議会で取り上げられて首長が動く

 朝日新聞デジタルが10月12日に掲出した「看護師育成貸し付け ずさん経理 神奈川県」〔岩堀滋〕は、県が11日の会見で明らかにしたところ、看護師などの育成を目的に神奈川県が行っている修学資金貸付金制度で、7~22年度の間に借り受けた約1600人分が返還に当たるか、免除に当たるかがはっきりしない状態になっていることがわかったと報じる。県が確認作業を怠っていたのが原因で、早急に確認作業を進めるとのこと。
 記事に言う県の会見は、知事の定例記者会見だがユーチューブを見ると、予定項目に入る前に冒頭に知事が説明している。その説明によると、監査で指摘を受けて増員して処理を進めていたが、常任委員会で指摘を受けて知事の指示により他の貸付金にも調査範囲を広げて確認したところ、二つの貸付金で同様事態があることが確認できた、ということでの会見。監査での指摘を県議会が取り上げて、たいおうの徹底が図られたという意味では、公監査の望ましい姿と言える。
 監査委員の指摘とは、平成28年定期監査結果報告書記載の要改善事項「看護師等修学資金貸付金の債権管理に関する件」であるが、議会会議録は未掲出のようだ。

賠償責任監査事例

 地方自治体職員の賠償責任について定める地方自治法第243条の2第3項は「普通地方公共団体の長は、第一項の職員が同項に規定する行為によつて当該普通地方公共団体に損害を与えたと認めるときは、監査委員に対し、その事実があるかどうかを監査し、賠償責任の有無及び賠償額を決定することを求め、その決定に基づき、期限を定めて賠償を命じなければならない。」と定め、監査委員に賠償責任の有無と賠償額を判断することを求めている。本来、監査人は、二重責任原則からも執行責任を負わないことが望ましいが、統制機能監査の派生として行うことが例外的に求められている。
 したがって、この賠償責任監査を監査委員が行うことは希であるが、無くは無い。9月13日付けで日経新聞に掲出された「知事、県職員に賠償請求へ 森林組合不正巡り監査」は、長野県知事が12日の記者会見で、大北森林組合の補助金不正受給問題に関与したとされる県職員11人に賠償請求するため、監査委員に賠償責任の有無や賠償額についての監査を求めたと発表した、と報じている。

佐賀県監査委員の28年度行政監査の結果は29年9月に提出された

 佐賀新聞サイトは9月19日に「毒劇物管理の「危害防止規定」 県内6割、56機関が未整備 県研究施設や県立学校」を掲出し、毒物や劇物を保有している佐賀県の試験研究機関や県立学校など93機関のうち、60・2%に当たる56機関で国の通知で策定が求められている「危害防止規定」が未整備だったことが、県監査委員の行政監査で分かった、と報じた。
 この行政監査は9月5日付けで議会等へ提出され、公表された「県の機関における毒物及び劇物の適正な管理について」である。

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鳴門市の競艇補助金訴訟で高裁判決

 毎日新聞サイトは8月5日に「競艇補助金訴訟 鳴門市長らに支払い命令 高裁が1億1800万円 /徳島」を掲出し、鳴門競艇場を運営する鳴門市が交付した補助金を返還するよう求めた住民訴訟の差し戻し控訴審で、高松高裁が3日、泉理彦市長らに約1億1800万円の支払いを命じたと報じる。

自治体監査制度の充実強化

 地方自治法等の一部を改正する法律(平成29年法律第54号)が6月9日に公布されていた。理由は次のとおり。

 地方公共団体等における適正な事務処理等の確保並びに組織及び運営の合理化を図るため、地方制度調査会の答申にのっとり、地方公共団体の財務に関する事務等の適正な管理及び執行を確保するための方針の策定等、監査制度の充実強化、地方公共団体の長等の損害賠償責任の見直し等を行うとともに、地方独立行政法人の業務への市町村の申請等関係事務の処理業務の追加等の措置を講ずるほか、所要の規定の整備を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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日弁連が、財務諸表監査に必要な監査基準は自治体監査には必要ないとコメント

 日本弁護士連合会サイトは、28年6月16日付けで、「地方公共団体の監査制度の見直しに関する意見書」を取りまとめ、同年6月22日付けで、総務大臣及び第31次地方制度調査会長に提出したとして、全文(PDFファイル;237KB)を掲出。
 意見書は、第31次地方制度調査会の平成28年3月16日付け「人口減少社会に的確に対応する地方行政体制及びガバナンスのあり方に関する答申」に関して、答申のうち5項目に賛成し、5項目の実現を求めつつ、答申のうち次の3項目には、地方の実情を反映しない画一的な監査等を強いる弊害が予想されるとして反反対している。
① 監査の実効性確保のために,「統一的な」監査基準を策定することが必要である(答申 15 頁 第3・2(2)①参照)
② 監査の専門性を高める方策として,研修の修了要件を明確化した研修制度を設けることが必要である(答申 17 頁 第3・2(3)②参照)
③ 監査の適正な資源配分のために,監査基準の策定や研修の実施,人材のあっせん,監査実務の情報の蓄積・助言等を行う全国的な共同組織の構築が必要である(答申 18 頁 第3・2(4)⑥参照)

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補助金交付要綱決定前に完了した事業を補助対象にすることの是非

 東京新聞サイト栃木ページに8月6日に掲出された「ロケ誘致訴訟 元足利市議の請求棄却」〔稲垣太郎〕は、26年12月に公開された映画「バンクーバーの朝日」の撮影を足利市内で行った制作会社に補助金2千万円を交付したのは違法だとして、元足利市議(42)が和泉聡市長に損害賠償などを求めた住民訴訟で、宇都宮地裁が4日付で交付は適法として原告の請求を棄却したと報じる。 「バンクーバーの朝日」の撮影では市内に大規模なオープンセットが建設され、ロケーション活動は26年6月30日に終了したが、市の「市ロケーション誘致促進事業補助金交付要綱」は、翌7月1日に施行されており、元市議は、補助金の交付決定前に終了した撮影に、ロケーション誘致を目的とした補助金を交付したのは因果関係がなく、裁量権を逸脱、乱用したとして、和泉市長に対し、制作会社に返還を求めるよう訴えていたとのこと。判決では、補助金交付の目的はロケーション活動を誘致することだけに限られているとは解することができず、和泉市長が裁量権を逸脱、乱用したとも認められないなどとしたとの由。

事実証明が不十分な部分を監査対象から除外した事例

 大分合同新聞サイトが7月31日に掲出していた「県議の車燃料代、監査請求を棄却」は、26年度の県議会の政務活動費として、当時の県議38人が領収書を添付せず自家用車の燃料代を受け取ったのは不当だとして、おおいた市民オンブズマンが計約1350万円の返還を求めた住民監査請求で、県監査委員が19日付で請求を棄却したと報じる。監査委員は「領収書があっても、そのうちいくらが政務活動目的で使われたかは判別できない。全国37府県でも同じ方法が採用されている」と指摘し、オンブズマンの請求を退け、その上で、県議会が政務活動費の在り方を検討する協議会を設置したことに触れ「各会派間での協議・検討により一層の透明性が向上することを期待する」と意見を付したと記事は伝える。同年度の政務活動費では中津市選挙区の毛利正徳県議(自民)が、地球1周半以上を自家用車で走行したと申告して約245万円を受け取り、その後、返還しており、監査請求で、オンブズマンは返還額の利息分の返納を求めたが、監査委員は「請求を裏付ける事実が客観的に証明されていない」として監査対象から除外したとのこと。

大分県7月20日付け公報:平成26年度政務活動費に関する債権の管理に関する請求

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絵画寄贈者の接待は許容範囲と地裁

 毎日サイトが7月16日に掲出した「湯沢市公金訴訟 懇親会費は妥当 住民の請求棄却 地裁 /秋田」〔山本康介〕は、湯沢市の公金支出は不適切として、市民団体「湯沢生活と健康を守る会」の会員が返還を求めた住民訴訟の判決で、秋田地裁が15日、絵画寄贈者らとの市主催懇親会に支出された食糧費11万5700円は違法ではないとして、斉藤光喜市長らに食糧費を返還させるよう求めた請求を棄却したと報じる。原告側が起こした6訴訟のうち、3件目の判決であり、これで原告側は1件で勝訴、2件で敗訴となったと記事は伝え目。原告側は26年5月13〜15日、市が絵画寄贈者を招いて開いた懇親会で支出した宿泊費などの接待経費の返還を求めていたが、判決は懇親会について「感謝の意を表することを目的としており、必要性に欠くものとは認められない」と指摘し、斉藤市長ら2人が宿泊した必要性について「接遇の範囲として相当。旅費の支出が違法になるとまでは認められない」としたとのこと。

条例に基づかない退職金は違法

 毎日サイトが7月17日に掲出した「競艇補助金返還 鳴門市が逆転敗訴 最高裁、高松高裁へ差し戻し /徳島」は、鳴門市が運営するボートレース(競艇)事業を巡り、市が交付した補助金を返還させるよう泉理彦市長に求めた住民訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷が15日、交付を違法と認めて住民敗訴の2審判決を破棄し、審理を差し戻したと報じる。高松高裁が返還額を審理するとのこと。判決によると、市は22〜24年、競艇職員の共済会に補助金計約1億1800万円を交付し、共済会は全額を退職した臨時職員の餞別に充てたが、当時、餞別について定めた条例はなかったとのこと。1審・徳島地裁と2審・高松高裁判決は、餞別を退職金と認めた上で「一般の市職員と同様の働き方をしており、支給は正当だ」などと判断したが、最高裁は「退職金であれば条例に基づかなければならないのに規定がなく違法だ」と指摘したと記事は伝える。
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