当局発表の自主調査結果を踏まえて行う公監査機関の第三者調査

 12月26日にNHKサイトに掲出された「遺骨収集事業めぐる不正経理で厚労省職員65人処分」は、海外に残る太平洋戦争の戦没者の遺骨を収集する事業をめぐって、使途不明金や不適正な経理処理などが明らかになったことを受けて、厚生労働省は65人の職員を停職や減給、または訓告などの処分としたと報じる。記事よると、明らかになったのは会計検査院の検査によってであり、「太平洋戦争の戦没者の遺骨を収集したり調査したりする厚生労働省の事業では、現地で通訳などの費用を支払う場合に備えて、派遣する職員に経費を前払いする制度がありますが、会計検査院の調査で、昨年度までの6年間に880万円余りの使途不明金が確認されました。さらに、前払い金を出発前に旅行会社などに支払うといった不適正な経理処理がおよそ4億5400万円に上っていたことが明らかになりました。」と記事は伝えている。
 「明らかになった」という表現を用いているのは、会計検査院が指摘したというより、契機は厚生労働相自身の調査だったからであろう。平成28年度決算検査報告の不当事項第97号では、次のように説明している。

 厚生労働省は、28 年度に実施した海外遺骨収集等事業において、援護局の職員が車両借 上料の金額を水増しした領収証書により資金を捻出してこれを現地における懇親会費等に充 てるなど、計 14,184 米ドル(邦貨換算額計 1,702,080 円)の前渡資金の経理が不適正であった として、援護局の職員 3 名を処分した旨を 29 年 1 月に公表している。
 そこで、本院は、合規性等の観点から、23 年度から 28 年度までの6 か年度に実施された海外遺骨収集等事業の実施に当たり臨時資金前渡官吏に対して交付された前渡資金の会計経理は会計法令に従い適正に行われているかに着眼して、厚生労働本省において会計実地検査を行った。検査に当たっては、当該 6 か年度における海外遺骨収集等事業の実施に当たり臨 時資金前渡官吏に任命された延べ 295 名(実人数 63 名)に交付された前渡資金 991,530,772 円 を対象として、現金出納簿、前渡資金支払決議書、領収証書及びその他関係書類を精査する とともに、関係者から前渡資金の会計経理の状況を聴取するなどして検査した。
 検査したところ、次のとおり適正とは認められない事態が見受けられた。


 この不当事項の事案名は「海外遺骨収集等事業の実施に当たり、臨時資金前渡官吏が事実と異なる内容の前渡資 金支払決議書を作成するなどして、海外派遣先の現地において事業の実施に必要な経 費の支払を現金で自ら行う場合に限り使用することができる前渡資金を海外派遣に先 立ち国内で使用したり、領収金額を水増しした領収証書を提出させて同額の前渡資金 を支払ったこととしたりするなどしていて、前渡資金の会計経理が著しく適正を欠い ていたもの」と長い。
 

検査官は検査実施の業務には従事しない

 毎日サイトが12月18日に掲出した「会計検査院  防衛省特定秘密を閲覧 法施行後初」〔青島顕、前谷宏〕は、会計検査院が今年1月、防衛省を検査する際に特定秘密情報を閲覧したことを明らかにしたと報じる。26年の特定秘密保護法施行後、会計検査で特定秘密の提供を受けたのは初めてとのこと。記事によると、検査院は秘密保護法案の閣議決定前の25年9月、同法には会計検査の際に特定秘密の提供に支障の出る恐れがある規定があるとして「すべてを検査するとしている憲法の規定上、問題」と内閣官房に指摘し、同法の条文の修正を求めたものの認められなかったが、毎日新聞が27年にこの問題を報道した後、内閣官房は「秘密事項について検査院から提供を求められた際には提供しているが、法の施行により取り扱いに何らの変更を加えるものではない」とする通知を関係機関に出したとの由。記事は、防衛省によると、検査に提供したのは陸上自衛隊の装備品の性能に関する情報で、検査官が要請し、陸自を訪れて閲覧したと伝えているが、「検査官」は検査業務に従事しないことから、事務総局職員のはず。

 ちなみに、特定秘密には該当しないが、報告に際して、契約弾薬数を明示していない指摘も存在する。

森友学園に対する国有地の売却

 会計検査院サイトは「学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果について」を報告したとして、次の説明を付した上で、その要旨(PDF形式:306KB)本文(PDF形式:3,047KB)を公表した。

 参議院予算委員会において、平成29年3月6日、予算の執行状況に関する調査のため、会計検査院に対し、学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する状況について会計検査を行い、その結果を報告するよう要請することが決定され、同日参議院議長を経て、会計検査院長に対し会計検査及びその結果の報告を求める要請がなされた。これに対して、会計検査院は、同月7日、検査官会議において本要請を受諾することを決定した。
 本報告書は、上記の要請により実施した会計検査の結果について、会計検査院長から参議院議長に対して報告するものである。

会計検査院が28年度決算検査報告を内閣へ送付

 NHKサイトが11月8日に掲出した「国の公金870億円余が不適切取り扱い 会計検査院」は、会計検査院が、不適切な取り扱いをされた公金が870億円余りに上ったとする報告書をまとめ、8日午後、河戸光彦院長が安倍総理大臣に手渡したと報じる。報告書によると、公金の不適切な取り扱いは、423件、およそ874億円で、前の年度より1兆円以上減り、ここ10年で最も少なくなったとのこと。記事によると、河戸院長は「事業が効率的に執行されているかや目的どおり行われているかといった視点での検査も行い、財政や行政の改善に貢献していきたい」と話しているとか。

 会計検査院サイトは、トップページで「「平成28年度決算検査報告」を内閣に送付しました。」としながら、そのリンク先は、「最新の検査報告」のページ。間違いでは無いが、広報センスに欠けている。

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公立小中学校施設の保全対策

 佐賀新聞サイトは7月29日に「消防設備1000校未修繕 佐賀など19府県の公立小中」〔共同〕を掲出し、文部科学省が28日、会計検査院から27年に消防設備の劣化などを指摘された20府県の公立小中学校2686校を追跡調査した結果、28年12月1日時点でも19府県の1024校で未修繕の設備が見つかったと発表したと報じる。安全面の問題は小さいとしているが、消防法の定めに反するため、自治体に早期是正を指示する方針とか。未修繕の内容は、消火栓や避難経路を示す表示が見えづらくなっている事例が中心で、避難はしごの一部がさびている例もあったとのこと。文科省は「火災報知機の不作動など緊急性の高い問題はほぼ解消したが、緊急性が低い不具合への対応が遅れている」としていると記事は伝える。

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企業立地の補助金不正受給

 日経サイトは8月5日に「復興補助金不正で返還命令 福島県、2億5千万円」〔共同〕を掲出し、福島県が4日、大阪府岸和田市の太陽光発電関連会社「CKU」が、東日本大震災の被災地に進出する企業に交付する復興補助金約2億5千万円を不正受給したとして全額返還を命じたと報じる。県によると、CKUは26年、福島県白河市に新設した熱交換器製造工場の建設や設備導入のため、偽造した発注書を使って「ふくしま産業復興企業立地補助金」を申請し、県から2億5410万円の補助を受けたとか。今年6月、会計検査院の調査で工場が稼働していないことが分かり、同社が県に偽造を認めたとの由。東京地検特捜部は7月、詐欺容疑でCKUの代表取締役の男ら2人を逮捕したとも。

マイナンバーが十分に活かされない実状を報告

 会計検査院は7月27日に「国の行政機関等における社会保障・税番号制度の導入に係る情報システムの整備等の状況について」を国会と内閣に提出した
 この報告について、読売オンラインは「マイナンバー利用、127機関システムで不備」と題して「国民健康保険組合など計127機関のシステムに不備があり、自治体から所得情報を取得できない状態になっている」と伝えた。

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NHKに関する国会要請検査の結果と対応

 日経サイトが7月6日に掲出した「NHK、子会社の配当額最高の84億円 会計検査院の指摘に対応」は、NHKが6日、子会社の株主総会が全て終わり、29年度の子会社による配当額が総額84億円になったと発表したと報じる。NHKが受け取る金額は56億円で過去最高額になったとか。3月に会計検査院が子会社の利益剰余金を適切にNHKへ還元することが必要と指摘したことに対応したとの由。会計検査院はNHKから業務委託を受けているNHK子会社の利益剰余金をNHKに還元すれば、受信料の引き下げなどができると指摘していたと記事は伝える。84億円の配当後にも配当可能な利益剰余金が125億円残っているとし、上田良一会長は「2~3年をかけてNHKへの還元を進める」と話したとか。

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逓信病院

 会計検査院は28年5月に「日本郵政グループの経営状況等について」と題した会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書(PDF1.65MB)を国会および内閣に提出した。この報告書は「郵政省から現在の日本郵政グループに至るまでの間の組織形態、制度等の変遷、日本郵政グループの損益等の状況、郵便・物流事業、金融窓口事業、銀行業、生命保険業等の各業務の実績等の状況、日本郵政株式会社、株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険の株式売却に係る手続等並びに日本郵政株式会社の株式売却収入の復興財源への充当の状況等について検査を実施し、その状況を取りまとめた」もので、その「3 検査の状況」「(3) 各業務等の実績等の状況」「オ その他の事業」では、「(ア)」として「病院事業」を取り上げている。そして、「4 所見」「(1) 検査の状況の概要」では「病院事業については、日本郵政が、26年度末現在で14逓信病院を運営しているが、患者数の減少傾向が続いていて、26年度の外来患者数は延べ約82万人、入院患者数は延べ約30万人となっている。そして、毎年度営業損失を計上していて、26年度の営業損失は60億余円となっており、厳しい経営状況となっている。経常収支率をみると、20年度以降、いずれの逓信病院も50%以上、全体の平均については各年度とも80%前後で推移していて、26年度には78.7%となっているなど、昭和53年度の30.3%と比べて改善がみられる。」とし、「(2) 所見」では「病院事業及び宿泊事業において営業損失の計上が継続していることから、患者の需要に応じた医療や顧客のニーズに対応したサービスの提供等の取組を一層進めるとともに、長期にわたって営業損失を計上していて、今後も改善が見込み難い施設等については、引き続き、譲渡等を含む見直しを検討すること」としている。
 この逓信病院について、CBnewsサイトは1月11日に「札幌や横浜など、3病院を譲渡へ〔CBnews〕」〔2017年1月10日 敦賀陽平・CBnews〕を掲出し、「日本郵政は、札幌市、横浜市、徳島市にある3つの逓信病院を売却する方針を固めた。行政の許認可を得て、4月から譲渡先の法人に経営が移行する見通し。日本郵政は2015年度の決算で、病院事業で52億円の赤字を計上している。残る7病院については当面、経営を続けるが、日本郵政では「売却も含めて検討する」としている。」と報じた。

調査対象を「地域的な偏りがないよう抽出した」業績検査

 会計検査院サイトは12月22日に「資源エネルギー庁長官に対し、「灯油配送合理化促進支援事業の実施について」会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求したと告知。その内容について毎日新聞サイトは「灯油安定供給補助 計画達成は4割 会計検査院調査」〔松浦吉剛〕の記事で、「過疎地や豪雪地で暖房用の灯油を安定供給するため、国が販売業者を対象に実施している補助事業について会計検査院が抽出調査したところ、補助を受けた業者の約4割しか配送量などを増やす計画を達成できていなかったことが分かった」と伝えた。

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