公会計監査と損益表示監査

公共財供給のための公権力による財源調達及びその使途の妥当性・経済性・有効性を検証する監査と、収益活動体の期間損益及び繰越損益並びにそのリスク関連情報の真実性を検証する監査に関するニュース

虚偽表示の損害はどこに発生しているのか

 下野新聞は12月28日に「監査法人、損害ないと主張 足銀粉飾で」を掲出。
 記事は、足利銀行の2001年3月期決算で、旧経営陣による違法配当(粉飾決算)に関与したとして、同行が会計監査していた中央青山監査法人と当時の同行監査役4人に、旧経営陣と連帯し総額約11億円の賠償を求めた訴訟の第2回口頭弁論が27日に宇都宮地裁で開かれ、監査法人側は、銀行が株主に利益返還を求めていないことを理由に「11億円の(粉飾の)損害は発生していない」などと主張したと報じる。監査法人側は陳述した準備書面で、原告が01年3月期決算で11億円を違法配当し足銀に損害を与えたと主張した点について「原告は、配当を受けた株主に利益返還を求める訴訟をしていない。その訴えがなければ、仮に違法配当があっても損害が発生したとは評価できない」と反論したとのこと。

処分を受ける可能性を名目とした監査人変更

 12月28日付け日本経済新聞朝刊17面に「グロバワンの監査人、中央青山から、新日本に変更」の記事。
 記事は、不動産投資信託(REIT)のグローバル・ワン不動産投資法人が27日、2006年3月15日付で会計監査人を中央青山監査法人から新日本監査法人に変更すると発表したと報じる。同日開催の投資主総会(株式会社の株主総会に相当)で承認を受けることが条件となっているとのこと。変更理由をグロバワンは「カネボウの粉飾決算事件に絡み、中央青山が金融庁の行政処分を受ける可能性があるため」としているとか。中央青山が処分を受けた場合、監査業務に支障が出て分配金の支払いなどが遅れる懸念があるとのこと。グロバワンは投資家のリスクを軽減するため監査法人の変更が必要と判断したと記事は伝える。中央青山監査法人は「当法人が取り組んでいる改革が理解されず残念。多くの会社は当法人を信頼してくれていると思う」とコメントしたとのこと。

公表資料:会計監査人の異動に関するお知らせ

愛知県の包括外部監査の結果

 12月27日付け日本経済新聞地方経済面7面に「包括外部監査人、愛知県の補助金見直しなど提言」の記事。
 記事は、愛知県の包括外部監査人である公認会計士が26日、知事と県議会などに対し、県補助金の見直しなどを柱とする17年度の監査結果を報告したと報じる。今年度の監査テーマは県産業労働部の補助金事務と下水道事業の財務などで、補助金については1件あたり50万円未満の補助金が16年度に269件、4700万円あったことを指摘し、効果に疑問があるとして、廃止も含めた少額補助金の見直しを求めたとのこと。下水道事業では特別会計に計上されている人件費について、年間の予算超過が見込まれた昨年5月以降、給与の高い職員の人件費を一般会計に計上し、低い職員を特別会計で処理していた事実が判明し、会計区分の明確化の観点から適切でないとしたと記事は伝える。

徴収手続を怠った責任

 神戸新聞は12月21日に「尼崎市課税漏れ 幹部3人に過失 監査委報告」を掲出。
 記事は、尼崎市がマンション建設用地を転売した建設会社から特別土地保有税約1億3千万円(延滞金含む)を徴収していなかった問題で、市監査委員が20日、当時の税務部長ら幹部職員3人に重大な過失があったとする監査結果を白井文市長に報告した。監査委は「動機は不明」とした上で、当時の理財局長と税務部長、資産税課長が徴収手続きを怠り、人事異動の際にも後任に引き継いでいなかったと指摘し、損害賠償を3人に求めるかどうかは市長の判断に委ねたとのこと。問題の土地(約3500平方メートル)は、大阪府の建設会社が3年に取得し、9年に別の業者に転売した後、マンションが完成した経緯があり、同税は、土地が住宅に使用されるまで課税が猶予されるが、所有権が移り住宅地になった場合は取得時にさかのぼって適用されるとか。しかし今年3月、市が3―9年分の同税を徴収していなかったことが判明し、既に15年に時効となっていたとの由。

金融庁がEUへ2年延期を提案

 12月24日付け日本経済新聞朝刊3面に「金融庁、2年延期を提案へ、決算追加開示でEUに」の記事。
 記事は、欧州連合(EU)が域内で資金調達する日本企業に2007年から決算情報の追加開示を求めた問題で、金融庁は来年1月、EUに追加開示を始める時期を2年程度延期するよう提案すると報じる。同じく追加開示を求められた米国に対してEUが延期を認める公算が大きくなっているためと記事は伝える。EUは域内で上場したり、債券を発行したりしている日本企業に対し、07年1月1日から特別目的会社や海外子会社の業績、合併した相手企業の資産評価などを追加開示するよう求めたとのこと。日本企業は二重開示による負担を懸念し、「2007年問題」として注目していたとの由。09年に会計基準を共通化する米国について、EU幹部が10月以降、「現在の状態を延長することが最善の進め方」(マクリービー委員)などと07年の追加開示を見送る発言を繰り返しており、金融庁が日本にも延期を認めるか確認したところ、EUが「延期するなら日本も一緒だ」と回答したとのこと。金融庁は来年1月中旬の政府間協議(次官級)で正式に延期を求め、EUが来年三月までに結論を出すとの由。EUは延期を認める条件として、会計基準の共通化を求めており、日本の会計基準を作る企業会計基準委員会は国際会計基準理事会(IASB)と会計基準の共通化作業を進めているが、米国のように目標時期を決めておらず、このため企業会計基準委が来年初頭にも新たな作業計画をまとめるとか。新計画は来年三月のIASBとの会合で日本側から提案すると記事は伝える。

IASB評議員人事

 12月24日付け日本経済新聞朝刊7面に「国際会計基準運営財団、中国・インドから評議員、新興市場の意見反映」〔ロンドン=田村篤士〕の記事。
 記事は、国際会計基準理事会(IASB)の人事や予算権を持つ最高意思決定機関である財団評議会が、来年1月から評議員を19人から22人に増員し、新評議員に中国(中国公認会計士協会の劉仲藜氏)とインド(大手情報技術サービス会社の財務責任者モハンダス・パイ氏)の代表者を初めて起用すると報じる。世界の会計ルールの統一には資本市場が急拡大する新興市場国の意見の取り込みが欠かせないと判断したと記事は伝える。一方、年末で任期を終える評議会議長のポール・ボルカー氏(前米連邦準備理事会=FRB=議長)、日本代表の橋本徹氏(ドイツ証券東京会長)の後任にはそれぞれ、イタリア出身で欧州中央銀行(ECB)前理事のトマソ・ハドア・スキオッパ氏、野村ホールディングス会長の氏家純一氏の起用を正式決定したとのこと。

関連:野村の氏家会長をIASBの評議員へ
   伝道するIASB

北海道労働局が不正経理額を返還

 北海道新聞は12月22日に「不正経理問題の道労働局 800万円を国に返還」を配信。
 記事は、北海道労働局で16年度まで、物品購入の架空請求や旅費の不正申請などの不正経理が行われていた問題で、同局は21日までに、不正総額約816万円に年5%の利息分を合わせた額を、国に返還したと報じる。16年までの5年間に行われた不正経理の内訳は、《1》物品の架空購入二百十四万円、《2》旅費の不正申請211万円、《3》公金や備品の着服など391万円で、同局は架空請求などに携わった元職員や現職から不正受領額を徴収し、返還したとしていると記事は伝える。道労働局の不正経理問題は11月8日に会計検査院の決算検査報告で発覚したもので、物品購入を架空請求した金で、元局長宅の家具を購入していたことなどが分かり、同日付で懲戒免職や戒告を含め、職員131人が処分されたとのこと。

経済産業省が補助金の不当事項の対応措置を発表

 経済産業省は12月16日に「平成16年度会計検査院検査報告「不当事項」に係る事業者処分について」を発表した。内容は「「不当事項」として指摘された18件の事案については、厳正な調査に基づいて、本日(12月16日)付けで12件、12事業者に対して補助金交付等停止措置の処分を行った。指摘された18件の事案のうち、9件については、別紙のとおり公表を行うこととした。なお、指摘された18件の事案について、16件については指摘された約1.1億円全額について既に国庫に返還されている。また2件については改修工事で対応済みである。」というもの。

会計士審査会の活動報告が公表された

 12月17日付け日本経済新聞朝刊4面に「監査審査会、監査事務所の6割超、報告命令」の記事。
 記事は、金融庁の公認会計士・監査審査会が16日、16年4月発足以降の活動結果を初公表したと報じる。審査会は96監査事務所の監査結果をチェックし、そのうち62の監査事務所に対し、公認会計士法に基づく報告を求めたとのこと。日本公認会計士協会によるチェックが不十分と判断したためで、6事務所にはさらに立ち入り検査を決めたとか。

公表資料:公認会計士・監査審査会の活動状況の公表について

会計基準委が四半期決算開示ルール案をまとめた

 12月20日付け日本経済新聞朝刊1面に「会計委ルール案、四半期開示、2008年3月期から、減損・買収費用も」の記事。
 記事は、日本の会計基準を決める企業会計基準委員会が、上場企業の四半期決算での情報開示ルール案をまとめたと報じる。損益、資産・負債のほか現金収支(キャッシュフロー)の開示も義務づけ、経営に大きな影響を与えるリスク情報の記載も求め、2008年3月期から導入するとのこと。現在は、上場企業は証券取引所の要請で四半期業績を開示しているが、内容にはばらつきがあり、証券取引法改正により08年3月期から四半期決算が義務づけられる見通しで、基準委は開示の統一ルールを作成した経緯。四半期ごとの損益など基本情報だけでなく、企業買収に伴って発生する費用や、固定資産の減損損失額の開示も義務づけ、計算に時間がかかる場合は、おおまかな金額をいったん計上し、翌四半期以降の修正も認めるとのこと。
 19面の「四半期開示新ルール、ほぼ欧米並みに(解説)」は、四半期決算の開示ルールが整備されると、日本企業の決算情報は質、量ともにほぼ欧米並みとなると伝える。米国などの株式市場では、四半期ごとの決算内容が直前の四半期に比べどう変化したかを反映して株価が形成される傾向があるとか。日本の場合、現在は4―6月期と中間決算(4―9月)の利益数字を開示しても7―9月期だけの数字を開示しないという企業が多く、基準委の新ルールは「3カ月単位」での損益開示を義務づけている。日本の株式市場でも欧米市場と同様、3カ月ごとの企業業績に関心が集まり、株価形成に影響を与える可能性があると記事は解説する。

監査法人交代制に実益なしとの議論

 12月19日付け日経金融新聞5面に「監査法人の交代制導入、少数間では効果薄――米会計士協前会長に聞く」の記事。
 記事は、米公認公会計士協会の前会長ロバート・バンティング氏が都内で日本経済新聞記者と会い、監査法人の交代制導入について「少数の監査法人の間で交代してもあまり意味がない」と述べ、企業とのなれ合いを防ぐ効果に否定的な考えを示したと伝える。日本ではカネボウ事件を受け、上場企業の監査にあたっては監査法人を交代制にすべきだとの議論が浮上しているが、バンティング氏は、金融や自動車など大企業の監査をできる会計事務所は限られ、「あまり意味がない」と指摘し、「交代に伴う費用と効率を考えると、ほとんどの国で会計事務所の交代制度の導入は進まないだろう」と話したとか。米国ではエンロン事件を契機に2002年施行の企業改革法で上場企業会計監視委員会(PCAOB)が設立され、企業決算や監査への監視が厳しくなっており、同氏は米国の現状について「不正防止は強化された」との見方を示しつつ、「会計監査への信頼回復は道半ば」とも指摘し、監査の厳格化で過去にさかのぼり決算を訂正する例が続き、投資家の不信を招いている面があると言及したとか。また、四つの国際会計事務所による寡占が進んでいる点を問題視し、「中堅会計事務所の成長を促す必要がある」と話したとも。米国では4大事務所に次ぐ「ネクスト・シックス」と呼ばれる六つの中堅事務所が勢力を伸ばしているがこれは、監査費用の負担軽減を狙った中小企業が監査業務を大手から中小事務所へ移す例が増えているためとか。自らも中堅事務所出身のバンティング氏は「日本の中堅監査法人もグローバルな企業の監査を請け負えるよう成長することが重要」と述べ、将来の日米の事業提携なども視野に寡占への問題意識を共有するよう求めたと記事は伝える。

米国は原則主義を嫌う

 12月19日付け日経金融新聞9面に「「原則主義」会計基準、米導入は時期尚早――SEC副会計官、「独立確保が先決」」〔ワシントン=山本留美子〕の記事。
 記事は、米証券取引委員会(SEC)のベイリー副会計官が、国際会計基準理事会(IASB)の主導で欧州諸国を中心に導入が進んでいる「原則主義」の会計基準について、米国での導入は時期尚早だとの見方を示したと報じる。会計基準の見直しに先行し、監査法人の独立性を確保する体制を整えることが先決だとのこと。「原則主義」は規制当局が監査対象などの基準を明確に定めず、企業の取引実態などに応じて監査人に自由な監査を認める方式で、例えば、取引が多い子会社を連結対象に含めるかどうか、監査人に判断を任せるというもの。個別企業の特徴に応じてきめ細かな監査ができると期待されているが、副会計官は、監査法人が会計監査を担当する企業に税務などのコンサルティング業務を提供するなど企業改革法に違反した行為を取っていた場合、内部で違反を特定・修正し、SECや上場企業会計監視委員会(PCAOB)に報告する体制を整えることが先決だと主張していると記事は伝える。米国は連結対象の子会社を出資比率などの数値で細かく規定する「細目主義」を採用しているが、エンロンの不正会計問題などから、細目主義では監査法人が膨大な会計規則のチェックに追われ、企業の実態に応じた連結決算を促すなど本来実施すべき監査業務がおろそかになるとの指摘があるとき自発伝える。

保険会社の債務も時価評価

 12月19日付け日本経済新聞朝刊7面に「国際会計基準理事会、生命保険契約、時価評価を検討、経営の透明性向上」〔ロンドン=田村篤士〕の記事。
 記事は、世界約百カ国で利用される国際会計基準を作る国際会計基準理事会(IASB)が生命保険会社の保険契約の会計処理について、時価(現在価値)評価導入を検討することで基本合意したと報じる。金利など外部環境の変化に合わせ、期末ごとに見直す方向で論議するとのこと。生保の経営実態の透明性が高まる一方、業績の変動が大きくなり、経営にも影響しそうと記事は評する。生保は加入者に支払わなければならない保険額を負債として計上しているが、その表示について、保険会計の国際統一ルール作りを目指すIASBは先週の会合で、時価評価を軸に検討することで一致し、日本が原則採用している原価評価は当初の契約時点の評価額を使い続ける仕組みだが、これは今後の検討対象から外すことになったとか。具体策はこれからだが、時価評価では例えば契約時点より金利が下がっていれば将来支払う保険額を見積もるうえで用いる割引率が低下し、負債額が膨らむことになる。

埼玉県監査委員の指摘

 12月17日付け東京新聞埼玉版に「会計処理に不備 県暴力追放センター」〔浅野宮宏〕の記事。
 記事は、暴力団対策や薬物防止に取り組む財団法人「県暴力追放・薬物乱用防止センター」で残高証明書がないなど会計処理に不備があったと県監査委員が県議会に報告したことを伝える。所管の県警組織犯罪対策課は「指摘を厳粛に受け止めている。早急に改善したい」としているとのこと。同センターは、暴力団とのトラブルや被害者支援、薬物乱用に関する相談、薬物追放の指導などが業務で、出資金約7億8千万円の約4分の3を県が出資していて、監査委員は「総勘定元帳の記帳漏れ」「残高証明書の入手漏れ」「車両運搬具の耐用年数誤り」「財務目録の記載漏れ」の4点について、「財務諸表などの取り扱いについて多数の不備が見られた」と指摘したとのこと。残高証明書について、同センターはこれまで預金通帳をコピーし書類に添付していただけだったとか。県監査委員は金融機関の発行した残高証明書を添付するよう求めたとのこと。同センターは16年度の決算で気付き、既に改善したとか。総勘定元帳の記帳漏れや財務目録の記載漏れは会計の基本事項が守られていなかったもので、車両の耐用年数は国の省令で5年とされているのを10年としていたというもの。同センターは「総勘定元帳はこれまで予算の監査で問題とされず気付かなかった。これからは企業会計にならって決算を示したい。車両の耐用年数は、せっかく購入したワゴン車を長く有効に使いたかった。省令に従って資産価値を再評価したい」と説明していると記事は伝える。

 どうせ報道するのなら、当局の弁明が珍妙であることまで報道すべきだろう。

経産省が会計検査結果に基づく事業者処分

 経済産業省は12月16日に「平成16年度会計検査院検査報告「不当事項」に係る事業者処分について」を報道発表。
 概要は「平成16年度会計検査報告で指摘された事案について、補助金交付等停止措置の処分を行うとともに公表致します」というもの。

公認会計士審査会が初の活動報告書

 日経サイトは12月16日に「監査審査会、6割超に報告命令・会計士協の点検不十分」を掲出。
 記事は、金融庁の公認会計士・監査審査会が16日、16年4月発足以降の活動結果を初公表したと報じる。審査会は96監査事務所の監査結果をチェックし、そのうち62の監査事務所に対し、公認会計士法に基づく報告を求めたとのこと。日本公認会計士協会によるチェックが不十分と判断したためで、6事務所にはさらに立ち入り検査を決めたとか。監査法人が手がけた監査結果については、まず会計士協会が検査し、審査会がその結果を再点検することになっているが、審査会は会計士協に監査法人の審査体制の強化などを要請したとの由。

中央青山が監査を降りた会社がある

 12月16日付け日本経済新聞朝刊18面に「平和奥田、監査の継続要請、中央青山が拒否」の記事。
 記事は、中堅ゼネコン(総合建設会社)の平和奥田が15日、監査を担当する中央青山監査法人が20日の株主総会後に退任すると発表したと報じる。中央青山が今月2日に突如退任を通知し、平和奥田が監査の継続を要請していたが、15日に断ったとのこと。平和奥田の17年9月期連結決算は経常損益、最終損益ともに黒字予想だったが、不動産取引の大型案件の売り上げと利益の計上時期をめぐり監査人と意見が対立し、監査人の意見をのむ形で赤字に転落していたと記事は伝える。

公表資料:会計監査人の退任に関するお知らせ

県警捜査報償費の積極的な執行を促す監査委員がいる

 共同は12月16日に「報償費激減で適正執行通知 島根県監査委、県警に」を配信。
 記事は、島根県監査委員が、島根県警の捜査報償費(県費)が16年度に前年度比68%まで減ったことで、捜査に支障が出ないよう適正な執行を求める通知をしたと報じる。県監査委員事務局によると、16年度に県警が使った捜査報償費は450万円で、稲守進・同事務局監査第2課長は「現状だと捜査に支障が出るのではと危惧(きぐ)がある。必要なものは執行すべきだ」としているとか。監査委員は今年5−9月に捜査員とOB数人から捜査報償費執行について聞き取り調査し、裏金づくりの温床として批判が高まり、協力者が受け取ってくれないなどとする意見があり「執行額の減少は捜査員の自重が大きい」と判断したとのこと。不適正支出は認められなかったとか。県警会計課は「指摘は真摯(しんし)に受けとめたい」としていると記事は伝える。

監査委員からOBと議員を排除する動き

 読売は12月15日に「大阪市監査委員から市OB除外、厚遇調査委が提言」を掲出。
 記事は、大阪市の職員厚遇問題を調査する外部委員らでつくる市互助連合会給付金等調査委員会が15日、再発防止と役所風土の改革に向けた提言をまとめた第3次(最終)報告書を関淳一市長に提出したと報じる。問題を見逃してきた監査委員制度の形骸(けいがい)化を批判し、委員への市役所OBの起用中止と市議枠の削減を求めたほか、「改革可視化市民委員会」(仮称)の設置など、外部チェック機能の強化などを盛り込んだとのこと。同市の監査委員は地方自治法で4人と規定されているが、その内訳は、慣例で市のOBが代表、2人が市議となっていて、報告書は、「OBや議員では、問題点の是正は困難」として、OBを除外し議員枠も1人に減らすべきだとし、さらに、市民グループなどからの起用を促したとか。また、独自に問題点を調査し、資料収集やヒアリングを行う権限を持つチェック機関として、市民が参加する「改革可視化市民委員会」の設置を提案したとのこと。記者会見した辻委員長は「改革を成功させるための柱は、情報公開と市民参加の二つだ」と強調したとか。

 議会や監査委員より「市民」の方が機能するという前提に問題はないのかな。

監査役協会による調査

 12月15日付け日経金融新聞7面に「委員会等設置会社、社外者の役員起用増――日本監査役協会まとめ」の記事。
 記事は、日本監査役協会が委員会等設置会社へ株主総会後の役員構成について聞いたアンケート結果をまとめ、14日に公表したと報じる。取締役メンバーの過半数に社外者を起用する企業が目立っており、昨年と比べ、委員会の議案作成者や委員会の委員長や議長に社外取締役を起用する企業が増えて、透明性がより高まっているとのこと。アンケートは委員会等設置会社75社に対して聞いたもので、有効回答社数は44社(うち上場企業30社)で、回答率は58.7%だが、そのうち特にグループの親会社や独立系企業など独立性の高い22社の状況を分析したとの由。

公表資料:第6回インターネット・アンケート(委員会等設置会社版)の集計結果を公表

リース会計専門委員会の議論が再開された

 12月15日付け日経金融新聞11面に「リース会計見直し、専門委で議論再開――年度内に具体案公表へ」の記事。
 記事は、企業会計基準委員会の専門委員会で、リース会計見直しの議論が再開したと報じる。基準委はすでに、企業がリースで取得する機械などの設備を資産計上する会計処理に一本化する方向を確認済みで、2002年夏に始まり一時休止していたリース会計見直しの議論を、05年度中にとりまとめ、基準委で具体的な会計処理案を公表する方針とのこと。リース会計専門委員会は7日に開催され、一定の条件を満たすリースによる設備取得を、貸借取引とみなして資産計上しなくてもすむ例外規定を廃止し、現行基準の原則である「売買取引に準じた会計処理」をベースに、専門委員会で具体的な検討をする方針を再確認したとか。今後のスケジュールとして、年内にもう1回、1月に二回の専門委員会を開き具体的な会計処理を詰めると記事は伝える。

参考:日本総研の意見書「リース会計基準見直しに必要な視点

内部統制で財界は経過期間の条件闘争へ

 12月15日付け日経金融新聞11面に「内部統制導入へ条件闘争――企業「最短で3年後」主張(会計最前線)」〔玉木淳〕の記事。
 記事は、金融庁の企業会計審議会が、公認会計士が上場企業の財務諸表の作成手続きまで踏み込んで監査する「内部統制」強化に向けたルール案をまとめたが、当初懸念した産業界からの目立った反対もなく、金融庁はルールを企業に義務づける制度化に一つのメドを付けたと報じる。今後の焦点は違反した経営者に罰則を科すかどうかなど、実効性を持った制度にどう仕上げるかで、金融庁と産業界の「条件闘争」が早くも始まっていると記事は伝える。産業界代表で参加する日立製作所の八木良樹委員は、ルールづくりの舞台となっている企業会計審・内部統制部会の12月8日の最終会合で、「十分な準備期間を設けるよう配慮をお願いしたい」と金融庁に要望したとか。八木委員が所属する日立製作所は内部統制監査を義務づける米国市場に上場するが、その経験を踏まえて「準備に2年強を要した」とも指摘し、金融庁が目指す導入時期より1年遅い、最短で2008年度の導入を暗に求めたと記事は評する。日本経団連は最短導入時期を08年度とし、さらに試行期間を設け段階的な導入を求める意見書を金融庁に提出しており、関係者は「カネボウの粉飾事件などが起き、導入に正面から反対できない。(有利な条件を引き出す)『条件闘争』に移った」と話しているとか。新ルールは経営トップが財務諸表の作成手続きを自ら点検し、これを公認会計士が二重チェックする仕組みで、エンロン事件を受けた米国が02年に企業改革法を制定して上場企業に義務づけている。

埼玉県監査委員の指摘を伝えるメディア

 東京新聞は12月15日に「滞納者の記録に不備 浦和県税事務所」〔増村 光俊〕を配信。
 記事は、浦和県税事務所で滞納整理票に県税滞納者との折衝経過などを記録していない例が多数あることが、県監査委員が県議会に報告した一般会計の監査結果で分かったと報じる。県監査委員は「円滑な納税折衝には過去の折衝記録は必要不可欠なものであり、記録の徹底を図る必要がある」としているとか。県税務課によると、多くは、年間263万件もの課税対象がある自動車税の滞納関係とみられ、同課は管理方法を工夫し改めたいとしているとのこと。同事務所では、入力ミスで本来課税となるべき個人事業者に課税していなかった例もあったとか。また、県立小川高校で、複数の教職員が数日間出勤簿に押印していなかったとのこと。同校では図書館司書補助のために高校後援会が、司書補をパート職員として雇用していたが、教育長通知では好ましくないとされているとか。県教委は、蔵書をコンピューター管理に切り替えるのに合わせ見直したいとしていると記事は伝える。

検査妨害した北見署職員は不起訴処分

 朝日は12月12日に「7人全員を不起訴処分に 道警不正経理で札幌地検」を配信。
 記事は、北海道警の裏金問題をめぐり、会計検査院の検査を妨害したなどとして偽計業務妨害の疑いで道警が書類送検した北見方面本部の元警備課長(54)について、札幌地検が12日、不起訴処分にしたと発表したと報じる。この元課長とともに業務上横領の容疑などで刑事告発された道警の元幹部と現職幹部の6人についても不起訴処分にしたとか。全国の警察の裏金問題で元警備課長は初めて書類送検されていた。元警備課長は15年、虚偽の会計書類を作成させて会計検査院に提出するなどしたとされるが、札幌地検は「犯罪事実は認められたが、私利私欲に基づくものではなく、道警から懲戒処分を受けた」と判断したと記事は伝える。

高知県の代表監査委員が県警の対応に不満を表明

 高知新聞は12月9日に「捜査費特別監査 「裏付け証拠少ない」」を配信。
 記事は、県警捜査費の特別監査を進めている県監査委員の奴田原訂・代表監査委員が9日の県議会12月定例会で、捜査協力者らに捜査費を支払ったとする捜査員への聞き取り調査が「単に(捜査の)ストーリーを聞くだけのケースが多く、裏付けの証拠書類によった立証が少ない」状態になっていると不満を示したと報じる。店舗の領収書類など一部非開示とした部分について、県警は「聞き取り調査で資料などに基づいて説明する」としていたが、奴田原代表監査委員は捜査員から資料提示が少ないことなどを指摘し、「物的証拠をもって執行の事実を証明していただかなければならない」と県警側の姿勢を厳しく非難して、あらためて関係書類の開示を求めたとのこと。また、聞き取り調査の進ちょく状況は「(聞き取り対象の317人のうち)これまでにほぼ半数を終了した。今後は執行件数の多い捜査員が対象となり、12月いっぱいかかる。管理職への聞き取りは来年1月早々から始める」と述べたとか。特別監査に対する姿勢について見解を求められた橋本大二郎知事は「県民への説明責任を果たすためにも(県警は)誠実に対応してほしい」と述べたとのこと。

内部統制監査がルール化

 12月9日付け日本経済新聞朝刊7面に「企業の不正防止強化で新ルール、内部統制、二重に点検――会計審了承」の記事。
 記事は、金融庁の企業会計審議会が8日、上場企業の内部統制強化に向けた新ルールをまとめたと報じる。同日の部会でルール案を了承し、金融庁が来年の通常国会に提出予定の投資サービス法案に盛り込むとのこと。早ければ2007年度から新ルールを始めるとか。

公表資料:企業会計審議会内部統制部会の報告書の取りまとめについて

「純資産の部」を設定

 12月10日付け日本経済新聞朝刊17面に「純資産の部新設、会計基準委が正式発表」の記事。
 記事は、企業会計基準委員会が9日、現行の「資本の部」を廃止し、内容が異なる「純資産の部」を貸借対照表(バランスシート)に新設する会計基準を正式に発表したと報じる。純資産の増減額を開示する新しい計算書の作成基準も公表したとのこと。来春の新会社法施行以後に終了する事業年度が対象で、3月期決算の場合は2007年3月期からの適用。現行基準では資本と負債の中間に区分する少数株主持ち分も「純資産の部」に含むほか、新株予約権も計上するとのこと。新たに導入する「株主資本等変動計算書」では「純資産の部」に含む資本金や自己株式などの期中の変動額などを記載。

公表資料:企業会計基準第5号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」、企業会計基準適用指針第8号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準等の適用指針」の公表(2005.12.9)

日本版SOX法

 12月9日付け日本経済新聞朝刊7面に「企業の不正防止強化で新ルール、内部統制、二重に点検、会計審了承」の記事。
 記事は、金融庁の企業会計審議会が8日、上場企業の内部統制強化に向けた新ルールをまとめたと報じる。経営トップが財務諸表の作成手続きを自ら点検・評価し、これを公認会計士が監査する二重チェック体制が柱で、経営者には決算が正確であるという宣誓も義務づけるとのこと。企業会計審が同日の部会でルール案を了承し、金融庁が来年の通常国会に提出予定の投資サービス法案に盛り込んで、早ければ2007年度から新ルールを始めると記事は伝える。
 共同の12月8日の配信「財務諸表でトップが報告書 社内手続き評価導入=差替」は、米企業改革法などの国際的な流れを参考にしながらも、企業などの過度の事務負担を回避する仕組みを提言していると評する。最終報告によると、経営者はグループの経営方針や意思決定の仕組みなどが適切かどうかや、経営目標が達成できなくなるリスクを評価し、虚偽の財務諸表につながる内部体制での「重要な欠陥」「不備」の有無に関する報告書を作成するとのこと。会計士は財務諸表と同様の監査をして意見を表明、不正を見つければ取締役会などに報告する仕組み。厳格な米企業改革法は、企業に大きなコストを強いているとの批判があるため、会計士があらためて報告書を作る米国流にはせず、会計士と内部監査部門の連携の重要性など独自の視点も盛り込んだとのこと。

経営者の宣誓を法的義務へ

 12月8日付け毎日新聞東京朝刊に「金融庁:有価証券報告書「適正です」 経営者に宣誓義務付け」〔斉藤信宏〕の記事。
 記事は、金融庁が、情報開示に絡む企業の不正を防止するため、企業経営者に有価証券報告書の内容が適正であるとの“宣誓”を義務付ける方針であると報じる。公認会計士とともに経営者にも有価証券報告書の内容に責任を負わせ、企業統治の徹底を求めていくと記事は伝えるが、これは機種記者の理解不足。もともと第一義的な責任は経営者にあるのであって、それを明確にするものだ。金融審議会(首相の諮問機関)で承認を得て、証券取引法に代わる法律として06年の通常国会に提出予定の「投資サービス法」(仮称)に盛り込む考えとか。既に東京証券取引所は、今年1月から上場企業に対し、代表者の異動のたびに「適時適切な情報開示に真摯な姿勢で臨む」との宣誓書提出を義務付けているが、取引所の自主ルールであるため、金融庁は法律で義務付けて強制力を持たせる必要があると判断したとのこと。

KPMGが増収

 12月8日付け日経金融新聞10面に「KPMG、16%増収――前期、日本で大手顧客獲得奏功」の記事。
 記事は、会計監査、税理、財務アドバイザリーを手掛ける国際的組織のKPMGの2005年9月期の連結売上高が、速報値で前の期に比べ16%増の156億5千万ドル(約1兆8936億円)に達したと報じる。日本でホンダや三菱電機など大企業の顧客を獲得できたことに加え、フランスでは中堅会計事務所のサルストロ・レイデルを吸収合併したことが寄与したとのこと。業績の詳細は06年1月に発表する予定とか。マイク・レイク会長は「(会計監査業務に対する)難しい規制環境下にありながらも、事業活動の伸長や市場占有率の増加などを反映して素晴らしい年となった」と述べ、今後の戦略として「インド、中国、ロシア、中南米といったビジネスや企業活動が急速に伸びている地域に対し、より力をいれる」との考えを示したと記事は伝える。KPMGグループの国内法人のあずさ監査法人と米国の会計事務所大手KPMGはすでにロシアへの進出を決めており、製造業を中心とした日本企業がロシアで投資を拡大していることを受け、会計面の支援サービスを拡充する狙いとのこと。

減価償却後の残存価格5%を廃止する要望

 12月7日付け日本経済新聞朝刊5面に「企業の老朽設備95%売却できず、経団連・経産省など調査、全額損金算入求める」の記事。
 記事は、企業が保有する老朽化した設備の95%が売却できずにいることが日本経団連と経済産業省など4省庁の合同調査で明らかになり、経団連などは市場価値がほとんどないことが鮮明になったため、取得価額の全額を減価償却できるようにすべきだと主張していると伝える。今回の調査の対象は、大企業を中心とした約1千社で、2004年度に企業が使用を停止した機械類など固定資産は96万台あったが、売却できたのは4万台弱と全体の約5%にすぎず、売却価格も簿価より低い事例がほとんどだったとか。産業界は「欧米諸国並みに取得価格の全額を損金として認めるべきだ」と要望しているが、財務省は慎重と記事は伝える。

株主資本等変動計算書を導入する方向

 12月7日付け日本経済新聞朝刊19面に「株主資本等変動計算書、会計基準委が導入」の記事。
 記事は、企業会計基準委員会が株主資本などの変動値を開示する新たな計算書の作成基準を決め、9日に正式発表すると報じる。来春の新会社法施行で四半期ごとの配当など機動的な経営が可能になるため、増資や配当に伴う利益剰余金などの資本の変動を項目ごとに明確にすると記事は伝える。導入するのは「株主資本等変動計算書」で、来春の新会社法施行以後に終了する事業年度から適用し、従来の「利益処分案」は廃止するとのこと。変動計算書には来春から貸借対照表に新設が決まっている「純資産の部」に含まれる資本金や新株予約権などの項目ごとに前期末残高と当期変動額、当期末残高を記載し、資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式の4項目については変動要因も記載するとのこと。当然、損益計算書などの財務数値には影響がない。米国会計基準などではすでに同様の計算書類が導入されており、国際的な会計基準の流れに対応する狙いもあるとか。

野村の氏家会長をIASBの評議員へ

 12月7日付け日本経済新聞朝刊7面の「野村の氏家氏を評議員に推薦(金融フラッシュ)」〔ロンドン=田村篤士〕は、日本経団連や日本の会計業界が、国際会計基準理事会(IASB)を運営する財団評議会の次期評議員に、野村ホールディングスの氏家純一会長を推薦することを決めたと報じる。資本市場に精通した氏家氏を起用することで、世界の会計論議で発言力の向上を目指すと記事は伝える。

茨城県監査委員が職員住宅について指摘している

 12月6日付け日本経済新聞地方経済面41面に「職員住宅、「廃止・移管の検討を」――県05年度行政監査、入居74%、進む老朽化」の記事。
 記事は、茨城県監査委員会が5日発表した17年度の行政監査結果で、公舎・職員住宅(432施設)の入居率が74.1%だったと報じる。老朽化している施設が多く、住宅事情の変化などから「警察本部を除き必要性は減少している」として施設の存廃や警察本部への移管を県全体で検討するよう求めたとのこと。公舎・職員住宅を所管しているのは7部局で、監査によると部局別の入居率は低い順に土木部(16.7%)、農林水産部(25.0%)、保健福祉部(31.5%)、企業局(33.3%)、総務部(65.5%)、教育庁(69.6%)で、警察本部が91.4%と高かったとか。入居率が低い66施設を選び具体的に調べたところ「老朽化がひどく人が住めるような状況ではない」ところもあったとか。民間借り上げの51施設を除いた381施設のうち、築後30―40年経過したのは50.1%(191施設)で、建物や設備の老朽化に対して「建て替えや計画的な修繕はあまり行われていない」と指摘しているとのこと。

大阪市監査委員が労組への便宜供与を指摘

 12月6日付け日本経済新聞大阪朝刊16面に「大阪市監査委員、駐車場利用料、労組は返還を」の記事。
 記事は、大阪市監査委員が5日、市職員の2労働組合が、根拠無く市役所の地下駐車場の無償提供や料金減免を受けていたとして、記録が残る昨年12月以降の利用料金約百万円を2労組に返還させるよう求める監査結果を関淳一市長に提出したと報じる。市民グループ「見張り番」が「労組幹部がマイカー通勤し、市役所の駐車場を無料または割引料金で使っており、違法」として、過去10年分の利用料相当額約2千万円の返還を求めていたとのこと。

デリバティブは契約時に利益計上が可能とか

 共同は12月2日に「無理な販売目標が主因 不良債権処理に追われ=差替」を配信。
 記事は、公正取引委員会が2日、融資先へのデリバティブ(金融派生商品)販売をめぐって三井住友銀行に排除勧告したと報じる。多額の不良債権処理が必要となり、追い詰められた三井住友が処理費用を捻出するため、無理な販売目標を設定していたことが主な原因とみられると記事は伝える。公取委は、三井住友が2001年4月の経営統合後に不公正な取引を始めたと認定しており、当時の三井住友では、熊谷組やフジタなどに対する巨額の不良債権が問題化して、金融庁が05年3月末までに不良債権比率を半減させる目標を課したことで経営体力が著しく低下し、03年と05年の3月期決算では、数千億円規模の巨額の最終赤字計上を余儀なくされるなど、厳しい状況に追い詰められていたとか。このため当時の経営陣は、営業現場に対し「到底無理な数値目標」(三井住友関係者)を設定し、営業現場も「ある程度、成果を挙げる必要があった」(平沢正英副頭取)ため、融資元の優越的な地位を乱用してデリバティブを販売したとのこと。通常の金融商品の場合、契約期間中の金利は毎年利益計上するが、今回問題となった金利スワップは、銀行が契約期間を通じて発生する利益を契約時に一括計上でき、三井住友は「将来の利益より目先の不良債権処理費用を捻出する必要があった」(メガバンク関係者)ため「利益を先食い」できる金利スワップの購入を、取引先企業に強要したとのこと。これまで大手銀行は、不良債権処理をめぐってほぼ同様の状況に置かれてきており、このため金融界では「三井住友の問題は氷山の一角」との見方もあるとか。公正取引委員会は2日の会見で「他行に同様の問題が見つかれば厳正に処分する」と表明しており、大手銀行の間に、類似の問題が発覚するのではないかと不安が広がっていると記事は伝える。

国際標準へ移行して純資産表示へ

 12月3日付け日本経済新聞朝刊17面に「会計基準委、純資産、貸借対照表に、経営指標見直し必要」を配信。
 記事は、企業会計基準委員会が、連結貸借対照表の「資本」を廃止し、「純資産」を新設する会計基準を決め、9日に正式発表すると報じる。3月期決算の場合、2007年3月期から適用するとのこと。企業の期間損益に影響はないが、現行の「資本」をもとに算出する株主資本利益率(ROE)など、財務指標の定義を見直す必要が出てくるとか。新基準は来春の会社法施行以後に終了する事業年度から適用され、負債と資本の区別を明確にする国際的な流れに対応するもので、これまで含めなかった少数株主持ち分や新株予約権などを計上するため、新基準の純資産は現行の資本(株主資本)よりも一般に額が膨らむとのこと。純資産の中には新たに「株主資本」という項目を設けるが、現行の株主資本とは内容が異なり、このため、例えばROEでは、現行の株主資本をもとにはじく場合と、新基準の株主資本をもとにはじく場合とでは異なる数値になり、整合性をとるには、新基準の純資産の中から必要な項目を抜き出し、現行の株主資本に相当する金額をはじいてROEなどの指標を計算しなければならないとか。混乱を避けるためにも、新会計基準のもとでROEなどの定義や呼称をどうすべきか、アナリストら市場関係者の間で早急に詰める必要があると記事は指摘する。

物価連動国債の表示が国際標準方式へ移行

 日経は12月1日に「物価連動国債の会計処理、海外基準と同一に・基準委方針」を配信。
 記事は、企業会計基準委員会が1日、物価連動国債の会計処理を海外の基準と同一にする方針を固めたと報じる。評価損を費用として計上せず、貸借対照表に直接計上する方法を認めるとのこと。現在は複雑な会計処理が必要なため投資しづらいとの声が出ていたとか。見直しが実現すれば市場拡大につながりそうだと記事は評する。物価連動国債は全国消費者物価指数に連動して元本が増減するもので、2004年3月から発行が始まり、これまでの発行残高は約1兆9000億円となっている。デフレ下では元本割れのリスクがあるため、日本基準では変動部分を区分して時価評価し、損益を計上するといった複雑な処理が必要だったが、米国基準や国際会計基準では、評価損を毎期損益計上する必要はなく、「商品性を制限してまで細かい会計処理が必要なのか」(野村証券投資調査部の野村嘉浩次長)と、日本基準の見直しを求める声が多かったとのこと。会計基準委は06年3月までに公開草案をまとめ、07年3月期からの新ルール適用を目指すと記事は伝える。

会計士交代7年ルールが定着する方向

 共同は12月2日に「監査法人、7割は20年以上 不祥事で変更検討=差替」を配信。
 記事は、大企業の約7割が、過去20年余りも監査法人を変更していないことが2日、共同通信が実施した主要50社調査で分かったと報じる。ただ粉飾決算事件などで監査法人が重い行政処分を受けた場合は乗り換えを検討する企業もあり、企業と監査法人の関係に変化が生じつつあることをうかがわせると記事は伝える。カネボウ粉飾決算事件などを受けて昨年施行された改正公認会計士法は、不祥事を未然に防ぐため、会計士が同じ企業の外部監査を連続して担当できる期間を原則7年としており、この結果、担当期間は短くなる傾向で、新ルールが浸透しつつあることを裏付けたと記事は評する。調査は10月下旬にかけ、アンケートや中間決算発表を利用し自動車、鉄鋼、電機、エネルギーなど日本を代表する計50社を対象に実施したもので、46社から回答があったとか。同じ監査法人を20年以上も使い続けていたのは少なくとも32社で、ほぼ7割に上り、「古いことなのでよく分からない」とする企業もあったとか。資本関係が強化されたため、親会社と同じ監査法人に変更したメーカーは1社あったが、合併や統合を経験していない企業の大半は監査法人を変更していなかったとのこと。公認会計士の監査継続期間は、最も長い担当者が10年を超える企業が13社、4年以上との回答は7割を超えたとか。一方、カネボウ事件で公認会計士が起訴された中央青山監査法人に監査業務を依頼しているのは15社で、このうち、3社は中央青山への金融庁の対応などを見極めて、変更するかどうかを判断したい考えとし、「回答を控えたい」とする企業もあったとか。会計士の担当期間に関しては「10年以上の会計士は今年から交代した」(製造業)、「9年目に入る会計士の交代を申し入れた」(小売業)などの回答があり、企業と監査法人の双方が、「7年ルール」に沿って担当期間を短縮する方向になっていると記事は伝える。

宮の虚偽表示

 12月1日付け日本経済新聞朝刊15面に「宮、不正会計で社長が引責辞任、後任に宮田氏」の記事。
 記事は、外食チェーンの宮が30日、2001年2月期から05年8月中間期にかけて不適切な会計処理があったと発表したと報じる。11月13日に中央青山監査法人から指摘を受けて発覚したとのこと。ジャスダック証券取引所は30日付で宮を監理ポストに割り当て、これを受け、創業者の鈴木栄一会長兼社長(76)が同日引責辞任し、後任社長に宮田永善副社長(50)が就任したとか。宮によると、不適切な会計処理は経理担当役員が独断で実施したもので、子会社の建設取引の水増しや取引先による広告宣伝費の肩代わりで業績を偽ったとのこと。宮では約15億円の損失計上が見込まれるとしているが、この経理担当役員は「不振な業績を開示すれば株価に悪影響を与え、円滑な資金調達を妨げる」と考えたとか。宮は同日付で経理担当役員を解任したとのこと。

参考:「半期報告書の提出遅延とその理由について」〔会計ニュース・コレクター〕

JICPAの処分の報じ方

 読売は12月1日に「ヤオハン粉飾で中央青山を戒告、会計士2人も処分」をサイトに掲出。
 記事は、日本公認会計士協会が1日、1997年9月に経営破たんした中堅スーパー、ヤオハンジャパンの粉飾決算を見抜けなかったとして、当時監査を担当した中央青山監査法人を戒告処分したと発表したと報じる。監査を担当した公認会計士2人は、協会会員権を3か月間停止する処分としたとのこと。処分理由は、96年3月期決算の監査で、外国投資信託の売買による架空の売却益の計上を見抜けず、誤った監査証明を行ったこととか。また、居酒屋チェーン「北の家族」などを展開し、2002年1月に破たんした冷凍食品販売会社、ケイビーの粉飾決算では、洋光監査法人を戒告処分とし、監査を担当した公認会計士2人を1か月の会員権停止としたとのこと。
 12月2日付け日本経済新聞朝刊17面の「会計士協、会計士など懲戒処分、名前は公表せず」は、日本公認会計士協会が1日に、粉飾決算や不正経理が発覚した上場企業など計5件の監査を巡り相当な注意義務を怠ったとして、会計士9人と監査法人のべ3社に懲戒処分を行ったと発表したと報じ、会計士協は「会則で非公表と定めている」として監査を受けた企業や処分対象の会計士、監査法人の名前は公表しなかったと伝える。そして、会計士は1―3カ月の会員権停止、監査法人は戒告を受けたとした上で、対象となった5件はヤオハンジャパン、ケイビー、北の家族、エムティーシーアイ、凸版印刷労組に対する監査とみられると伝える。

知的財産の表示に関する最近の流れ

 nikkeibp.jpは12月1日に「知的資産の開示は「指標の設定」と「客観性の担保」が課題」をサイトに掲出。
 記事は、知的資産の開示が経営における世界的な趨勢になっており、従来、財務上は無形資産(intangible assets)として認識されてきた要素を、企業価値を測る上の指標として活用する動きが活発化していると報じる。英国は、2005年に一定規模以上の企業に「事業および財務報告書(operating and financial review)」の開示を義務付ける会社法改正を実施し、これに伴い、「市場シェア」や「経済的資本」など23種類の指標(key performance indicators : KPI)を例示したとか。また、ドイツは、2004年12月に会計法令を改正し、年次報告書にKPIを用いた説明を加えることを推奨しているとのこと。このほかにも、国際会計基準審議会(IASB)は、企業が経営を説明する際の基準を策定中とか。こうした動きを受けて経済協力開発機構(OECD)が知的資産とイノベーションをテーマに開催した国際会議(2005年10月20〜22日、イタリア)に、経済産業省・知的財産政策室長の住田孝之氏、早稲田大学ビジネススクール教授の花堂靖仁氏、NEC執行役員常務兼知的財産事業本部長の広崎膨太郎氏、横浜国立大学の岡田依里氏らが参加し、知的資産や知的財産に関する日本独自の取り組みの紹介や普及状況などを示したと記事は伝える。

JICPAが処分した会員名を明らかにしないことで批判されている

 共同は12月1日に「匿名の処分発表に批判続出 会計士協会、公表検討へ」を配信。
 記事は、日本公認会計士協会が1日、規律規則違反などで懲戒処分を発表しながら、対象の監査法人や企業を匿名としたため、記者会見で、これでは説明責任を果たしていないとの批判が続出したと報じる。協会が発表した懲戒処分は、粉飾決算を見逃した監査法人への戒告など5件で、会則で非公表と決めているため匿名にしたと説明したが、カネボウ粉飾決算事件など公認会計士が関与した不祥事が相次ぎ、監査に厳しい視線が向けられているため、出席した記者からは「この程度の発表内容では、世間に知らせたくないと思われても仕方がない」なとど厳しい指摘が出たとのこと。これに対し藤沼亜起同協会会長は「決して隠そうとしているわけではない」などと弁明し、2006年7月の総会で会則を改め、より踏み込んだ内容を公表できるように検討するとしたとか。この日発表されたのは、経営破たんしたスーパー旧ヤオハンジャパンや、居酒屋チェーン「北の家族」を一時傘下に収めていた冷凍食品会社旧ケイビーの粉飾決算事件などにかかわる処分で、ヤオハンとケイビーについては、それぞれ監査法人を戒告、監査を担当した会計士の会員権を一定期間停止したとの由。

中央青山が建て直しに努力している

 12月2日付け日本経済新聞朝刊17面に「監査不信カネボウ粉飾の余波(上)中央青山、不正防止に必死」の記事。
 記事は、カネボウ粉飾決算事件で、元社長らが証券取引法違反罪に問われた公判が始まり、検察側は中央青山監査法人の会計士らが粉飾に加担したことも指摘していて、法廷の場で改めて、会計士の裏切り行為が明らかになりつつあると報じ、信用を失墜した中央青山の現状と、企業に広がる波紋を伝える。記事は、カネボウ事件がまず人材確保の面で影響を与えていることを伝え、すでに不正会計防止に向け何重にも予防策をとり始めていると報じる。9月中間決算の監査業務が最終局面を迎える中、週末土日をつぶして深夜まで、リスクが高いと独自評価した企業の監査結果の予備審査が続いており、ベテラン会計士5人前後を一つのチームとする班を15ほど結成し、手分けしてリスク企業を担当する会計士らを四時間前後にわたり、「何を基準に重要性を判断したのか」「期末まで待たず、中間期末で処理すべきではないのか」と問いただしているとか。在庫や投融資の評価、繰り延べ税金資産など、粉飾に利用されやすい項目を重点的にチェックしているとのこと。外食チェーンの宮が先月、不正会計を中央青山から指摘されたのも、監査を厳しくしていることが背景にあると記事は評する。1月からは約8百社にのぼる上場企業すべての監査状況を洗い直すことにしていて、元財務捜査官を迎えて設置した特別調査班も、監査先の調査にすでに出動しているとか。11月からは、職員が事務所のパソコンを起動すると画面に、会計士の使命に関する「粉飾は絶対に許さない」といったスローガンなどが出てくるようシステムを変えているとか。一方、中小監査法人が合併を繰り返してきた、法人の成り立ちに問題の根をみる向きもあり、具体的には、1980年代までは、有力顧客を抱える大物会計士を筆頭とする運営単位と呼ぶグループごとに、会計士の採用や報酬などもばらばらに決めており、90年代以降は、運営単位を廃止し、部制に切り替えたものの、大先生の息がかかる企業の監査の問題点に対して、法人として厳しく対処しにくい風土が残ったと指摘するOBは多いと記事は伝える。

会計制度監視機構が監査法人の独立性に関して提言

 12月1日付け日本経済新聞朝刊17面に「会計制度監視機構、監査法人の独立性で提言」の記事。
 記事は、会計制度監視機構が30日、カネボウの粉飾事件で会計士が逮捕・起訴されたことを受け、監査法人の独立性強化を求める提言を公表したと報じる。同じ会計士が企業に対する営業活動と監査業務を担当することを禁止することなどが柱とのこと。機構は、新規上場して間もない企業が不正会計を行う事例が多いことも問題視し、新規上場に向けた助言業務をした会計士は、上場後2年以内にほかの会計士と監査担当を交代することなども提言に盛り込んでいるとか。

公表資料:監査法人の独立性強化と信頼確立について[PDF]

月刊「テーミス」に会計検査院に関する記事

 テーミス12月号に「独立機関が骨抜きにされて半世紀 会計検査院「大金むだ遣い」見逃しの大罪 甘い決算検査報告で恩を売り「天下り先」を確保する最低の官庁に成り下がった」の記事。標題は、会計検査院が見逃した「大金むだ遣い」が明らかにされている内容と期待させるものだが、それはなく、ほとんどは会計検査院の内情に関する伝聞記述。 【“月刊「テーミス」に会計検査院に関する記事”の続きを読む】

足利銀行の監査責任追及訴訟で第1回口頭弁論

 下野新聞は11月29日に「中央青山、争う構え 足銀の違法配当訴訟」をサイトに掲出。
 記事は、破たん、一時国有化された足利銀行の2001年3月期決算で旧経営陣の「粉飾」を看過したとして、同行が会計監査していた中央青山監査法人と当時の同行監査役4人に、旧経営陣と連帯し総額約11億円の賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が28日に宇都宮地裁で開かれ、被告の中央青山監査法人、監査役側は請求棄却を求める答弁書を提出、全面的に争う構えを見せたと報じる。訴えの内容は、同行の旧経営陣は01年3月期決算で配当可能利益がないのに、繰り延べ税金資産を約210億円過大計上し、さらに個別貸倒引当金を約368億円過小計上して、同行の資産額を計約579億円過大に粉飾し、約11億円を優先株主に配当したが、その際、中央青山と当時の監査役4人は粉飾決算を看過し、決算を「適正」と報告したことで同行に違法配当相当額の損害を与えたというもの。被告の中央青山監査法人は同日、答弁書を陳述し請求棄却を求めたが、請求原因に対する個別の認否は「追って行う」としたとか。また、監査役側は請求棄却を求める一方、陳述した答弁書で「決算に何ら違法行為は存在しない」などと主張した上で、粉飾の具体的内容を求めるなど、求釈明を行ったと記事は伝える。これに対し原告側は意見陳述で「本件は単に足銀の問題でなく県民の関心事