首相権限の強化で必要になる検査院権限強化の理屈

 6月29日付け日本経済新聞朝刊21面の「行政権の帰属と日本の針路(大機小機)」〔恵海〕は、憲法改正において行政権限を内閣総理大臣に帰属させることが望ましいとした上で、その前提条件として総理の独走を防止する装置として、▽「司法、立法以外はすべて行政に属する」という行政権の拡大解釈を変え、行政の範囲を明確にする、▽総理権限に名を借りた官の肥大化を防ぐ厳格な行政手続法を定める、▽会計検査院の権限を強化する、を例示した。

北海道で監査委員の道議枠の配分が問題化

 毎日は6月29日に「北海道監査委員:道議枠、与党で独占の構え 野党反発必至」を配信。
 記事は、与野党の最大会派で分け合う慣例になっている北海道監査委員(4人)の道議枠二つについて、最大与党の自民党・道民会議と公明党が7月の改選期から両会派で独占する構えを見せていると報じる。現在1枠を持つ最大野党の民主党・道民連合が猛反発するのは必至と記事は評する。問題の発端は、27日の道議会予算特別委員会で民主の沢岡信広氏が、道警の不正経理問題を巡る特別監査を疑問視する発言をしたことで、「監査委員を出している会派の発言とは思えない。民主は監査委員を出す立場にない」(自民幹部)との声が大きくなったとのこと。自民は29日の役員会で公明に1枠を与えることで合意を取り付ける考えとか。道監査委員人事は、知事が議会に同意を求める議案を提出して決まるが、道議枠は全会派で協議し、与野党の最大会派から1人ずつ知事に推薦していたとのこと。

 政治過程と監査人の独立性に関する事例研究の材料になりそうな話だ。

2007年度に四半期開示の方向

 時事は6月28日に「07年度にも半期決算廃止へ=罰則付で四半期開示に一本化-金融庁方針」を配信。
 記事は、金融審議会(首相の諮問機関)が、上場企業による半期ごとの決算開示を廃止する一方、3カ月ごとの四半期開示を拡充した上で法制化するとの提言を盛り込んだ作業部会の報告書を28日に了承したことを受け、金融庁が来年の通常国会に証券取引法改正案を提出し、2007年度にも適用を始める方針と報じる。

知事も監査委員も同じではないはずだが

 共同は6月28日に「報償費の特別監査検討へ 県監査委員、地裁判決受け」を配信。
 記事は、宮城県警の捜査報償費問題で、阿部徹県監査委員が28日の県議会で、12年度の報償費の不正支出の疑いを指摘した21日の仙台地裁判決を受けて、報償費の特別監査を検討する必要があるとの考えを示したと報じる。阿部監査委員は捜査協力者の氏名や住所のマスキング(黒塗り)を外すように県警に要請していることを明らかにした上で「協力者に直接会わないで支出の事実を確認する方法があるか細かく検討する」と述べたとのこと。東川一県警本部長は「監査委員と相談して判断したい」と話し、監査の方法次第では要請に応じる意向を示唆したと記事は伝える。報償費の予算執行を停止し、関連文書の提出を解除の条件としている浅野史郎知事は「対監査委員も対知事も同じ。私とも話し合ってほしい」などと東川本部長に呼び掛けたとか。

 対監査委員も知事も同じ、というのは知事の思い上がりと評すべきだろう。職業的守秘義務を有する監査人と選挙民に対して大きな説明責任を負う知事とでは本質的に立場が異なる。

外部監査の計画が地方面に掲出される

 6月28日付け日本経済新聞地方経済面22面に「県が今年度、下水道を外部監査、契約・入札も対象に」の記事。
 記事は、新潟県の外部監査人(公認会計士)が今年度、県の下水道事業を監査することを決め、27日に基本計画を泉田裕彦知事に説明したと報じる。同事業が適正に執行されているかどうか、下水道施設の整備や維持管理が効果的に執行されているかなどを調べるとのこと。16年度の歳出を対象とし、対象は土木部都市局下水道課、農地部農村環境課、県民生活・環境部廃棄物対策課、農林水産部漁港課のほか、県下水道公社も。7月から監査を始め来年1月までに終了し、同2月の報告書提出を予定しているとか。下水道事業には流域下水道事業、公共下水道事業のほかに農業集落排水事業など様々な制度があり、県内の15年度末の下水道普及率は53.4%。全国普及率(66.7%)と比べても低い水準にあるとか。外部監査人は「県民の健康のためにも下水道事業の推進は必要で、監査を通じ、より効率的な事業の執行を探りたい」としているとか。下水道の契約や入札も監査対象となるとも。

監査基準に共同監査に関する規定

 日経は6月23日に「共同監査、会計士に行動規定――企業会計審方針」を配信。
 記事は、金融庁の企業会計審議会が23日の部会で、「監査基準」の見直し案を協議し、複数の監査法人による企業への共同監査に関し規定を新設することで一致したと報じる。具体的には企業の合併などに伴って2つの監査法人が1つの企業を監査する場合、片方の監査法人が審査部門を通して監査を2重点検していないことなどが発覚した場合、もう片方の監査法人が監査し直すことを義務付けるとのこと。企業会計審は7月に見直し案を公表し、新基準を2006年9月中間期決算の企業から適用するとか。現行基準では、共同監査について明確な行動規定がなく、企業の合併などにより共同監査を手掛けるケースが増えているほか、地方の中小企業などで複数の個人事務所が監査する例も多いが、責任体制があいまいとの指摘も出ていたと記事は伝える。

通常は5年に一度の道警に2年続けて実地検査

 毎日は6月28日に「道警不正経理:会計検査院が2年連続で本部を実地検査」〔道警不正経理取材班〕を配信。

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内部統制部会には監査役不信感と日経

 6月23日付け日経金融新聞10面に「広がる監査役不要論――金融庁審議会が不信感(会計最前線)」〔玉木淳〕の記事。
 記事は、有価証券報告書の虚偽記載や談合など名門上場企業で不祥事が相次ぐ中、金融庁や専門家の間から、監査役が適切な役割を果たせるのか疑問の声が出始めていると報じる。金融庁の企業会計審議会内部統制部会では監査役だけでなく公認会計士も企業統治を監査するよう法的に義務付けようとしており、その6月9日の会合である委員が日本監査役協会の幹部に「企業を監査するという覚悟はあるのか」と問いただしたとか。記事は、何十年にも渡って築かれた監査役と会計士の役割分担を崩す大きな変革を促そうとしているのは、専門家の間でくすぶる「監査役不信」だと伝える。商法によると、監査役は、株主総会で選任され、執行部から独立した存在で、権限も大きく、公認会計士を選任・解任できるほか、会社に対し報告を求め、必要に応じ調査することもでき、仮に不正を認定できれば、取締役会を招集したり、事業の差し止め請求する権利も持っていて、不正を予防するという点から見ると、監査役は会計士より強力な立場にあるが、経営者との間の壁をなかなか越えられないと評する。OBや現役社員など経営者と利害関係にある者が就くケースが多いからで、西武鉄道の場合、監査役の指摘で会社の株を個人名義に偽装した名義株の公表につながったとされるが、監査役全員が事実上、関係者だったことが発覚を遅らせた大きな要因となったと記事は評する。内部統制部会のある委員は「こんな状態で、監査役は不正をチェックできない。監査役に任せても不正防止はおぼつかない」と鼻息が荒いとか。こうした声に押されてか、金融庁も公認会計士の権限強化に動きだしたとのこと。金融庁は来春をメドに、公認会計士が不正を発見し、それを捜査当局に通報するための制度作りを始める方針で、不正の発見・通報は、監査役に与えられた大きな権限だが、金融庁には監査役がそれを適正に行使できないとの不信感があると記事は伝える。日本監査役協会は昭和50年に制定した監査役の行動規定「監査役監査基準」を、昨年春、約30年ぶりに改訂したが、内部統制部会で問いただされた協会の幹部は「今、監査役は懸命に監査をやろうとしている。皆さんが議論しているほど厳しい水準には達していないが、改革は進みつつある」と反論したとのこと。米国型の企業統治形態である委員会等設置会社に移行する企業も増え、従来型の監査役を置く企業は減る流れにあり、不正防止を結果で示すことができなければ、「監査役不要論」は着実に広がっていくと記事は説いている。

 米国の内部統制監査を導入しようとすれば、監査役の存在が邪魔なのは確かだとは思うが、「鼻息が荒い」というのもいかがなものか。

千葉県食糧の粉飾決算

 毎日は6月22日に「千葉県食糧が23億円 内部調査で発覚」〔森禎行〕を配信。
 記事は、千葉県内の米穀卸最大手で民事再生法の適用を申請中の「千葉県食糧」が99年度から03年度にかけ、約23億円の粉飾決算をしていたと報じる。同社は需要低迷による売り上げ減少などで計約130億円の負債を抱え今年3月、千葉地裁に民事再生法の適用を申請しているが、その際の内部調査で発覚したとのこと。債権者説明会でも経緯を報告したとか。同社によると、米穀の在庫があるように見せかけ、実際は赤字であるにもかかわらず黒字決算とするなどの処理をしたとのこと。「大手スーパーなど大口取引先から取引中止を求められることを恐れた」のが理由とか。

米国で内部統制監査に対する反動

 6月22日付け日経金融新聞9面に「米企業、監査コスト急増――昨年度、中小で倍、大手も1.5倍」〔ニューヨーク=深瀬敦子〕の記事。
 記事は、米大手弁護士事務所フォーリー・アンド・ラードナーが今年1月に147社の最高経営責任者(CEO)や取締役などを対象に聞き取り調査した結果として、米企業が監査法人に支払う監査費用が急増しており、2004年度(03年10月―04年9月)の監査費用が、年間売上高が10億ドル未満の中小企業で前年の約2倍、10億ドル以上の大手企業で前年の1.5倍に膨らんだと報じる。同事務所のディレクター、ハートマン氏は「資金が限られた中小企業への圧迫は大きい」と話しているとのこと。調査対象企業のうち82%が企業統治や情報開示の改革基準が「厳しすぎる」と回答し、前年の67%を大きく上回ったとか。また、改革に伴う義務を避けるために、企業の売却や合併を検討していると答えた企業は2割に達したとのこと。監査法人が企業からの報告に誤りがないかチェックするのに時間をかける余り、長期的な経営戦略に集中できないとの不満も目立ったとか。

 6月22日付け日本経済新聞朝刊7面の「買収防衛策、「投資家利益損ねる」――米SEC委員、日本の動きに苦言」は、米証券取引委員会(SEC)のロエル・カンポス委員が21日に都内で行った講演について報じ、監査法人が上場企業の統治(ガバナンス)をチェックする米国の制度について、「投資家が経営を信頼できれば、結果として企業の資金調達コスト低下につながる」と利点を強調したと伝える。企業が業務手順などを文書化する作業の負担が重いと不満を述べている点には「監査法人が神経質に監査したことが原因」と指摘したとのこと。米国では今後、監査の手法などを見直し、企業の負担を減らす方向とか。

公認会計士を人材派遣の対象にする動き

 6月21日付け日本経済新聞朝刊5面に「経団連、弁護士・会計士らの人材派遣、規制緩和要望へ」の記事。
 記事は、日本経団連がまとめた17年度の規制改革要望247項目の中に、企業再生や合併・買収の増加を背景に弁護士や公認会計士、税理士、弁理士などの専門家を短期的に必要とする事例が増えているとして、人材派遣会社がこうした専門資格者を登録、派遣する業務の解禁を求めることが入ったと報じる。政府はここ数年、人材派遣の規制を段階的に緩和してきたが、弁護士などの専門資格者については依然、派遣を認めておらず、各資格の所管法が有資格者の独立性確保を規定していて、例えば、厚生労働省は人材派遣会社が有資格者を派遣するようになると、独立性が損なわれると判断しており、同省は通達などで派遣を禁止しているとのこと。経団連は公認会計士などの資格を持ちながら企業に勤務している人が増えているとして、独立性を理由に派遣を禁じる合理的な根拠はなくなったと指摘し、働き方の選択肢を広げる観点からも規制緩和が望ましいとしているとか。解禁されれば、中小企業などが法律サービスを受けることも容易になると主張しているとか。

【公金支出】県警報償費の仙台地裁判決

 共同は6月21日に「実体なかった疑い指摘 県警報償費で仙台地裁=差替」を配信。

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金融庁が経営者の宣誓書を求めることにした

 朝日は6月19日に「金融機関経営者に決算不正なしの「宣誓書」 金融庁要求」を配信。
 記事は、金融庁が銀行や保険会社など金融機関の経営者に対し、2006年3月期決算がまとまる来春から決算内容に不正がないことを証明させる「宣誓書」の提出を求める方針を固めたと報じる。みちのく銀行(青森市)のずさんな融資を経営陣が黙認するなど、経営者が財務に関する不正防止の対応をしていない例が出ているためとか。頭取や社長が決算の中身や、不正融資、違法勧誘などを防ぐ法令順守体制について財務担当者らに任せきりにせず、自らチェックし、不正防止策を指示するように促すのが狙いと記事は伝える。決算が「適正である」と書いた宣誓書に署名し、毎年度、財務局に提出する有価証券報告書やディスクロージャー誌に添付するとのこと。金融庁は2007年にも証券取引法を改正して、上場企業の経営者に決算が適正かどうかを社内調査して証明することを義務づける方針とか。金融機関は預金者や契約者からも信用が強く求められるため、それを前倒しする形で非上場企業も含めて宣誓書を求めるとの由。大手行に対しては2003年3月期決算から宣誓書の提出を求めており、すべての大手行が提出しているとか。その対象を地方銀行や証券会社、保険会社にも広げることにし、信用金庫や信用組合も対象にするかどうかも検討しているとか。宣誓書は任意提出だが、同庁は金融機関の不正に対する経営責任を厳しく問う方針で、事実上、義務になりそうと記事は伝える。

米司法省がKPMGの刑事訴追を準備

 6月17日付け日本経済新聞朝刊9面に「会計事務所KPMG、節税で違法指南――米紙報道、司法省が訴追準備」〔ニューヨーク=藤田和明〕の記事。
 記事は、国際会計事務所大手KPMGが16日、不正な節税対策(タックスシェルター)を顧客に提供してきた元パートナー(共同経営者)の「違法行為に対し、すべて責任を取る」と発表したと報じる。米メディアは、司法妨害と違法な税回避策があったとして、米司法省がKPMGを刑事訴追する準備に入ったと伝えたとか。KPMGは1996―2002年に、非居住者向け金融商品を使うなど課税所得を隠す複雑な節税サービスを富裕層に提供したとのこと。米当局は2004年2月から違法性について本格調査に着手し、米内国歳入庁が国の被害額を14億ドルと指摘しているとか。KPMGはその後、疑いのあるサービスを停止し、再発防止に向けた内部体制を強化したとか。節税対策サービスを主導したとされる元副会長は昨年、退任したとのこと。KPMGは米司法当局に対して全面的な協力を表明しており、米メディアによれば、刑事訴追を免れるため和解金を支払う解決策も探っているとか。その場合、罰金は巨額になり、会計事務所組織の抜本的な改革を迫られる可能性もあると記事は伝える。

奥尻の工事談合訴訟判決で返還命令

 6月17日日本経済新聞北海道朝刊38面に「奥尻の工事談合訴訟、1570万円返還命令――函館地裁判決、原告側訴え一部認定」の記事。

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【公金支出】堺市のヤミ退職金返還の請求を棄却

 6月18日付け日本経済新聞大阪朝刊16面に「堺市の監査委員、ヤミ退職金返還請求棄却(ピックアップ)」の記事は、大阪府市町村職員互助会が同府堺市の退職者に支給したヤミ退職金をめぐり、大阪市の市民団体が支給分の7割に当たる公費分の返還を木原敬介堺市長らに求めた住民監査請求で、堺市の監査委員が、「公費支出は公益上必要」として請求を棄却したと報じる。

審査基本方針の改定

 6月17日付け日本経済新聞朝刊7面に「金融庁の公認会計士・監査審査会、企業と会計士のなれあい防止(金融フラッシュ)」の記事。
 記事は、金融庁の公認会計士・監査審査会が16日、監査チェックの新方針を発表したと報じる。大企業の監査を個人で請け負っている会計事務所や、7年を超えて同一企業の監査を続けている会計士を重点的に審査するとのこと。日本公認会計士協会などに対応を求めるとか。新方針は西武鉄道の虚偽記載問題で、個人会計士が長期間にわたり同社を監査していたことを受けた措置で、経営者と会計士のなれ合いを防ぎ、監査への信頼を高める狙いがあると記事は伝える。会計士協会は監査法人の業務内容が適切かを点検し、審査会は必要に応じて協会や監査法人、企業を検査することができるというもの。

公表資料:「監査の信頼性確保のために -審査基本方針等-」の改正について(H17.6.16)

サワコー・コーポレーションの担当監査人は会員権停止1ヶ月

 6月17日付け日本経済新聞朝刊7面に「日本公認会計士協会、サワコー粉飾巡り会計士処分(金融フラッシュ)」の記事。
 記事は、日本公認会計士協会が、決算を粉飾していたマンション建設会社サワコー・コーポレーション(2000年11月に店頭登録廃止)の監査を担当していた監査法人トーマツの会計士2人を会員権停止1カ月の懲戒処分、同法人を厳重注意にすることを決めたと報じる。監査意見の表明にあたり注意を怠ったためとか。協会は担当会計士について、2004年5月の理事会でいったん処分を承認したが、不服申し立てがあり、再審査していたとのこと。

【NAO】英軍全体の約4割で戦闘準備態勢に問題

 共同は6月16日に「英軍4割が戦闘準備に問題 英会計検査院」〔ロンドン15日共同〕を配信。

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【公金支出】北川辺町の議員宛のお中元

 共同は6月15日に「交際費で中元ビールは違法 さいたま地裁が返還命令」を配信。

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上場企業で監査法人の変更が相次いでいるとか

 6月14日付け日本経済新聞夕刊1面に「監査法人の変更相次ぐ、上場企業、今年50社――グループで統一、個人から大手へ」の記事。
 記事は、上場企業の監査法人変更が相次いでいて、今年に入り、東京証券取引所1部・2部上場企業で50社が監査法人の変更を発表しており、昨年1年間の社数をすでに上回ったと報じる。連結決算の迅速化を狙い、グループ内で監査法人を統一する動きが目立ち、また、西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載問題もあり、透明性を高めるため、長期間契約してきた個人会計事務所から、大手の監査法人に変更するケースも出ているとのこと。会計監査を担当する監査法人や公認会計士を変更するには、株主総会での決議が必要で、手間がかかるため、数年前まで監査法人の変更は少なかったが、増加の背景にあるのは、監査の重要性を経営トップが認識し始めたことと記事は伝える。グループ内での監査の効率化に加えて、企業の不祥事が相次いでいることもあり、体制を見直す機運が高まったとか。ダイハツ工業は、前期までは新日本監査法人が監査を担当していたが、親会社のトヨタ自動車と監査法人を統一した方が、親子間の業務や取引などで迅速に監査できると判断し、2006年3月期から中央青山監査法人に監査を依頼するとか。ホンダも、連結売上高の過半を占める海外子会社の監査を、あずさ監査法人の提携先である大手会計事務所KPMGが担当しているため、今期、新日本からあずさ監査法人に変更するとか。また、2人の個人会計士がともに20年以上も会計監査を担当してきたヤマダコーポレーションは、「監査期間の長期化について協議した結果」として、今期から個人会計士の代わりに、あずさ監査法人に依頼することにしたとか。フォスター電機は、今期から4大監査法人の一角である監査法人トーマツを加え、前期まで2人の個人会計士が担当してきたが、うち36年間の長期にわたっていた1人の会計士とは契約を更新しないとか。

内部統制監査を導入する方向と朝日

 朝日は6月15日に「決算適正、経営者に証明報告書義務づけ 金融庁が方針」を配信。
 記事は、金融庁が株式上場企業の経営者に対し、毎年度決算で不正経理や虚偽記載がないかを調査させ、不正がないことを証明させる「内部統制報告書」を義務づける方針を固めたと報じる。会計専門家や企業の財務担当などで構成する企業会計審議会が7月に概要をまとめるのを受け、早ければ19年にも証券取引法を改正する方針と記事は伝える。この制度が導入されると、経営者は専門部署や担当者を置いて、営業現場や工場などで不正経理や違法取引がないか、粉飾決算や虚偽記載はないかなどを詳細に調べさせることが求められ、外部から財務諸表を点検する監査法人に対し、内部からチェックするのが狙いとのこと。社内には監査役もいるが、複数のスタッフで調査する新制度の方がより詳細に調べられるというと記事は伝える。社内調査の結果、財務諸表に問題がなければ、経営者は適正であることを報告書で宣誓し、不正が見つかれば、財務諸表を修正し、不正やミスの経緯を記録するとか。内部統制報告書をさらに監査法人に監査してもらったうえで、財務局に提出する有価証券報告書に添付して提出する仕組みで、報告書に虚偽があった場合の罰則についても設ける方向で今後検討し、証取法でも有価証券報告書の虚偽記載について経営者らと企業に罰則を設けているが、経営者の責任で社内を監視する仕組みを作ることでさらに不正防止の効果が出ると判断したと記事は伝える。

国際会計基準に沿った開示を求める欧州

 6月15日付け日本経済新聞朝刊3面に「EU、2007年から財務開示強化――日本勢、欧州上場岐路に」の記事。
 記事は、欧州連合(EU)域内に上場する日本企業が2007年から財務情報の追加的な開示を義務付けられる見通しと報じる。EUが国際会計基準並みの開示を海外企業にも求めるためで、今月末に最終報告がまとまるとのこと。日本基準と違う財務諸表の作成やシステム対応の負担増から上場廃止を検討する企業もあり、EU域内で株式や社債により資金調達する日本企業のべ約250社の財務戦略に影響が出そうだと記事は伝える。EUは日本基準で国際基準と違いが大きいと判断した27項目を国際基準に準じて開示するよう求める中間報告を発表しており、最終報告でも骨子は変わらない見通しとか。特にEUが「国際基準と異なる」と判断したのは、(1)企業買収で簿価の資産評価を認めている、(2)親会社と海外子会社の会計基準が統一されていない、(3)連結決算に特別目的会社が反映されない、などの点で、簡易版の財務諸表にあたる「補完計算書」の提出を求めたとのこと。補完計算書を作成するとなると、「財務諸表をもう一つ作る手間がかかり、投資家への説明も大変」(あずさ監査法人の小尾淳一代表社員)で、企業は実務コストに加えシステム導入や監査費用などの負担増が避けられないとか。ロンドン証券取引所に株式上場する日本企業は22社で、開示義務付けなら事務作業が大幅に増えるため、キリンビールは「撤退もありうる」(佐藤一博常務)としており、中堅部品メーカーのMARUWAも「監査法人が国際基準に対応できるか懸念もあり、上場廃止も視野に対応を検討する」(奥村研二取締役)とか。三菱マテリアルやJFEホールディングスは昨年欧州で転換社債型新株予約権付社債を発行したが公募は見送っているが、これも、国際基準に対応しなければならない可能性があり、「二重基準の負担を避けたかった」(三菱マテ)からとか。一方、富士通は2006年度にも国際基準を導入し、海外投資家の便宜に配慮してロンドン上場を継続するとか。フランクフルト市場から昨年撤退した全日本空輸もロンドン上場は維持するとも。

FMS:精算遅延を朝日がフォローアップ

 FMSの精算遅延については、平成9年度決算検査報告特記「アメリカ合衆国政府の有償援助による装備品等の調達について」、14年度決算検査報告特記「アメリカ合衆国政府の有償援助による装備品等の調達について」として問題を提起し、また、15年度決算検査報告では「アメリカ合衆国政府の有償援助による装備品等の調達に係る残余資金について、速やかに歳入として国庫に収納するための体制を整備するよう改善させたもの」として、事務の一部を改善させたことを報告したところである。この精算遅延について、朝日は6月14日に「有償軍事援助、米2200億円未精算 日本側は「宿命」」を配信し、その後の状況を報じた。

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保険業界の虚偽表示問題

 6月14日付け日経金融新聞1面に「激震米保険業界(1)不正会計、底なし沼――当局の視線、日欧にも」〔ニューヨーク=豊福浩〕の記事。
 記事は、米保険最大手AIGに端を発した不正会計疑惑に世界の保険業界が揺れているとして、疑惑のまなざしは日米欧の保険大手にも向けられていると伝える。「保険の実験室」との異名を持つ英領バミューダで4月、インター・オーシャンが保険引受業務から撤退を決めたが、同社が得意としていた「ファイナイト」と呼ばれる非伝統的な保険取引は、AIGが不正会計の手口に使った契約と同じとのこと。AIGは米再保険大手ゼネラル・リーが抱える保険契約のうち5億ドル分を再保険に出すよう要請し、この5億ドル分がAIGでは保険料収入や準備金として計上されたとの由。問題はこの取引にリスクの移転がなかったことで、リスク移転のない取引を保険として会計処理すると、準備金などの数値が本来あるべき姿から離れていくが、リスクの移転があったかどうか外から見えにくく、これをAIGは利用したとか。また、5月4日には米連邦捜査局(FBI)が不正会計疑惑の内偵に乗り出したことが明らかになったとか。担当はエンロン事件を追いかけた金融犯罪ユニットで百人弱の捜査官が従事しているとのこと。捜査当局が関心を寄せているのは不正会計が業界ぐるみで横行しているかどうかで、「1980年代の貯蓄金融機関(S&L)危機の時のように、連鎖破たんが起きるまで犯罪を見抜けなかった二の舞いは避けたい」とFBI筋は明かしているとか。

中小企業財務書類に関する指針の公開草案

 毎日は6月13日に「日本公認会計士協会:4団体が中小企業の会計指針案発表」〔斉藤望〕を配信。
 記事は、日本公認会計士協会など4団体が13日、中小企業が貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作る場合の基準となる指針案を発表したと報じる。商法では中小企業も財務諸表の作成を義務づけられているが、明確な基準がなく、中小企業の財務諸表は信頼性が低いとされてきており、指針に基づいた財務諸表の整備が進めば、中小企業でも土地担保や事業主の個人保証に頼らずに、金融機関などから資金調達が可能になるメリットが予想されると記事は伝える。指針案は上場企業や大企業向けの会計基準を、中小企業が大きな負担なく取り組めるように簡略化しており、例えば、退職給付の引き当ては、期末に全従業員が辞めた場合に必要な費用を計上するとしているとのこと。また、土地や建物などの固定資産の目減り分を差し引く減損会計では、現時点で明らかに遊休資産になっているものだけを対象にし、売却した場合の価格で現在の価値を算出するとしているとか。

公表資料:「中小企業の会計に関する指針」(公開草案)の公表について

四半期決算を法律で義務付ける方向

 6月11日付け日本経済新聞朝刊1面に「四半期決算義務付け、2008年度にも――証取法改正、金融庁検討、詳細開示求める」の記事。
 記事は、金融審議会がこれまでの年2回の決算開示に加え四半期ごとに更に2回の決算開示を、現在約3800社ある全上場企業に義務付ける方針を固めたと報じる。四半期開示は東京証券取引所などがすでに取引所ルールで義務付けているが、刑事罰のある法律により厳格な開示を促す必要があると判断したとか。情報開示も取引所ルールより拡充するとのこと。金融審の「ディスクロージャー作業部会」が7月中に最終報告を取りまとめ、来年の通常国会で証券取引法を改正し、2008年度決算にも新制度を導入すると記事は伝える。証取法で開示を義務付けることで、ウソの開示をした場合には5年以下の懲役または5百万円以下の罰金が科されるとのこと。四半期決算の義務化に伴い、企業は情報開示の拡充も求められ、いまの取引所ルールでは損益計算書や貸借対照表、部門別の決算情報などの開示を求めているが、企業の資金繰りを示すキャッシュフロー(現金収支)計算書なども対象になると記事は伝える。連結ベースで開示している会社は現在、連結財務諸表だけを開示すればよいが、単体財務諸表の添付も求めるとか。連結と単体の財務諸表の内訳についても、現在の四半期開示より細かな公表を求め、例えば損益計算書の場合、売上高や経常利益など限られた項目だけを開示する「要約版」にとどまらず、経費などについてもより詳細にし、これにより企業は第1四半期、第3四半期の決算についても現在の中間決算に近い情報開示になるとのこと。

監査役監査基準の新ルールの導入状況

 6月10日付け日本経済新聞朝刊19面に「「監査役監査基準」、新ルール、7割が対応――「役割強化」など自社基準に」の記事。
 記事は、日本監査役協会(笹尾慶蔵会長)が9日、昨年全面改定した「監査役監査基準」への対応状況についてのアンケート結果を発表したと報じる。回答のあった加盟企業のほぼ7割が「取締役会等の意思決定の監査」など新基準で強化した役割を自社基準に盛り込んでおり、新ルールが浸透していることを裏付けたとのこと。アンケートはインターネットを利用し、会員4630社を対象に実施し、1235社から回答があったとか。監査役の役割として新たに打ち出した「取締役会等の意思決定の監査」は70.8%、「内部統制システムの整備状況の監査」は64.5%の企業が自社基準を改定し、盛り込んでおり、法令順守の社内体制整備状況については、「自社の行動基準が制定されている」が70.7%、「コンプライアンス委員会等が設定されている」が53.1%に上っているとのこと。全般に大企業の方が、中小規模の企業より対応が進んでいる傾向があったとか。同協会は今後、会員会社の社長を対象に新基準に関連した意識調査を実施し、集計結果と合わせ、10月にも最終報告を公表すると記事は伝える。

 アンケートの回収率が低いのが気になる。未回答の会社は導入していないと見るのが自然なのではないか。とすると、7割が導入、というのは過大評価ということになる。

公表資料:「新監査役監査基準の実践状況に関するNETアンケート」集計結果概要

会計検査院の検査官は3人しかいないと東京新聞

 東京新聞の連載「逐条点検 日本国憲法」の6月10日付けは第90条で見出しは「権限弱い会計検査院」。
 記事は「検査院の検査能力については、不十分だとの指摘がある。強制権限がないのに加え、検査官が3人しかいないという問題もある。この結果、犯罪・不正行為の発見は不可能に近い。最近、社会保険庁の不正支出が次々に発覚したが、大半は司法機関の捜査や国会質疑で判明した。検査院の出番はほとんどなかった。」と説いている。

 うーん。「強制権限がない」というのは、監査機関であれば当たり前の話のような気がする。「検査官が3人」は、検査院のサイトによれば、「検査官会議は、3人の検査官により構成されており、その合議によって会計検査院としての意思決定を行うほか、事務総局の検査業務などを指揮監督しています。」と説明されており、要は Board ということだろう。「しかいない」という話ではない。別なところでは「会計検査の中心となる調査官及び調査官補」は「約850人」という記述があるから、話をするなら850人が多いか少ないかを議論すべきでは。社会保険庁の話は、犬が人を噛んだこと〔監査機関が指摘したこと〕より、人が犬を噛んだこと〔監査機関でない者が指摘したこと〕を大きく扱うという報道機関の性癖と、自分の取材報道はより大きく扱うというマス・メディアの宿命をよく自己認識した方が良いのでは。

関係当事者の明確化の方向

 6月9日付け日経金融新聞10面に「関連当事者との取引、開示ルール明確化――企業会計基準委、年内にも草案」の記事。
 記事は、企業会計基準委員会が6月中にも、企業と特定の利害関係がある人物や法人との取引について、情報開示ルールを厳しくする方向で動き出すと報じる。開示すべき取引の判断基準が明確でなく、企業によって開示内容が異なっているのが現状で、専門委員会を設置し、年内にも草案をまとめると記事は伝える。設置するのは「関連当事者開示検討専門委員会」(仮称)で、現行ルールでは一般に、A社が自社の取締役の個人資産会社B社と取引した場合、A社はその取引について財務諸表の欄外で、関連当事者との取引として内容や金額を開示しているが、どのような取引相手が関連当事者に当たるかといった明確な線引きがなかったとのこと。このため、A社が子会社C社を経由してB社に融資する場合などが問題視されてきており、昨年暮れにも、ミサワホームホールディングスが、三沢千代治・前社長の個人資産管理会社向け債権約4百億円が取り立て不能になる恐れがあると発表したとか。実質的には関連当事者との取引に相当するものだったが、ミサワの子会社からの融資だったため、それまで開示していなかったとの由。
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