク管理や品質管理担当者らで構成するチームを設け、情報収集を急ぐと記事は伝える。

愛知県の外部監査人の監査結果

 中日新聞サイト愛知ページは12月19日に「1千万円以上はすべて随意契約 県教委の委託事業」〔山本真嗣〕を掲出。
 記事は、愛知県が18日に公表した本年度の包括外部監査で、県教育委員会が2005年度に民間などに委託した1000万円以上の全10事業について、すべて随意契約となっていることが分かったと報じる。このほか、関連団体に支給された補助金の8割が県から派遣された職員の人件費になっているケースもあり、監査人は県教委に過大な補助金や委託事業の見直しを求めているとのこと。包括外部監査人の公認会計士が、本年度は県教委の財務事務と財団法人県教育・スポーツ振興財団の事務などについて監査を実施し、18日に神田真秋知事に報告書を提出したもので、それによると、17年度に県教委が民間企業などに委託した1000万円以上の事業は定期結核健康診断(約2860万円)、体育・野外活動施設管理運営(約1億890万円)など10事業で、県教委の規定では100万円を超える事業は原則、競争入札をすることになっているが「過去の実績が豊富で技術が確実」「他社ではできず、ノウハウが蓄積されている」などとして、いずれも随意契約にしていたとのこと。これらについて、外部監査人は「高度な技術者のみにしかできない業務内容とは考えにくい」とした上で、競争入札の必要性を指摘しているとか。また、県教委が17年度に県体育協会の運営費補助金として支給した約4180万円のうち、約76%にあたる約3200万円は、県から派遣された3人の人件費となっており、外部監査人は「他県の同種協会との比較による適正人数の把握を行っておらず、人件費が過大になっている可能性がある」と指摘し、補助金の廃止も含めて対応するよう求めたとのこと。このほか、教員給与についても農業、水産、工業高校や定時制高校の教員らに支給される手当が給料月額の6-10%と定められていることを挙げ「手当は一定の業務に対する対価で、給与月額に比例する性格のものではない」と言及し、「民間企業と比べると、教員給与はかなり高い水準で、優遇措置を縮小することを検討するべきだ」と指摘したとか。

茨城県監査委員が委託事業の精算を求めた

 12月19日付け日本経済新聞地方経済面41面に「県監査委、実績報告再提出を、NPO委託事業巡り勧告」の記事。
 記事は、茨城県監査委員が18日、特定非営利活動法人(NPO法人)などに委託して17年度に行った事業費支出について「事業者から出された実績報告書に不備が見られる」として、19年1月31日までに契約の履行や金額を再確認して報告するよう求めることなどを橋本昌知事に勧告したと報じる。勧告の対象は「ひきこもり当事者への社会参加支援事業」で、県内のNPOらに事業を委託したが、各事業者が県に出した実績報告書について「経費として不自然なものがある」として、別のNPOから監査請求があったとか。監査の結果、報告書には一部誤りや不備があったが、県が見落としていたとのこと。事業に必要な経費を監査委員が試算したところ、2事業者の事業費は県との契約額を下回ったとか。監査委員は事業者に対し改めて実績報告書の提出を求め、履行状況を確認することや、経費が契約額を下回る事業者に対しては返還を求めることを勧告したとのこと。

愛知県の包括外部監査人の報告

 12月19日付け日本経済新聞名古屋朝刊21面の「愛知県包括外部監査人、教員給与優遇縮小求める(ピックアップ)」の記事は、愛知県包括外部監査人の公認会計士が18日、県などに18年度の監査結果を報告し、教員給与の優遇措置に関して「民間企業と比べるとかなり高い水準にあり、縮小を検討すべきだ」と、是正を求めたと報じる。

金融審は監査法人に対する課徴金制度導入の方向

 12月19日付け日本経済新聞朝刊7面に「金融審、不正関与の監査法人、課徴金を提言へ」の記事。
 記事は、金融審議会(首相の諮問機関)が、不正に関与した監査法人に対し、事実上の制裁金に近い「課徴金」を科す方向で提言する見通しと報じる。18日の会合で、旧中央青山監査法人に対する業務停止命令が監査先企業に大きな影響を与えたことを踏まえ、実効性のある経済的なペナルティーを用意する必要があるとの意見が大勢を占めたとか。金融庁は同日の金融審に事務局としてこれまでの議論を踏まえた形で監査法人改革の報告書原案を取りまとめ、提示しており、22日までに結論を出して、最終報告書を作成するとのこと。金融庁は課徴金について、「経済的な手段で対応できることはきわめて重要」と指摘し、導入を提言しており、委員から異論は出ず導入の方向性が固まったとか。ただ、上場企業などを対象に導入した昨年の証券取引法の改正では、不当利得の算定額などを巡り、調整が難航しているとのこと。金融庁が来年の通常国会に提出予定の公認会計士法改正案に盛り込めるかはなお流動的な要素も残っていると記事は伝える。焦点の「刑事罰」について金融庁は、「引き続き十分な検討が必要」との原案を提示し、導入見送りを示唆したとか。基本的には刑事罰の新設は見送り、課徴金導入の調整が難航した場合に代替案として取り上げることを考えているが、消費者代表などの複数の委員は「粉飾決算を抑止する効果が大きい」などと猛反発し、再考を求めたとのこと。金融庁は2重処罰を禁じる憲法に抵触する恐れがあるとして、「課徴金」と「刑事罰」の両方を同時に新設することにも難色を示しており、いずれも22日まで結論を持ち越したとの由。

日興コーディアルグループの決算に監視委が関心

 12月16日付け日本経済新聞朝刊1面に「2005年3月期、日興、不適切な利益計上――監視委調査、課徴金も視野」の記事。
 記事は、証券大手日興コーディアルグループが2005年3月期決算で、不適切な会計処理をした疑いがあるとして、証券取引等監視委員会が調べを進めていると報じる。グループ企業の会計処理で利益を水増しした疑いがもたれており、監視委は日興に決算の訂正を促すとともに、金融庁に課徴金の納付を命じるよう勧告することも視野に調査しているとのこと。監視委が問題としているのは、日興の全額出資子会社で自己資金投資を手掛ける日興プリンシパル・インベストメンツ(NPI)と、その子会社のNPIホールディングス(NPIH)で、両社は04年8月にデリバティブ(金融派生商品)を取引し、その結果NPIでは同年9月中間期に約140億円の評価益を計上しており、一方のNPIHでは同額の評価損が出ていたもようで、日興はこの取引で生じた評価益だけを連結決算に反映し、評価損を抱えたNPIHを連結決算から外す会計処理をしていたとのこと。NPIがNPIHとの取引などを通して計上した利益は05年3月期で約170億円に上り、これは同期の連結経常利益の22%、最終利益の36%に相当する規模とのこと。日興の監査を担当した中央青山監査法人(当時)はこの会計処理が適正との意見を出していたが、監視委は実態とは異なるグループ収益が開示されていたとみているもようと記事は伝える。日興は利益を水増しした疑いのある05年3月期の財務諸表を開示資料として使って05年11月に5百億円の社債を発行しており、投資家の判断が不適切な会計処理に基づく開示資料によって影響を受けた可能性もあり、監視委は過去最大となる5億円の課徴金支払いを命じるよう勧告することも視野に入れているとのこと。日興は監視委の指摘を受け、自主的に05年3月期の財務諸表を訂正すべきかどうかを協議しているが、日興関係者の間では自主的に訂正すべきとの意見がある一方、訂正すれば株主代表訴訟を受けるリスクもあるため、慎重論も強いとか。日興首脳は日本経済新聞の取材に、「監査法人から適正意見をもらっており、適切な会計処理をしたと認識している」と話しており、訂正しないことで社内の意見がまとまった場合、監視委の課徴金勧告に対して日興側が不服を申し立てる可能性もあるとか。
 同紙4面の「不適切な利益、日興が計上、特別目的会社連結外し、デリバティブ取引、損失、反映せず」は、日興コーディアルグループの会計処理をめぐる問題点は、100%出資の特別目的会社(SPC)を連結決算の対象にせず、このSPCの金融取引に伴う損益をきちんと計上しなかったことにあるとし、その詳細を解説している。記事によると、日興の子会社である日興プリンシパル・インベストメンツ(NPI)は2004年8月、100%出資しているSPCのNPIホールディングス(NPIH)を通じ、コールセンター大手ベルシステム24の株式を大量に取得し、一方、NPIとNPIHはベル24の株価によって損益が変動するデリバティブ(金融派生商品)取引を締結し、その後、ベル株が上昇したことでNPIは140億円程度の利益を上げ、親会社である日興コーディアルの05年3月期連結決算に計上したとのこと。この金融取引で、NPIHはNPIと同額の損失を抱えたもようで、いずれもグループ内部の取引なので、本来なら連結決算上は利益・損失を相殺するのが通常の処理だが、日興は評価益を計上しながら、損失分については連結決算に反映しなかったとのこと。現在の会計ルールでは「投資育成目的で株式を保有する場合には、保有先企業を連結しなくてもよい」という規定があるが、これはベンチャーキャピタルなどが将来の売却を前提に株式に投資するケースなどを想定しているもので、日興は「NPIHは投資育成目的なので非連結でかまわない」という理屈で、連結対象にしなかったものの、結果として利益だけが決算に反映されたわけで、証券取引等監視委員会はこの点が不適切と判断したもようと記事は伝える。

監査で判明した不正の通報を義務化の方向

 12月16日付け日本経済新聞朝刊4面に「企業の粉飾決算など、会計士に不正通報義務、金融審提言へ、2008年度導入」の記事。
 記事は、金融審議会(首相の諮問機関)が公認会計士が粉飾決算など不正を発見した場合、金融庁に通報を義務づけることを提言する方針を固めたと報じる。旧中央青山監査法人の事件で明らかになった企業と監査法人のなれ合い体質を断ち切るのが狙いで、同様に社内の目付け役である監査役の権限も強化して、経営者の独断専行に歯止めをかけるとか。金融庁は2008年度の導入を目指していると記事は伝える。金融庁が18日の金融審で提出する報告書原案の中に盛り込まれ、22日にも最終決定して公表するとのこと。金融庁は証券取引法などを改正して、少なくとも約3800社の上場企業の監査を対象にする方向で調整するとか。今は会計士が不正を見つけた場合、経営者か監査役に通報し是正を促す仕組みだが、企業が会計士の指摘を無視したり、企業と会計士が癒着して不正を隠ぺいすることを懸念する声が出ており、不正の疑いも含めて金融庁にいち早く情報が届くようにすることで、証券取引等監視委員会などが不正を摘発しやすくなるとのこと。新ルールでは企業の粉飾決算が発覚した後に、金融庁への通報を怠ったことが分かれば、その会計士は懲戒処分の対象になる可能性が高いと記事は伝える。金融審は会計士による外部監査だけでなく、監査役による内部監査も強化することとしており、現在は監査法人を選んだり、監査法人に払う報酬額を決定したりする権限は経営陣にあるが、この権限を監査役に移す方向で調整に入るとか。経営者が不正をしている可能性がある場合でも、監査法人が監査契約を破棄されるのを恐れて十分な調査をしないといった事態が起きるのを防ぐ狙いとのこと。会社法を所管する法務省に法改正を要請するとか。

検査院が作業服を自前で準備

 時事は12月16日に配信した「調査用物品「自前で用意」=全都道府県に通知-会計検査院」は、会計検査院が地方自治体に検査に入る際に、調査官が現場で着用する作業服などを地元負担で準備させていた問題で、今後は必要な物品を自前で用意するとした通知を検査院が全都道府県に出していたと報じる。高知県が今月6日に物品提供に応じないことを通告して検査院側も了承した経緯があり、検査院の田沢久雄渉外広報室長は「複数の自治体から問い合わせがあり検討した結果、統一的な対応を取ることにした」と説明しているとか。

公認会計士の「合同会社」を制度化の方向

 12月18日付け日本経済新聞朝刊3面に「「合同会社」選択、監査法人可能に、金融審が最終調整」の記事。
 記事は、金融審議会(首相の諮問機関)が監査法人に所属する公認会計士の損害賠償責任を軽減する「合同会社」化を認める方向で最終調整に入ったと報じる。監査法人が財務諸表の開示や最低資本金規制などの条件を満たせば、合同会社を選択できるようにするというもので、金融庁が業務内容を審査できる「登録制」を義務付けるとか。金融庁は2008年度導入を目指しているとのこと。金融審は不正に関与した監査法人への罰則強化を検討中でね同時に、会計士法で有限責任制を導入する方向と記事は伝える。

監査法人の辞任の記者発表

 12月15日付け日本経済新聞朝刊18面の「セラーテム、会計監査人をトーマツが辞任」によると、セラーテムテクノロジーが14日、会計監査を担当していた監査法人トーマツが同日付で辞任し、一時会計監査人として隆盛監査法人を選任したと発表したとのこと。「新たな会計監査体制を検討すべくトーマツと協議を重ねたが合意できなかった」としているとのこと。

米国の内部統制ルールが緩和の方向

 12月15日付け日経金融新聞9面に「米企業の内部統制ルール、経営陣が検査対象絞る、SECが緩和案」〔ワシントン=山本留美子〕の記事。
 記事は、米証券取引委員会(SEC)が、2002年に成立した企業改革法の柱である内部統制ルールの緩和ガイドラインを公表し、それによると、内部統制が機能しているかどうかの検査項目や、社内手続きを文書で残す作業について、経営陣の判断で対象を絞り込めるようにすし、「形式的で煩雑」と批判のあったルールを簡素化して、企業の負担を軽くするものと報じる。内部統制ルールは上場企業が正確な財務諸表を作るための社内体制を整備し、文書にしておく仕組みで、経営陣が内部統制の適正さを証明したうえで、外部の監査法人による監査を義務付けているものと記事は伝え、SECのガイドラインを受けて、監査法人の監督機関である米上場企業会計監視委員会(PCAOB)は19日、検査項目の見直し案を盛り込んだ改正実務指針を公表すると報じる。中小企業向けの適用ガイドラインも同時に発表する見通しとか。SECのガイドラインは、経営陣が内部統制の効率性を検査する際、「財務諸表に大きな影響を与えかねない」と判断した項目だけを対象にすることを認めており、これまではPCAOBが定めた監査法人向けの指針をもとにしていたが、経営陣の不満が多かったとのこと。意思決定などの手続きを文書に残すルールについても、経営陣が必要と判断した範囲に対象を絞るよう提案し、外部の監査法人は経営陣がチェックした項目を改めて検査しなくてもいいようにするとのこと。内部統制ルールとは別に、外国企業のSECへの登録規制も緩和し、現在のルールでは、米国内に3百人超の株主がいる場合は米市場の上場をやめてもSEC登録を続ける必要があるが、これを改め、米市場での売買高が「過去1年間で本国の5%以下」の外国企業は登録しなくていいようにするとか。現行規則では「登録廃止は事実上、不可能」との批判が多かったことに対応するもので、新ルールの適用で、SECに登録する外国企業1200社のうち28%が登録せずに済むようになるとのこと。新たなガイドラインや実務指針は早ければ来年4月末に発効し、2007年度決算から適用される見通しで、コックスSEC委員長は内部統制ルールの見直しなどにより「米市場が外国企業にとってより魅力的になることを期待する」と述べたとか。

米国上場日本企業が内部統制で先行体験

 12月15日付け日本経済新聞朝刊19面に「内部統制「欠陥」6社が開示、日立など米上場日本企業、人材不足など対応急ぐ」の記事。
 記事は、米国に上場している日本企業のうち、日立製作所など6社が2005年度末時点で財務報告にかかわる内部統制に「重大な欠陥がある」と開示したと報じる。米国会計基準に基づいて決算書を作成する際の統一的な処理手順や人材の不足が原因で、日本でも内部統制ルールの導入を08年度に控えており、米国で先行開示する企業の不備を受け、対応に拍車がかかりそうと記事は伝える。米証券取引委員会(SEC)に正式な年次報告書を提出している日本企業は、ニューヨーク証券取引所などに上場する26社で、開示した6社中、日立やアドバンテストは米国会計基準で決算書を作成する手順や担当者が不足していると記述しており、三菱UFJフィナンシャル・グループは米国基準へ組み替えた際にミスが多発したことを記しているとのこと。NECは米国での追加的な監査手続きが遅れ前3月期の年次報告書を未提出だが、会計方針や人員の面で米国基準に対応した是正が必要と明記することは発表済みとか。内部統制に問題があっても、それ自体で決算書の正確性が否定されるわけではなく、米国上場に影響はないが、欠陥の是正について投資家の関心が強まっており、各社は対応を急いでいるとのこと。アドテストは、決算担当の社員約10人に年30時間のセミナーなどによる学習ノルマを課し、米国基準などの知識習得を義務付けたとか。トレンドマイクロは問題となったストックオプションの処理を外部の専門業者にも委託して見直したほか、内部統制担当者を新たに採用しており、日立やクボタも指摘を受けた会計処理の変更などを済ませたとのこと。

ファニーメイの監査責任

 12月15日付け日経金融新聞9面の「米ファニーメイ、KPMGを提訴、損害賠償、20億ドル要求」〔ニューヨーク=蔭山道子〕によると、米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)が2004年9月に発覚したデリバティブ(金融派生商品)の不正会計処理問題をめぐって、04年12月まで同社の監査を担当していた監査法人KPMGに損害賠償金として20億ドルの支払いを求めて提訴したとか。ファニーメイは、問題となった1998―2004年にデリバティブの会計処理に誤りが生じたのは、KPMGが外部監査人としての機能を果たさなかったためだと主張しており、KPMGはファニーメイが作成した会計書類を形式的に承認しただけという場合も多かったほか、内部管理に関する助言も怠っていたとし、こうした職務不履行によって「会計の見直し費用など総額20億ドル超にのぼる損失を被った」との主張らしい。ファニーメイの監督機関である米連邦住宅公社監督局(OFHEO)のジェームス・ロックハート局長は「ファニーメイの主張はOFHEOの調査結果とも一致する」と指摘して、KPMGへの提訴は妥当という見方を示しているとか。

新リース会計

 12月13日付け日本経済新聞朝刊17面に「新リース会計にらみ再編急ぐ」の記事。
 記事は、リース取引を巡る新しい会計基準の導入に向けた議論が本格化していることを背景にして、リース各社が再編を急いでいると説く。米国など海外の会計基準では、リースで調達した機械設備は購入したとみなして貸借対照表に資産計上するが、日本の現行基準には、リース取引を賃貸借とみなし資産計上せずに済む例外規定があり、大半の企業がこれを適用しているとのこと。日本企業にとっては、総資産の膨張を抑えられるうえ、リース会社に毎月支払うリース料全額が税務上損金算入されるといった節税効果があり、また、複雑な減価償却の計算が必要でなくなることなど、リースの活用には様々なメリットがあるとか。欧米などとの会計基準の調和を急ぐ企業会計基準委員会は7月、こうした例外規定を廃止した新基準の試案を発表しており、これに対しリース業界側は「リース離れを引き起こしかねない」などと強く反発しているが、税務との調整が済んでいないこともあるものの、国際的な会計基準の共通化の波が押し寄せる中、資産計上の義務化は避けられない情勢とか。試案では、リース料総額が1件あたり3百万円以下の少額物件は従来通りの会計処理を認めるなど企業側に一定の配慮を示したが、企業の間に「リース離れ」が起きる可能性は残ると記事は伝える。
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