昨年暮れの監査結果報告書が6月になって報じられている。

 9月10日に毎日新聞関西版サイトに掲出された「堺市 公文書偽装155件 作成日遡及 不備整えるため」〔矢追健介〕は、堺市立のスポーツ関連10施設で27~28年度分の運営に関する公文書155件が作成されず、不手際を取り繕うため作成日を偽った文書をその後に作り、正規に手続きしたように装っていたと報じる。問題の施設は市立サッカー・ナショナルトレーニングセンター(堺区)などで指定管理者4団体が運営しており、155件の文書は事業計画や事故の報告、施設内に広告を掲示する際の事前提案などで、指定管理者から期日までに市に提出されなかったり、正しい書式でなかったりして、受け取りや承認など必要な行政手続きが完了していない状態だったとか。市監査委員事務局が昨年8月、市スポーツ施設課に書類の不備を指摘し、これを受けて複数の職員が作成日をさかのぼった決裁書類を作り、以前の担当職員に押印を依頼していたとの由。同9月に監査委が再び調べたところ、前月になかった書類があったため経緯を問いただし、不正が発覚したと記事は伝える。最長で2年4カ月さかのぼり、8件は市長公印が押されていたとのこと。決裁を求められた職員の一人は毎日新聞の取材に「好ましくないと思ったが、印鑑を押してしまった」と証言し、公印を管理する法制文書課は「長期間さかのぼるなど不審な書類は普段からチェックしているが、見逃した」と釈明したとのこと。市文書規程は「処理経過を明らかにする」と定めており、監査委は昨年12月の報告書で「事実と異なる書類が作成された」と指摘し、担当職員は監査委に「無い書類を整えないといけないと思い、作成日をさかのぼって作った」と説明したとのこと。市は「不適切な行為で市政に混乱を招いた」などとしてスポーツ施設課長を含む職員3人を口頭で注意し、同課は「公文書作成の正当性が疑われかねず反省している。(指定管理者からの)提出が遅れた理由を記すなど、文書を後から作ったことを分かるようにすべきだった」と述べ、法制文書課は作成日の遡及(そきゅう)について「原則はしないが、どうしてもする場合は経過が分かるようにする必要がある」としていると記事は伝える。

 記事にある29年12月の報告書とは、財政援助団体等監査の結果としてサイトに掲出されている。

市が甲子園出場した高校の後援会へ補助した事例

 河北新報サイトが4月21日に掲出した「一関学院高甲子園補助金訴訟 盛岡地裁、市に返還請求命じる」は、22年夏の全国高校野球選手権大会に出場した一関学院高(一関市)の学校後援会に交付した市の補助金1000万円が不適切に使われたとして、補助金を返還させるよう市長に求めた住民訴訟の差し戻し審判決で、盛岡地裁が20日、420万円の返還請求を市に命じたと報じる。記事は、裁判長が、後援会が補助金の使途として申請していた交通、宿泊費以外の支出について「返還請求を怠ることは違法」と指摘し、後援会が既に解散しており返還請求できないとする市の主張を退けたと伝える。一審盛岡地裁判決は26年12月、住民訴訟の前提条件となる住民監査請求の内容に不備があるとして訴えを却下し、二審仙台高裁判決は27年7月、訴訟要件は満たされていると判断して地裁に審理を差し戻したとのこと。最高裁が28年6月、市長の上告を退けて仙台高裁判決が確定し、地裁で再び審理していたとの由。判決によると、市の補助金1000万円は、市民の寄付などと合わせて計約4320万円を学校後援会が一括管理しており、うち約1700万円は甲子園から2カ月以上後に支出された上、領収書がないなど使途が明確でないと指摘されたという。

議会決定範囲は議会の意思

 産経ニュースサイトが3月22日に掲出した「豪州視察費支出、一部違法 東京高裁判決 埼玉県戸田市議」は、姉妹都市との交流を目的とした埼玉県戸田市議5人のオーストラリア訪問が実質的な海外旅行だったとして、市民団体が起こした住民訴訟の控訴審判決で、東京高裁が22日、請求通り旅費の全額約240万円を5人に返還させるよう神保国男市長に命じた一審さいたま地裁判決を変更し、計22万5千円に減額したと報じる。裁判長は「市議会は姉妹都市であるリバプールへの派遣を決定しており、シドニーの視察は目的から逸脱し違法だ」と述べたとのこと。判決によると、5人は平成25年10月16~21日、オーストラリアを訪問し、リバプールには実質的に1日しか滞在せず、3日かけてシドニーや郊外の観光名所を訪れていたとの由。

 議会決定範囲が議会の意思とするのは、財政議会主義の反映。

住民監査請求の2日後の補填

 岐阜新聞Webが1月13日に掲出した「過大支出分返還の住民監査請求棄却 安八町監査委員」は、28年10月にあった岐阜県安八郡安八町と大垣土木事務所の職員の懇親会で、町が支払った費用が不当に高額として、同町の男性会社員(41)が、町長に対し過大支出分を町に返還させるよう求めた住民監査請求で、町監査委員が、請求を棄却したものの、「不適切な公金の支出があった」と認めたと報じる。監査結果によると、懇親会には町と同事務所から各7人が参加し、その費用総額23万4792円を、同事務所職員が1人5千円を負担した上で、町が残額19万9792円を一般会計に計上して支払ったとのこと。29年11月7日の監査請求があった2日後に、計19万円余を出席者全員が一般会計に補てんし、監査委員は、監査を実施した昨年12月時点で不当な支出はなかったとして請求を棄却したものの、「行政の事業は町民の税金で賄われていることに鑑み、不信感を抱かれないようにすべき」と指摘したとの由。町は「懇親会は私費で開き、後日徴収するつもりだった。一般会計から支払うことになった経緯に覚えがない」と説明し、男性は「監査請求されたから補てんしたとしか思えない。払えば済むことなのか」と話したと記事は伝える。

定期監査結果について監査請求が行われた

 毎日新聞サイトが1月17日に掲出した「看護師等修学資金制度 県監査委、住民監査請求退ける /神奈川」〔堀和彦〕は、神奈川県の看護師等修学資金などの貸付金制度で県が約17年間にわたり返還免除や回収の手続きを怠っていた問題を巡る住民監査請求について、県監査委員が請求を棄却・却下したと報じる。記事は「ただ、「債権管理として極めて問題」と適切な体制整備の重要性を指摘した」とするが、もともと監査委員が指摘した問題であることには言及していない。

 監査請求の対象は、神奈川県監査委員が平成28年定期監査結果報告書で要改善事項の「(1) 経済性、効率性又は有効性の観点から改善が必要と認められる事案 」として明らかにした「③ 看護師等修学資金貸付金の債権管理に関する件」とそれを踏まえて当局が調査した結果である。当該要改善事項の結論は次のとおり。

 したがって、保留案件の累積に伴う事務負担の増大にも鑑みて、消滅時効上回収可能 な債権を速やかに特定し、消滅時効の中断、貸付金の返還請求等の措置を講じる必要が ある。また、免除申請書等を提出しない借受者については、金銭債務の存在について改 めて注意喚起するとともに、その就業状況等の把握に努め、看護師等としての就業や復 職を促進するなど、看護師等修学資金の制度目的の達成を図りつつ、適切に債権を管理 する必要がある。その上で、看護師等修学資金の貸付けから免除、返還に至る事務手続 を借受者にとっての利便性及び債権管理の効率性の観点から見直すとともに、貸付金債 権に係る情報管理の在り方を改善するなど、制度運用に係る事務処理の合理化を図り、 これを事務処理要領等に定めた上で、所要の事務処理体制を整備するほか、必要性が認 められる場合には関連規定の改正を検討する必要がある。


 つまり、監査済みの事案であり、監査委員の結論は出ていて「不適切事項」として整理していない以上、不当性の認定には至らないはず。このような監査請求は法律が想定していないのではないか。


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徳島県の財団に対する委託料の監査請求

 徳島新聞サイトが1月10日に掲出した「記念オケ事業費の返還請求を棄却 徳島県監査委員」は、徳島県がとくしま国民文化祭記念管弦楽団(とくしま記念オーケストラ)事業で県文化振興財団に支払った業務委託料に違法性があるとして委託料5160万円を県に返還させるよう飯泉嘉門知事に求めていた住民監査請求で、県監査委員が請求を棄却したと報じる。記事によると、請求は、28年度の第九演奏会の委託料増額分3660万円と短編映画祭でのシネマオーケストラの委託料1500万円を合わせた計5160万円の随意契約について「主な業務を民間事業者に再委託しており、財団が業務を受託できる唯一の団体ではない」などと違法性を指摘していたとのこと。これに対し、監査結果は「業務の主たる部分は、財団が担っている演奏会の総合調整であるとの県の見解は一定の合理性がある。財団を選んだことに裁量の逸脱や濫用があったとはいえない」としたという。
 徳島県監査委員のサイトには17日現在で監査結果は掲出されていないが、徳島県報道提供資料のページには掲出されている。

愛知県は指摘事項・指導事項・検討事項の3区分

 愛知県監査委員の「平成29監査年度 定期監査の結果に関する報告」〔PDFファイル/681KB〕は、36 件の注意改善を必要とする事項があったとし、その内訳を指摘事項5件、指導事項〔指摘事項の程度が軽微なもの〕29件、検討事項〔問題点又は疑問点がある場合で、改善に向けて検討を指示する必要がある〕2件とし、そのほかに、、地方自治法第 199 条第 10 項の規定に基づく監査意見6件を付記している。
 指摘事項等にはそれぞれ観点を示しており、ほとんどは合規性となっているが、3Eも次のように記載されている。
★指導事項
☆経済性:「使用時期を考慮しないまま、郵便切手が大量に購入され ていたもの」「年度末に郵便切手が不適切に購入されていたもの」
★検討事項
☆有効性:「保管する出土品の点検方法について検討を求めるもの」「砂防指定地における巡視方法の見直しについて検討を求 めるもの」
★監査意見
☆経済性:「郵便切手類について、適切な購入を求めるもの」
☆有効性:「今後の内部統制の整備に当たり、会計事務の内部検査に係る課題を踏ま えて検討することを求めるもの」「重要物品の適切な管理及び有効活用を求めるもの」 (合規性・有効性)「不適正な土地開発行為について、速やかな情報提供の徹底を求めるもの」
 つまり、記載されている42事案のうち8事案が3Eということになる。これは割合として他県より大きく、地方自治法が求めるとおり3Eに留意して監査していることがうかがえる。

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大阪府監査委員の上半期定期監査における3Eは5件

 大阪府監査委員が29年9月に議会等へ提出した平成29年度上半期の定期監査結果は、「施策事業に関するもの」が14件記載されている。この報告では、3Eか否かは報告の文言からは不明であるが、内容からは、このうち6件(「行政財産の引継ぎ等に係る取扱いについて」、「借用財産の登録について」、「使用許可及び貸付状況に関する「実地調査チェックリスト」の周知徹底等について」、「実行委員会方式(百舌鳥・古市古墳群世界文化遺産登録推進本部会議)における分担金支出について」、「工事執行依頼方式について」、「学校法人等への経常費補助金の支出管理について」)は、統制不備を指摘したものと理解できる。
 また3件は施策の徹底を求めるなど行政過程に疑問を呈しているもので、広い意味では統制不備の指摘と言えよう。「災害対応力及び地域防災力の強化について」は、施策の迅速な推進を求めるもので、3Eとは言い難く、統制不備の指摘と言えよう。「「主要事業マネジメントシート」の導入効果と今後の活用等について」は、執行側がおそらくはなし崩し的に廃止しようとしている煩雑な内部プロセスについて、「導入効果が十分に検証・ 評価されないまま、予算要求の 必須資料とせず、行政経営課で の取りまとめ及びホームページ での公表を行わないなど取扱いが変更されている。また、その 取扱いの変更及び今後の「事業重点化」の取組みの実施方法に ついて、府民に対する説明が行 われていない。」ことを指摘しているが、これなどは、3Eの観点からとは言い難い。むしろ、民間経営手法の安易な導入の弊害を分析して安楽死の途を提示した方がすっきりしたとも理解できる。「大阪府私立小学校及び中学校の設置認可等に関する審査基準について」は、書類の保存を問題視しているところは統制不備の指摘であるが、行政判断に疑義を呈している内容も含まれている。
 残る5件が3E指摘と言い得るものである。「社会福祉施設等における防犯に係る安全性の確保について」は、施策の不徹底を指摘しているが、情報資源の活用不足という指摘でもあり、その意味で3Eと言い得る。「彩都インキュベーション施設に係る補助事業について」は、施設退去後の把握が不十分で効果検証が行われていないとの指摘であり、3E促進の指摘と言える。「府営公園の指定管理者公募に係る競争性の確保について」は、競争性を高めるために、一定の見直しを行ったものの、競争性が低下している実状を指摘したもので3E監査と言い得る。「府立学校における再生資源化可能なゴミ等の処分について」は、173校のうち38校で古紙類を一般ゴミと併せて有償処分している実状を指摘しており、3E監査と言い得る。「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律に基づく交通安全特定事業計画の作成及び公表並びに音響信号機の整備・運用について」は、計画がホームページ上で公開されていないことと音響信号機を整備したうち2 か所で整備後1年程度の短期間で運用 を停止し、現在もその状態が続いている実状を指摘したもので、3E監査と言い得る。

東京都監査委員の29年定例監査における3E指摘は2件

 東京都監査委員の29年定例監査結果報告書には、「主な指摘事例」として6件上げられているが、そのうち3E指摘と呼び得るのは「検診結果の異常値について、原因分析を十分に行っていなかったもの」と「最新の情報がホームページで提供されていなかったもの」の2件と思う。

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神奈川県監査委員の定期監査報告書(29年10月)における3E指摘

 神奈川県監査委員が29年10月に議会等へ報告した平成29年定期監査結果報告書には、3E監査の結果が1件指摘されている。件名は「県立高等学校及び県立中等教育学校に対する外国語指導助手の派遣に関する件」といい、教育委員会高校教育課が、人材派遣事業者と締結している、指導助 手を学校に配置する業務委託契約に関するものである。問題視しているのは、学校側の事情等により指導助手の派遣がキャンセルされた回数が1,159回に及んでいるという実状であり、ネイティブスピ ーカーの話す英語やその考え方に触れる機会が相当数失われることになると、本事業において、当初想 定された効果が十分得られないおそれがあること、また、学校側の事情等により指導助手の派遣がキャンセルされた場合には、人材派遣事業者への支払額は減額されないことにな っていることから、本事業の効率的な実施のためにも、学校側の事情等によるキャンセルを防止する必要があることを指摘している。平成 28 年度の契約総額が270,563,877 円という数字はあるものの、キャンセル回数1159の分母や、キャンセルした相当額は示されておらず、議会の質疑に委ねる形となっている。また、何らかの改善策を講じることで抑止できたキャンセルがどの程度あったのかの目安が示されていれば、もっと良い指摘になったと思われる。

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