公監査機関に対する誤解

 ニッセイ基礎研究所サイトに掲出された「予算編成・執行管理に係わる米政府機関の役割-立法府(議会)と行政府(大統領・官庁)のパワーバランスを支える政府機関」には、米国会計検査院について違和感のある記述が見受けられる。
 記事には、「GAOは、OMBと同様に1921年に予算・会計法に基づき、行政部門から独立した監査機関として、当初は会計検査院(General Accounting Office)の名称で設立された。GAOは04年に「2004年GAO人的資本改革法」(The GAO Human Capital Reform Act of 2004)によって、略称は従来と変わらないものの、名称が政府説明責任局(General Accountability Office)に変更された。」とある。General Accountability Officeを「政府説明責任局」と訳すのであれば、General Accounting Officeは「会計検査院」ではなく、「統括会計局」と訳すべきだろう。逆に、General Accounting Officeを「会計検査院」と訳すのであれば、General Accountability Officeも「会計検査院」と訳すべきだろう。おそらく筆者は、2004の改正が人材リクルートのための名称変更を行ったもので、SAIという実体には変更がなかった(改正前も改正後もINTOSAIの加盟機関である。)ことを承知していなかったのだろう。おそらく、公監査機関である会計検査院を民間企業の会計監査人と同様の存在と誤認しているのだろう。

国会は再任時にも所信聴取

 NHKサイトは1月23日に「政府 公取委委員長など12機関28人の人事案を提示」を掲出し、政府が、23日開かれた衆参両院の議院運営委員会の理事会で、公正取引委員会の委員長や、会計検査院の検査官など、国会の同意が必要な12機関、28人の人事案を提示したと報じる。記事は、会計検査院の検査官には公認会計士の森田祐司氏を再任するとしつつ、その人事については、近く、衆参両院の議院運営委員会で、所信の聴取と質疑が行われることになっていると伝える。

 会計検査院法第5条第1項は、「検査官の任期は、七年とし、一回に限り再任されることができる。」と規定している。

公監査機関については議会が定める

 財政議会主義の一翼を担う公会計機関については、議会が決める

日本国憲法第90条第2項 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。
地方自治法第202条 この法律及びこれに基く政令に規定するものを除く外、監査委員に関し必要な事項は、条例でこれを定める。

決算書の監査報告に盛り込む決算外の情報

 会計検査院の平成28年度決算検査報告では、「第6章 歳入歳出決算その他検査対象の概要」の「第1節 国の財政等の概況」に「第4 国の財政状況」が新設された。前回までは「第4 個別の決算等」とされ、「歳入歳出決算等の検査対象別の概要は第2節に記述するとおりであるが、国の会計等のより的確な理解に資するために、……について、その現状を述べると次のとおりである。」と説明された上で、「……」という特定の財政の動向について記述が為されてきた。しかし、前々回の平成26年度では「純計額でみた国の財政状況」を、また前回の平成27年度では「国の財政状況」を取り上げているのに、標題は「個別の決算等」としたままで、内容に見合わない標題となっていた。今回は標題を替えた上で説明を「歳入歳出決算等の検査対象別の概要は第2節に記述するとおりであるが、国の財政等のより的確な理解に資するために、決算でみた、その現状を述べると次のとおりである。」としたものの、従前の文章を活かそうとするあまり、「その」が何を指すのか不明確な説明となっている。
 ただ、国の決算の審査に当たり、補足情報を提供しようとする意義は高いと思う。ちなみに、この「個別の決算等」を記述するようになったのは、平成10年度が最初であり、そこでは次のように述べられていた。

 歳入歳出決算等の検査対象別の概要は第2節に記述するとおりであるが、国の会計等のより的確な理解に資するために、今後、これらの決算状況等を個別に取り上げることにした。
 そこで、今回は、交付税及び譲与税配付金特別会計(交付税及び譲与税配付金勘定)の決算について取り上げることとし、その現状を述べると次のとおりである。


 このように、決算に関して、補足的な情報提供を行うことは決算書類点検活動における公的資源活用度向上のための報告であり、3E監査と言える。
 同様のことは地方自治体でも見受けられ、例えば、議会提出の決算書に盛り込まれていない債務に関する情報を決算審査意見書に記載することも行われている。

議会と公監査機関

 財政議会主義によって議会制度は成立する。財政議会主義に基づかない議会は翼賛機関に過ぎない。そして、財政議会主義を機能させるのが公監査機関である。公監査機関が議会の代理人として機能していなければ、財政議会主義は機能しているとは言い難い。
 執行事績についての説明を踏まえて判断する公監査活動を理解していないと、公監査機関に予算審査権を与えようとする試みにつながる。公監査機関は事前点検には不向きだ。1880年に発足した当時の会計検査院に予算審査権が付与されていたのは、未だ議会が存在しなかったために過ぎない。
 基本的に会計検査院が予算編成にもの申すことはないが、結果を示して議会に注意を喚起することはある。過去には、「エネルギー対策特別会計エネルギー需給勘定において、過年度の不用額の発生要因を十分に見極め、歳出予算の見積りを行う際に反映させるなどして剰余金を減少させるよう意見を表示」した(平成20年10月)こともある。
 直近の検査報告(平成28年度決算検査報告第4章「第3節 特定検査対象に関する検査状況」「第1 国の財政健全化への取組について」(PDF形式:388KB))でも、補正予算でプライマリーバランスが悪化することについて「取組方針に設定された指標が、補正予算が執行さ れることにより、取組方針上当初予算で達成を求められているような水準からどの程度かい 離することになるかについて、補正予算の編成等の過程では示されていない」ことに言及している。

金融庁の監査法人検査

 サンケイビズが4月5日に掲出した「大手監査法人4社に横断検査導入」は、金融庁の公認会計士・監査審査会が4日に発表した、監査法人に対する2014年度の検査方針について、上場企業100社以上を監査し、社内の監査担当者が1000人以上にのぼる大手4社を対象に横断的な定期検査を初めて同時に実施するのが柱となっており、減損や税効果会計などの会計処理をはじめ、海外にある子会社の監査担当者との連携、地方事務所のガバナンス(企業統治)といった業界に共通する重要課題をチェックすると報じる。オリンパスの巨額損失隠し事件など経営者による不正会計や、企業の海外進出に伴う監査内容の複雑・高度化に対応するもので、また従来は不定期だった準大手監査法人の定期検査も2~3年ごとに行うと記事は伝える。

総長人事を4月1日付けで行う会計検査院

 日経サイトが3月18日に掲出した「会計検査院事務総長に川滝氏起用」は、会計検査院が18日、辞職する斉藤邦俊事務総長の後任に、川滝豊事務総局次長を起用する人事を発表したと報じる。川滝氏の後任には鈴木繁治第1局長を昇格させるとも。いずれも4月1日付で発令するとのこと。

北海道監査委員の後任の後任は監査委員事務局長

 北海道新聞サイトが2月28日に掲出した「道監査委員に竹谷氏 女性初の生え抜き特別職 北海道議会に提案へ」は、高橋はるみ知事が27日、道幹部の4月1日付人事の概要を固め、退任する太田博監査委員(66)の後任に、竹谷千里環境生活部長(59)を起用すると報じる。女性特別職は、堀達也前知事時代、民間から佐々木亮子副知事を起用したケースがあるが、生え抜きの女性職員が常勤の特別職に就任するのは初めてとか。知事は3月20日の定例道議会最終日に監査委員の人事案を提案する方針と記事は伝える。竹谷氏の後任に川城邦彦監査委員事務局長(58)を充てるとも。竹谷氏は、道政史上2人目、高橋道政では初めての女性部長として昨年、環境生活部長に就任したとのこと。川城氏は高橋知事の秘書課長などを務め知事の信任が厚く、議会事務局長や東京事務所長などを歴任しているとも。

岡山県東備三市監査共同組織研究会が報告書を提出

 朝日新聞サイトが2月9日に掲出した「岡山)監査事務局共同化へ報告書 備前・瀬戸内・赤磐」は、備前、瀬戸内、赤磐3市の監査委員事務局を共同設置することについて検討を続けてきた「岡山県東備三市監査共同組織研究会」が8日、吉村武司・備前市長、武久顕也・瀬戸内市長、友実武則・赤磐市長に対し「共同設置によって自治体監査の有効性と効率性の向上が期待できる」とする報告書を提出したと報じる。研究会のメンバーは、自治体の監査制度に詳しい関西学院大学大学院経営戦略研究科の石原俊彦教授をはじめ、同科研究員、3市の監査委員事務局長らで、昨年11月から全国初となる共同設置に向け課題や組織形態などを検討してきたとのこと。組織形態では、監査委員の任命に議会の同意が必要な点を踏まえ「事務局のみの共同設置」を提唱したと記事は伝える。

 読売新聞サイト岡山ページが2月26日に掲出した「監査共同化「客観性増す」  東備3市研究会 評価の報告書」は、「県東備三市監査共同組織研究会(代表=石原俊彦・関西学院大教授)が、「監査の客観性が増し、効率性も高まる」と共同化を肯定的に評価する報告書をまとめたとした上で、3市は今後、各市の監査委員や市議会に説明し、26年度の1年間をかけて共同化に向けた準備を進める意向と伝える。報告書は今月8日、各市長に渡されており、報告書によると、共同化のあり方として、〈1〉機関等の共同設置、〈2〉協議会方式、〈3〉一部事務組合の設置、〈4〉他自治体への事務委託、〈5〉広域連合、の5種類を提示したうえで、研究会としては、監査事務を共同化する一方、各市が地方自治法に基づいて設置している監査委員の権限は、各市に現状のまま残せる〈1〉を推奨しているとのこと。共同化が実現すれば、共同事務局には各市から職員が派遣されることになるが、市役所内部の上下関係や対人関係の影響を受ける可能性が減るため、報告書では、監査の客観性が高まることなどが期待できるとしているとか。

検査官は閣僚・人事官並み

 WSJサイトが掲出した「外国情報、国会に非提供も=会計検査官は適性評価不要?森担当相・秘密保護法案」〔時事通信社〕は、特定秘密保護法案に関し、森雅子内閣府特命担当相が28日午後の参院国家安全保障特別委員会で、特定秘密を取り扱う公務員らに実施する適性評価に関して、人事院人事官や会計検査院検査官らについては閣僚などと同様に実施の対象外との見解を示したと報じる。
ブログ内検索
カテゴリー
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
リンク
監査関係ブログ
【】内はカテゴリー ↓トップはライブドアニュース
月別アーカイブ
RSSフィード
プロフィール

reticent_auditor

  • Author:reticent_auditor
  • 寡黙な監査人
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる